<動脈血栓塞栓症>
病態
猫の動脈血栓塞栓症は心臓内でできた血栓が全身血管へ飛び、塞栓を起こす病気です。
原因
約7割が心疾患に併発して起こるといわれています。猫の心筋症で最も多いのは肥大型心筋症であり、心筋が分厚くなってしまい本来のポンプ機能を果たせなくなってしまう病気です。心臓から上手く血液を送り出せないと、心臓の中で血が固まってしまい血栓となります。シニア猫に多いホルモンの病気(甲状腺機能亢進症)や腎臓病も高血圧を引き起こし、心臓に負担を掛けてしまうので血栓症のリスクになります。
症状
多くは腹大動脈から後肢へ向かう血管の分岐部に血栓が詰まり、ある日突然後肢麻痺や激しい疼痛が生じ、肉球が白く冷たくなり、最終的には壊死を引き起こします。詰まった部位によって前肢麻痺や、脳梗塞や心筋梗塞を起こして突然死する場合もあります。同時に心不全も生じている場合もあり、呼吸困難によって頻呼吸や開口呼吸が見られたりします。
診断
臨床症状及び血液検査や画像検査(レントゲン検査、エコー検査)で診断を行います。
動脈血栓塞栓症は症状が起こってから治療を開始するまでの時間が予後に大きく関わってきますので今回のような症状があった場合はすぐに病院に相談してください。また治療が非常に難しいため、リスクになる心筋症や内分泌疾患を早期発見し、治療を始めることが重要です。当院では日頃の健康に関する相談や健康診断も行っています。ぜひご利用ください。