犬・猫の肥満が招く病気とは?適正体重と正しいダイエットの考え方

愛犬や愛猫の姿を眺めながら「少しぽっちゃりしているくらいがかわいい」と感じることもあるかもしれません。しかし、肥満は関節や心臓、呼吸器などに負担をかけ、さまざまな病気に関係します。 犬や猫の体重管理では、単に体重を減らすのではなく、年齢や体格、持病、生活環境に合った適正体重を目指すことが大切です。また、急激に食事を減らすと、かえって体調を崩す可能性があります。 今回は、犬や猫の肥満の見分け方や肥満によって起こりやすくなる病気、無理のない体重管理の進め方について解説します。 ■目次 1.犬・猫の肥満とは?体重だけで判断しないことが大切 2.肥満によって起こりやすくなる病気 3.病気が原因で太ることもあります 4.犬・猫が太る主な原因 5.正しい体重管理の進め方 6.ナガワ動物病院の体重管理 7.よくあるご質問 8.まとめ|まずは今の体重と体型を確認しましょう   犬・猫の肥満とは?体重だけで判断しないことが大切 犬や猫の適正体重は、犬種・猫種や体格によって異なります。そのため「何kg以上なら肥満」と、体重の数字だけで一律に判断することはできません。 体型を確認する際には、体重とあわせて「BCS(ボディコンディションスコア)」を用います。BCSとは、肋骨や腰のくびれ、おなかのラインなどから、脂肪のつき方を評価する方法です。 ご家庭では、次のような点を確認してみましょう。 ・肋骨が薄い脂肪越しに触れるか ・上から見たときに腰のくびれがあるか ・横から見たときに、おなかが適度に引き締まっているか 肋骨が触りにくい、腰のくびれが分からない、おなかが垂れているといった場合は、脂肪が多くついている可能性があります。 ただし、毛量が多い犬や猫では見た目だけでは分かりにくいため、定期的に動物病院で体重を測り、体型を確認してもらうと安心です。 肥満によって起こりやすくなる病気 肥満はそれ自体が体への負担になるだけでなく、すでにある病気を悪化させる要因にもなります。犬と猫では、特に注意したい病気が異なります。 <犬の肥満で注意したい病気> 犬では、体重が増えることで膝や股関節、背骨などへの負担が大きくなります。膝蓋骨脱臼や関節炎がある場合は、痛みや歩きにくさが悪化することもあります。 膝蓋骨脱臼について詳しくはこちらをご覧ください 関節炎について詳しくはこちらをご覧ください また、胸やおなかに脂肪がつくと呼吸がしづらくなり、心臓や呼吸器への負担も増えます。短頭種や心臓病のある犬では、肥満によって症状が表れやすくなるため注意が必要です。 短頭種気道症候群について詳しくはこちらをご覧ください 肥満の状態では、麻酔薬の量の調整や手術中の呼吸管理が難しくなることもあり、麻酔や手術時のリスクにも影響します。 <猫の肥満で注意したい病気> 猫では、肥満と糖尿病の関係が深く、体重が増えることでインスリンが効きにくくなり、糖尿病を発症するリスクが高まります。 糖尿病について詳しくはこちらをご覧ください また、猫にはもともと「肝リピドーシス」という病気のリスクがあります。これは、食事が十分にとれない状態が続いたときに、体が脂肪をエネルギーに変えようとする働きが強まり、その処理の負担が肝臓に集中することで起こります。肝臓の働きが大きく低下し、命に関わることもある病気です。 このとき、体に脂肪を多く蓄えている猫ほど、肝臓にかかる負担が短期間で大きくなります。そのため、普段よく食べていて体重が増えている猫は、少し食欲が落ちただけでも、痩せている猫より肝リピドーシスを起こすリスクが高くなります。 肥満の猫では「太っていること」そのものだけでなく、食欲が落ちたときに受ける影響が大きいという点にも注意が必要です。 このほか、肥満によって毛づくろいが難しくなる、動くことを嫌がる、尿石症などの泌尿器疾患に関係することもあります。 腎臓結石と尿管閉塞について詳しくはこちらをご覧ください 膀胱結石について詳しくはこちらをご覧ください 犬・猫ともに、肥満が続くと動きづらさや痛みにつながり、日常生活にも影響します。適正体重を保つことは、病気の予防だけでなく、体への負担を減らし、健康を維持するためにも重要です。 病気が原因で太ることもあります 食事量が多いわけではないのに太る場合や、急に食欲が強くなった場合は、病気が隠れている可能性があります。 犬では、甲状腺機能低下症やクッシング症候群などの内分泌疾患によって、体重が増えることがあります。特に、食欲が以前より強くなった、水を飲む量や尿の量が増えた、おなかが張ってきたといった変化がある場合は、体重だけの問題と考えず、検査を受けることが大切です。 甲状腺機能低下症について詳しくはこちらをご覧ください クッシング症候群について詳しくはこちらをご覧ください 診察では、身体検査や血液検査を基本に、必要に応じてエコー検査などを行い、肥満の背景に病気がないかを確認します。 犬・猫が太る主な原因 肥満の多くは、食事からとるカロリーが、日常生活で消費するカロリーを上回ることで起こります。主な原因には、次のようなものがあります。 ・フードやおやつの与えすぎ ・家族がそれぞれ食べ物を与えている ・避妊・去勢後の代謝の変化 ・加齢による運動量や筋肉量の低下 ・室内生活による運動不足 「それほど食べさせていないのに太る」という場合でも、詳しく伺うと、おやつや人の食べ物を含めて必要量を超えていることがあります。 また、犬や猫は人と比べて、運動だけで大きく体重を減らすことが難しい動物です。運動は筋力や関節の健康を保つうえで大切ですが、減量では食事からとるカロリーの調整が中心になります。 正しい体重管理の進め方 体重管理では、現在の体重だけで食事量を決めるのではなく、目標とする体重や年齢、活動量、持病などから、1日に必要なカロリーを考えます。 <食事とおやつの量を確認する> まずは、フードを計量し、1日に実際どのくらい与えているかを確認します。家族が複数いる場合は、誰が何を与えたかを共有することも大切です。 おやつをすべて禁止する必要はありません。1日に与える量を決め、その分のカロリーを主食から調整することで、無理なく続けやすくなります。 <急激に食事を減らさない> 早く痩せさせようとして、食事量を大きく減らしたり、絶食させたりすることは避ける必要があります。 特に猫では、食事量を大きく減らすと、前述の「肝リピドーシス」を起こす可能性があります。体重が増えている猫ほどこのリスクは高くなるため、減量が必要な猫こそ、急に食事を減らさないことが大切です。短期間で体重を落とそうとせず、計画的に進めていきましょう。 また、極端な食事制限を続けると、体が消費するエネルギーを抑えようとして、かえって体重が落ちにくくなることもあります。体重を定期的に測定し、体調や筋肉量を確認しながら、計画的に減らしていくことが重要です。 ナガワ動物病院の体重管理 ナガワ動物病院では、体重だけでなく、体型や筋肉量、年齢、持病、食事内容、運動量などを含めて総合的に評価します。 「あまり食べさせていないのに太る」という場合には、実際にとっているカロリーを確認するとともに、内分泌疾患などが隠れていないかも調べます。身体検査や血液検査、必要に応じたエコー検査を組み合わせ、体重が増えた原因を見極めることが大切です。 そのうえで、目標体重や1日に必要なカロリーを考え、年齢や生活スタイルに合った減量プランをご提案します。体重や体調の変化を継続して確認しながら、無理なく続けられる方法を飼い主様と一緒に考えていきます。 よくあるご質問 Q.…

犬のチェリーアイ|放置して大丈夫?自然に治る?治療と手術の判断基準

愛犬の目頭に赤いふくらみが見え「これって放っておいても大丈夫?」「自然に治るの?」と不安に感じたことはありませんか? それは「チェリーアイ」と呼ばれる病気かもしれません。命に関わることはほとんどありませんが、飛び出した組織が炎症を起こしたり、目をこすることで角膜を傷つけたりすることがあります。 一時的に引っ込むことはあっても、自然に治ることは基本的に期待できません。目の健康を守るためにも、早めに状態を確認し、治療が必要か判断することが大切です。 今回は、犬のチェリーアイの原因や放置した場合のリスク、点眼や手術による治療、費用や再発の考え方、ご家庭での注意点について解説します。 ■目次 1.こんな症状が見られたら「チェリーアイ」かもしれません 2.チェリーアイとは|犬に多い理由と仕組み 3.放置するとどうなる? 4.自然に治る?点眼だけで治る? 5.治療の選択肢|ナガワ動物病院の考え方 6.手術について|不安な飼い主様に知っておいていただきたいこと 7.ご家庭での注意点 8.よくある質問(FAQ) 9.まとめ|早めの判断が目の健康を守ります   こんな症状が見られたら「チェリーアイ」かもしれません チェリーアイは、日常のスキンシップやアイコンタクトを取る中で気づかれることが多い病気です。次のような様子が見られる場合、チェリーアイの可能性があります。 ・目頭に赤く丸いふくらみが見える ・目を気にしてこする ・白目が充血している ・涙や目やにが増えている ・子犬や若い犬で発症している 見た目の変化は目立つものの、初期は痛みが少ないことも多く、「元気そうだから」と様子を見てしまうケースも少なくありません。 チェリーアイとは|犬に多い理由と仕組み 「チェリーアイ」とは、目頭の内側にあるピンク色にふくらんでいる部分「第三眼瞼腺(だいさんがんけんせん)」が、本来の位置から外に飛び出した状態です。正式には「第三眼瞼腺脱出」といいます。 第三眼瞼腺は、涙をつくる大切な組織です。通常、外からはほとんど見えませんが、この腺を支えている組織がゆるむと、赤いふくらみとなって目頭に現れることがあります。 犬に多く見られる理由としては、生まれつきこの腺を支える組織が弱い体質を持っている場合があること、また成長途中の時期は組織のバランスが変化しやすく、子犬〜若い犬で起こりやすいことが挙げられます。 また、犬種によって体質差があり、アメリカン・コッカー・スパニエル、ビーグル、ボストン・テリアなどで比較的よく見られる傾向がありますが、どの犬種でも起こる可能性がある病気です。 症状は片目だけに出ることもあれば、両目に出ることもあります。また、片目だけに発症した場合でも、もともとの体質によっては、後から反対側の目にも起こる可能性があります。 放置するとどうなる? チェリーアイは、見た目に反して初期にはあまり痛みが出ないことも多く、「元気そうだし、しばらく様子を見てもいいかな」と思われることもあるかもしれません。しかし、第三眼瞼腺が外に飛び出したままの状態が続くと、少しずつ目に負担がかかっていきます。 例えば、 ・外に出た腺が乾燥や刺激を受け、炎症を起こしやすくなる ・目をこすることで結膜や角膜を傷つける ・結膜炎や角膜炎を併発し、充血や痛みが出てくる ・涙の分泌バランスが崩れ、ドライアイにつながる ・慢性化や再発を繰り返し、治療が長引く といったリスクが考えられます。 また、一度引っ込んだとしても、第三眼瞼腺を支える構造が改善したわけではないため、再び飛び出すことがあります。「今は痛そうではないから」「引っ込んだから」と様子を見ている間に、状態が進んでしまうことがある点は、チェリーアイで特に注意したいところです。 自然に治る?点眼だけで治る? チェリーアイが一時的に引っ込むことはありますが、自然に治ることは基本的に期待できません。また、一時的に引っ込んだ場合も、第三眼瞼腺を支える組織の弱さが残っているため、時間がたつと再び飛び出してしまう可能性があります。 点眼薬には、炎症や赤み、違和感を抑える役割があります。ただし、飛び出した第三眼瞼腺を本来の位置に固定する治療ではありません。 初めての発症で炎症が軽い場合などには、点眼を行いながら経過を見ることもあります。一方で、何度も繰り返す場合や、点眼を続けても安定しない場合には、手術を検討します。 治療の選択肢|ナガワ動物病院の考え方 当院では、症状の程度や炎症の有無、再発の回数、年齢などを踏まえ、その子に合った治療の進め方を選択することを大切にしています。日常生活への影響や生活環境についても伺い、点眼で経過を見る場合と手術を行う場合についてご説明しながら、飼い主様と一緒に治療方針を考えていきます。 一般的に、チェリーアイの手術には、飛び出した第三眼瞼腺を元の位置に戻して固定する方法と、第三眼瞼腺を切除する方法がありますが、当院では第三眼瞼腺をできるだけ温存する方針です。第三眼瞼腺は涙をつくる大切な組織であり、切除すると涙の量が減って、将来的にドライアイにつながる可能性があるためです。 目に見えるふくらみを取り除くことだけを目的とせず、生まれ持った目の構造をなるべく損なわない形に戻し、その後の目の健康まで考えて治療にあたっています。 手術について|不安な飼い主様に知っておいていただきたいこと 目の手術と聞くと、麻酔や入院について不安を感じる飼い主様も多いかと思います。 チェリーアイの手術は全身麻酔下で行うため、当院では、まず診察や必要な検査で全身状態を確認し、麻酔をかけられる状態かを丁寧に見極めます。また、手術の内容や当日の流れ、入院が必要かどうか、退院までの見通しについて事前にご説明し、ご納得いただいたうえで手術を行います。 <手術費用について> 手術費用は、片目か両目か、目の状態、必要な検査、入院の有無などによって異なります。一律の金額をご案内することが難しいため、診察で状態を確認したうえで、治療内容とあわせてご説明します。 <手術後の再発について> 手術後も、第三眼瞼腺が再び飛び出す可能性はあります。再発した場合は、目の状態や手術後の経過を確認し、点眼で炎症を抑えながら経過を見るのか、再手術を行うのかを検討します。 手術前には、治療によって期待できることだけでなく、再発の可能性や術後の見通しについてもお伝えします。気になることがあれば、手術を決める前に遠慮なくご相談ください。 当院の眼科手術について詳しくはこちらをご覧ください ご家庭での注意点 チェリーアイの治療では、動物病院での処置に加え、ご家庭での過ごし方も回復に関わります。特に、目をこすると症状の悪化や再発につながることがあるため、次の点に注意が必要です。 ・飛び出した部分を無理に触ったり、押し戻したりしない ・処方された点眼薬は、決められた回数と期間を守って使用する ・目を前足でこすったり、床や家具にこすりつけたりしないように見守る ・獣医師の指示なく、市販の点眼薬を使わない <エリザベスカラーは指定されたものを使用してください> 手術後は、エリザベスカラーの装着が必要です。エリザベスカラーは、必ず病院でサイズを確認したものを使用してください。柔らかい素材や長さが足りないタイプでは、装着していても前足や家具が目に届いてしまうことがあります。 当院でも、ご家庭で市販の柔らかいカラーへ変更したことで手術部位を傷つけ、再手術が必要になったケースがあります。術後は、ある程度硬さのあるハードタイプを、獣医師から指示された期間装着することが重要です。 一時的に過ごしづらそうに見えることもありますが、目への刺激を防ぎ、手術した部分を守るための大切な対応です。装着中の食事や睡眠で困ることがあれば、まずは一度ご相談ください。 よくある質問(FAQ) Q.…

犬・猫の股関節脱臼とは?症状や整復、手術について解説

交通事故や高い場所からの落下後に、犬や猫が突然後ろ足を着かなくなったり、足を引きずったりしている場合は、股関節脱臼を起こしている可能性があります。 股関節脱臼は、時間が経つほど元の位置に戻しにくくなることがあります。外傷後に足を使わない、強く痛がるといった様子が見られた場合は、できるだけ早い段階で状態を確認することが重要です。 今回は、犬や猫の股関節脱臼で見られる症状や検査、外れた関節を元に戻す「整復」、手術が必要になるケースについて解説します。 ■目次 1.股関節脱臼とは 2.股関節脱臼で見られる症状 3.股関節脱臼の検査 4.股関節脱臼の治療 5.ナガワ動物病院の股関節脱臼に対する取り組み 6.ご家庭での注意点と予防 7.よくあるご質問 8.まとめ|外傷後に足を着かないときは早めに受診を   股関節脱臼とは 股関節は、骨盤にあるお椀状のくぼみに、大腿骨(太ももの骨)の丸い先端部分「大腿骨頭」がはまり込むことで形成されています。 股関節脱臼とは、この大腿骨頭が骨盤のくぼみから外れた状態です。犬や猫では、交通事故や高所からの落下、転倒などによって股関節に強い力が加わることで起こるケースが多く見られます。 また、まれに股関節形成不全など、もともと関節が不安定になりやすい状態が関係していることもあります。 股関節脱臼で見られる症状 股関節脱臼を起こすと、次のような変化が見られることがあります。 ・後ろ足を挙げたまま、地面に着かない ・足を引きずる、歩けない ・左右の後ろ足の長さが違って見える ・足先が内側または外側を向いている ・股関節の周辺を触ると痛がる ・立ち上がることや動くことを嫌がる ただし、骨折や靱帯の損傷などでも、同じように足を着かなくなることがあります。ご家庭で脱臼かどうかを見分けることは難しいため、外傷後に足を使わない場合は、早めに動物病院で状態を確認することが大切です。 また、無理に歩かせたり、足を引っ張って戻そうとしたりすると、骨や関節周辺の組織を更に傷める可能性があります。受診までの間は、できるだけ動かさずに過ごせるようにし、そのままの状態でご相談ください。 股関節脱臼の検査 股関節脱臼が疑われる場合は、次のような検査を組み合わせて状態を確認します。 ・触診・歩様評価 足の向きや左右の長さ、痛みがある場所、関節の動きなどを触診で確かめます。歩ける状態であれば、立ち方や歩き方も確認し、どの動きで足に負担がかかっているかを見ていきます。 ・レントゲン検査 大腿骨頭がどの方向へ外れているか、股関節や骨盤に骨折がないか、もともとの関節の形に異常がないかを確認します。骨折を伴っている場合や、股関節が不安定な場合には適した治療方法が変わるため、治療を行う前の重要な検査です。 ・エコー検査 当院では、必要に応じてエコー検査も行います。レントゲンには写りにくい筋肉や腱などの軟らかい組織を確認できるほか、関節周辺の動きをリアルタイムで見ることができます。 基本的に麻酔を必要とせず、痛みを伴わない検査です。骨だけでなく、その周囲の組織も含めて状態を把握し、治療方針を検討します。 整形外科のエコー検査について詳しくはこちらをご覧ください 股関節脱臼の治療 股関節脱臼では、外れた関節を元の位置へ戻す「整復」を行います。整復の方法には、手術をせずに戻す方法と、外科手術があります。 <手術をせずに関節を元に戻す方法> 麻酔をかけた状態で、外れた大腿骨頭を手で元の位置へ戻す方法を「非観血的整復」といいます。 骨折がなく、脱臼してからあまり時間が経っていない場合に検討します。時間が経つと、周囲の筋肉が縮んで関節を元に戻しにくくなることがあるため、早めに処置できるかどうかが重要です。 また、関節を元に戻しても、周囲の組織が安定するまでは再び外れる可能性があります。そのため、整復後は一定期間、足の動きを制限します。 <整復後の固定> 当院では、整復後の固定に多くのケースで「ホブル包帯」を採用しています。両後ろ足が開きすぎないように動く範囲を調整する方法で、足全体を巻き上げる従来の包帯法よりも体への負担やストレスを抑えながら、再脱臼を防ぐ効果が期待できます。 特に、大腿骨頭がおなか側へ外れた脱臼に適していますが、小型犬では、状態によって背中側への脱臼にも使用できる場合があります。適しているかどうかは、脱臼の方向や体格だけでなく、整復後の関節の安定性や足の動きも確認して判断します。 <外科手術> 手術をせずに関節を元へ戻せない場合や、戻しても再び外れてしまう場合、骨折を伴っている場合には、外科手術を検討します。 手術には、股関節を元の位置へ戻して固定する方法のほか、大腿骨頭とその付け根を切除する「大腿骨頭切除術」があります。 大腿骨頭切除術では、骨同士が直接ぶつからない状態をつくり、周囲の筋肉や組織によって足を動かせるようにします。一般的には、体重が軽い犬や猫ほど、治療後に歩行機能を取り戻しやすい傾向があります。 当院では、体重が15kgを超える子には、大腿骨頭切除術を積極的におすすめしないことがあります。体重が重いほど手術後の股関節に負担がかかり、歩きにくさが残る可能性があるためです。 大型犬では人工股関節置換術が選択肢になることもあり、その場合は専門病院をご紹介します。ただし、体重だけで治療方法が決まるわけではありません。痛みや歩行状態、年齢、全身状態なども踏まえて、適した治療方法を検討します。 ナガワ動物病院の股関節脱臼に対する取り組み ナガワ動物病院では整形外科診療に力を入れ、レントゲン検査に加えて、触診や歩き方の確認、必要に応じたエコー検査を組み合わせて診断しています。 股関節脱臼では、関節が外れていることだけでなく、脱臼した方向や骨折の有無、周囲の組織、整復後の安定性まで確認することが、治療方法を選ぶうえで重要です。 手術をせずに整復できるのか、どの固定方法が適しているのか、手術が必要なのかを見極め、体格や生活環境も踏まえて治療方針をご提案します。 また、診断や整復を担当した獣医師が、治療後の歩き方や関節の回復まで継続して確認します。経過に合わせて安静期間やリハビリの進め方を調整できることも、かかりつけの動物病院で治療を行う利点です。 ご家庭での注意点と予防 治療後は、関節周辺の組織が安定するまで安静に過ごす必要があります。ご家庭では、次のような点に注意しましょう。 ・滑りやすい床にはマットを敷く ・段差の上り下りを避ける ・ソファやベッドから飛び降りないようにする ・必要に応じてケージやサークルで動きを制限する その後は、関節の状態を確認しながら、筋力を戻すための運動やリハビリを少しずつ始めます。 特に大腿骨頭切除術の後は、周囲の組織が関節の代わりとなって安定するまで、数か月かかることがあります。高齢の犬や猫では回復に時間がかかる場合もあるため、状態に合わせて進めていきます。 また、体重が増えると股関節や後ろ足への負担も大きくなります。治療後の回復を支えるためにも、適正体重を保つことが大切です。 <交通事故や落下を防ぐ環境づくり> 股関節脱臼の予防には、交通事故や高い場所からの落下を防ぐことも重要です。 散歩中の飛び出しや、高い家具、窓、ベランダからの転落が起こらないよう、日頃から生活環境を見直しておきましょう。 よくあるご質問 Q.…

犬の僧帽弁閉鎖不全症|末期症状や余命、ステージ別の治療について

「健康診断で心雑音を指摘された」 「最近、咳が増えて呼吸も速くなった気がする」 「突然ふらついたり、意識を失ったりすることがある」 このような変化が見られる場合、犬に多い心臓病のひとつである「僧帽弁閉鎖不全症」が関係していることがあります。 僧帽弁閉鎖不全症は進行性の病気です。一方で、早期に発見し、その時期に適した治療を行うことで、その後の経過を大きく変えられる可能性があるため、気になる症状がある場合は、早めに受診することが大切です。 今回は、犬の僧帽弁閉鎖不全症について、初期から末期までの症状やステージ別の見通し、手術をしない場合の考え方や、当院の心エコー検査による評価について解説します。 ■目次 1.犬の僧帽弁閉鎖不全症とは? 2.僧帽弁閉鎖不全症の症状|初期から末期まで 3.ステージ別に見る治療と見通し 4.末期の過ごし方|在宅ケアと看取りについて 5.「手術しない」選択もある?内科治療との考え方 6.当院での診断|心エコーで治療開始の時期を見極めます 7.よくある質問 8.まとめ   犬の僧帽弁閉鎖不全症とは? 僧帽弁は、心臓の中で血液が逆流しないように開閉する弁です。僧帽弁閉鎖不全症では、この弁が厚くなったり形が崩れたりして十分に閉じなくなり、血液の一部が本来とは反対の方向へ流れます。 逆流が続くと、心臓は多くの血液を処理しようとして徐々に拡大し、正常な働きを保ちにくくなります。さらに病気が進むと、その影響が肺の血管にも及び、肺に水分がたまる「肺水腫」を起こして呼吸が苦しくなることがあります。 中高齢の小型犬に多く、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、チワワ、マルチーズ、トイ・プードル、シー・ズー、ポメラニアンなどでは特に注意が必要です。 初期には目立った症状がなく、健康診断の聴診で心雑音を指摘されて初めて気づくケースも少なくありません。 一方で、聴診で心雑音が確認されなかった場合でも、心エコー検査を行うと僧帽弁からの逆流が見つかることがあります。心雑音として聞こえるかどうかは、逆流の程度や心臓の状態、体格などにも影響されるためです。 つまり、「心雑音がない」ことは「心臓に変化がない」ことを意味するわけではありません。好発犬種や中高齢の場合は、聴診の結果にかかわらず、一度心臓の状態を画像で確認しておくと安心です。 僧帽弁閉鎖不全症の症状|初期から末期まで 僧帽弁閉鎖不全症は、進行するにつれて呼吸や活動量などに変化が表れます。ただし、症状の種類や進行の速さには個体差があります。 <初期に見られる変化> 初期にはほとんど症状がなく、犬によっては、以前より散歩や運動を嫌がる、運動後に軽い咳が出るといった変化が見られることがあります。 <進行したときに見られる症状> 心臓への負担が大きくなると、次のような症状が表れます。 ・咳が増える ・安静にしていても呼吸が速い ・散歩中に立ち止まる、疲れやすい ・食欲や元気が低下する ・ふらつく、失神する また、僧帽弁を支える「腱索(けんさく)」が切れると、血液の逆流が急激に増えることがあります。短時間で肺水腫を起こし、突然死につながる可能性もあるため注意が必要です。 <重度に進行したときに見られる症状> 病気が末期まで進行すると、肺水腫による強い呼吸困難が見られることがあります。呼吸が速く浅い、横になれず座ったまま呼吸する、舌や粘膜が青紫色になるといった症状のほか、失神や腹水を伴うこともあります。 ステージ別に見る治療と見通し 犬の僧帽弁閉鎖不全症は、心臓の変化や心不全の有無に応じて、A・B1・B2・C・Dの5段階に分けて評価します。これは、米国獣医内科学会(ACVIM)が示す診療指針に基づく分類で、治療を始める時期や、その後の経過を考えるうえで重要な目安になります。 <ステージA|発症リスクがある段階> 好発犬種など、将来的に僧帽弁閉鎖不全症を発症する可能性はあるものの、心雑音や心臓の異常はまだ認められていない段階です。 通常は投薬を行わず、健康診断で心音や全身状態を定期的に確認します。 <ステージB1|逆流はあるが心臓の拡大がない段階> 心雑音や僧帽弁からの血液の逆流は確認されるものの、心臓の大きさには明らかな変化がない段階です。 一般的にはすぐに投薬を始めず、レントゲン検査や心エコー検査で経過を観察します。症状がなくても、心臓の拡大が始まる時期を見逃さないことが大切です。 <ステージB2|心臓の拡大が認められる段階> 咳や呼吸困難などの心不全症状はまだ見られないものの、レントゲン検査や心エコー検査で一定以上の心臓の拡大が確認される段階です。 この時期から、心臓の働きを助ける薬のひとつである「ピモベンダン」による治療が検討されます。大規模な臨床研究であるEPIC…

犬・猫の歩き方がおかしい…原因は靱帯かも?整形外科のエコー検査で分かること

「最近、愛犬・愛猫が足を浮かせて歩くようになった」 「歩き方がおかしいけれど、レントゲン検査では異常がないと言われた」 「痛そうなのに原因が分からず、このまま様子を見ていいのか不安」 当院でもこのようなご相談をいただくことがあります。 歩き方の異常や足の痛みというと骨のトラブルを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際には、靱帯や腱、筋肉、神経など、レントゲンでは評価が難しい軟部組織に原因が隠れていることもあります。 そうしたケースで原因を探る手がかりとなるのが、整形外科領域のエコー検査(超音波検査)です。そこで今回は、整形外科のエコー検査で分かることや、どのような症状で役立つのか、当院の取り組みとあわせてご紹介します。 ■目次 1.レントゲンだけでは分からないことも|整形外科のエコー検査とは? 2.こんな症状はご相談ください|整形外科でエコーが役立つケース 3.ナガワ動物病院の整形外科エコーへの取り組み 4.よくある質問 5.まとめ   レントゲンだけでは分からないことも|整形外科のエコー検査とは? 歩き方がおかしい、足を痛がるといった症状がある場合、多くの動物病院ではまずレントゲン検査を行います。 レントゲン検査は、骨折や脱臼、関節の変形、骨腫瘍など、骨の異常を確認することを得意とする検査です。しかしその一方で、靱帯や腱、筋肉、神経といった軟部組織については、レントゲンだけでは詳しく評価できないことがあります。 <エコー検査ならではの特徴> そのような場合に役立つのがエコー検査です。整形外科領域のエコー検査には、次のような特徴があります。 ・靱帯や腱、筋肉、神経などの状態を詳しく確認できる ・関節や筋肉の動きをリアルタイムで観察できる ・比較的体への負担が少ない ・多くの場合、麻酔を使わずに実施できる ・痛みのある部位を確認しながら検査を進められる <検査を組み合わせることが大切> レントゲンとエコーは、それぞれ得意とする領域が異なります。どちらか一方が優れているということではなく、必要に応じて組み合わせることで、より正確な診断につながることがあります。 こんな症状はご相談ください|整形外科でエコーが役立つケース 整形外科でのエコー検査は、次のような症状が見られる場合に役立つことがあります。 ・足をかばって歩いている ・歩き方に違和感がある ・散歩を嫌がるようになった ・階段の上り下りを嫌がる ・ジャンプしなくなった ・運動後だけ足を浮かせる ・レントゲン検査では異常が見つからなかった こうした症状の背景には、骨ではなく軟部組織の異常が隠れていることがあります。 <エコー検査で確認できる異常の例> エコー検査では、例えば次のような異常を確認できることがあります。 ・靱帯損傷 ・腱の炎症 ・筋肉の損傷 ・神経周囲の異常 ・関節周囲の炎症 骨に異常が見られなくても、靱帯や筋肉などに問題があることで痛みや歩き方の異常が生じているケースもあります。そのため「異常なしと言われたけれど、まだ痛そう」「原因が分からないまま症状が続いている」という場合にも、エコー検査が診断の手がかりになることがあります。 ナガワ動物病院の整形外科エコーへの取り組み 当院では、人の整形外科領域の知見も取り入れながら、整形外科領域のエコー検査に力を入れています。 当院の副院長は約5年前から人の整形外科領域におけるエコー診断について継続的に学び、その知見を獣医療へ応用してきました。人の医療分野では、靱帯や神経、筋肉の評価などにエコー検査が広く活用されています。当院でも、その考え方を取り入れながら診断精度の向上に努めています。 さらに人の整形外科領域では、エコーの活用は診断だけにとどまりません。例えば、エコーで神経の位置を確認しながら生理食塩水を注入して神経周囲の癒着を剥離し、可動域の改善や疼痛の緩和を目指す治療なども行われています。当院でも、このような知見を参考にしながら、将来的に獣医療へ応用できる可能性について継続的に検討しています。 <靱帯や神経まで評価できるという特徴> 動物病院で行われるエコー検査は、心臓や腹部の検査が中心となることが一般的です。一方で、整形外科領域までエコーを活用している施設は限られており、当院では靱帯や神経を含めた軟部組織の状態まで評価することを目指しています。 <当院が大切にしていること> 当院では、エコー検査だけで診断を行うことはありません。まずは歩き方や姿勢、触診などで症状を丁寧に確認し、そのうえでレントゲン検査やエコー検査を組み合わせながら総合的に判断しています。 例えば、膝蓋骨脱臼(パテラ)のご相談をいただいた際にも、関節だけを見るのではなく、靱帯の伸展や部分断裂がないかを確認するため、必要に応じてエコー検査を実施しています。 膝蓋骨脱臼(パテラ)について詳しくはこちらをご覧ください 「症状から原因を考える」という姿勢を大切にし、その子にとって必要な検査を選択しています。 よくある質問 Q.…

犬・猫がごはんを食べない…様子見でいい?食欲不振の原因とエコー検査で分かること

「急にごはんを食べなくなった」 「食欲は落ちているけれど、どこまで様子を見ていいのか分からない」 このような変化に不安を感じてご相談に来られる飼い主様は少なくありません。 犬や猫の食欲不振は比較的よく見られる症状ですが、その背景にはさまざまな病気が隠れていることがあります。また、血液検査だけでは分からない異常が、エコー検査(超音波検査)によって見つかることもあります。そのため「食べない」という症状に対しては、原因を丁寧に見極めていくことが大切です。 今回は、犬・猫の食欲不振で注意したいサインや考えられる原因、エコー検査で分かること、動物病院での検査や治療の考え方について詳しく解説します。 ■目次 1.【結論】食欲不振は「元気があるか」だけで判断しないことが大切 2.犬・猫の食欲不振で考えられる主な原因 3.エコー検査(超音波検査)で分かること|食欲不振の原因特定につながるケース 4.ナガワ動物病院での検査と治療の考え方|「なぜ食べられないのか」を丁寧に見極める 5.よくある質問 6.まとめ|「少し様子を見る」前に   【結論】食欲不振は「元気があるか」だけで判断しないことが大切 いつもより食欲がなくても、少しは食べていたり、食欲以外は普段どおりに見える場合は、様子を見たくなることもあるかもしれません。しかし、元気があるように見えても、体の中では病気が進行しているケースがあります。 特に、次のような場合は早めの受診をおすすめします。 ・水も飲まない ・嘔吐を伴う ・数日単位で続いている ・子犬・子猫、高齢 ・持病がある ・短期間で体重が5%以上減少している ・必要なエネルギー量(RER)の60%程度しか食べられていない状態が3日以上続いている 特に猫では、食べない状態が続くことで「脂肪肝」などの深刻な状態につながることもあります。そのため、場合によっては無理にでも栄養を入れる必要があるケースもあります。 食欲不振は「病名」ではなく「症状」です。背景にどのような原因があるのかを早めに確認することで、体への負担を抑えた治療につながることも少なくありません。 犬・猫の食欲不振で考えられる主な原因 犬や猫の食欲不振には、さまざまな原因があります。 例えば、比較的多いのは消化器のトラブルです。胃腸炎や異物誤食、膵炎、腸閉塞などでは、吐き気や腹痛によって食欲が落ちることがあります。猫では毛球症(毛玉による消化管トラブル)が関係しているケースもあります。 異物誤食について詳しくはこちらをご覧ください 膵炎について詳しくはこちらをご覧ください また、肝臓・腎臓・胆のう・膵臓などの内臓疾患や、アジソン病、甲状腺機能低下症のようなホルモンの病気、糖尿病などでも食欲不振が見られます。 アジソン病について詳しくはこちらをご覧ください 甲状腺機能低下症について詳しくはこちらをご覧ください 糖尿病について詳しくはこちらをご覧ください そのほかにも、 ・腫瘍性疾患 ・感染症 ・歯周病や口内炎などの口腔内トラブル ・ストレスや環境変化 ・加齢による変化 ・関節炎やヘルニアなどの痛み など、原因は多岐にわたります。 このように「食べない=胃腸炎」と単純に決めつけられるものではありません。見た目だけでは分からない病気も多いため、必要に応じて検査を組み合わせながら原因を見極めていくことが大切です。 エコー検査(超音波検査)で分かること|食欲不振の原因特定につながるケース エコー検査(超音波検査)は、お腹に超音波を当てて、体の中の状態を確認する検査です。比較的苦痛が少なく、基本的には麻酔をかけずに行えることが多いため、犬・猫への負担を抑えながら検査を進めやすいという特徴があります。 また、レントゲンやCT、MRIと異なり「動いている状態」をリアルタイムで確認できることも大きな特徴です。腸の動きや胆のうの状態、血流の変化なども観察することができます。 食欲不振では、次のようなケースでエコー検査が役立つことがあります。 ・異物誤食 ・膵炎 ・胆のう疾患 ・腫瘍 ・腸の動きの異常 ・腹水の有無 など 例えば、血液検査では大きな異常が見られなくても、エコー検査で腸閉塞や胆のうの異常が見つかることもあります。 もちろん、エコー検査だけですべてが分かるわけではありません。実際には、血液検査やレントゲン検査などを組み合わせることで、より精度の高い判断につながります。 エコー検査について詳しくはこちらをご覧ください ナガワ動物病院での検査と治療の考え方|「なぜ食べられないのか」を丁寧に見極める 当院では、まず問診や身体検査を行い、全身状態を確認します。 ・いつから食べないのか ・何なら食べるのか ・嘔吐や下痢はあるか ・体重は減っていないか などを丁寧に確認したうえで、必要に応じて血液検査・レントゲン検査・エコー検査を組み合わせながら原因を探っていきます。 食欲不振の原因によって、必要な治療は異なります。 例えば、 ・点滴による脱水改善 ・吐き気止めの使用 ・消化に配慮した食事管理 ・内科治療 ・外科治療 など、その子の状態に合わせて対応を行います。 当院では「とりあえず食欲を出す」という対症療法だけではなく、なぜ食べられないのかを見極めることを重視しています。 そのため、症状だけで判断するのではなく、エコー検査を含めた画像診断を組み合わせながら、原因を丁寧に確認していきます。また、検査結果と全身状態を踏まえ、その子に合った治療方針を飼い主様と一緒に考えていくことを大切にしています。 よくある質問 Q.…

猫が口を開けて呼吸している…病院に行くべき?口呼吸の原因と受診の目安

愛猫が急に口を開けて「ハァハァ」と呼吸している様子を見て「これって大丈夫なの?」「すぐ病院へ行った方がいい?」と不安になった経験はありませんか? 猫は本来、基本的に鼻で呼吸をする動物です。そのため、犬のパンティングとは違い、猫の口呼吸は「何らかの異常のサイン」である可能性が高く、基本的には「すぐ受診するのが正解」といえます。 また「元気そうだから少し様子を見よう」と思っていても、猫は病気がかなり進行するまで症状を隠しているケースも少なくありません。 そこで今回は、 ・今すぐ受診すべき危険サイン ・様子見してよいケースとの違い ・猫の正常な呼吸との違い ・考えられる病気 ・ご自宅での正しい対処法 ・動物病院での検査の流れ について詳しく解説します。 ■目次 1.まずセルフチェック|今すぐ受診を検討したい危険サイン 2.そもそも猫の正常な呼吸とは?口呼吸との違い 3.猫が口呼吸をする主な原因 4.口呼吸を見つけたときの正しい対処 5.動物病院での検査・診断の流れ 6.よくある質問 7.まとめ|迷ったときはまずご相談ください   まずセルフチェック|今すぐ受診を検討したい危険サイン 猫の口呼吸で、特に注意したいのは次のような症状です。 ☑…

犬・猫のしこり、手術は必要?良性・悪性の考え方と受診の目安

愛犬や愛猫の体にしこりを見つけたとき「これは危険なものなのか」「すぐに手術が必要なのか」と不安に感じられる飼い主様も多いのではないでしょうか。 しこりは見た目や触った感じからある程度の傾向を推測できることもありますが、それだけで良性・悪性をはっきりと判断することはできません。一方で、早い段階で状態を確認しておくことで、負担の少ない方法で対応できる可能性が広がることもあります。 今回は、しこりの良性・悪性の考え方や受診の目安、動物病院での検査や手術の流れについて解説します。 ■目次 1.良性・悪性の考え方|見た目でどこまで分かる? 2.こんなしこりは要注意|受診を検討したいサイン 3.動物病院での検査と見極め 4.手術が必要になるケースと摘出の流れ 5.まとめ|迷ったときこそ早めの相談が選択肢を広げる   良性・悪性の考え方|見た目でどこまで分かる? しこりには、比較的おとなしい性質の「良性」と、周囲に広がったり転移したりする可能性のある「悪性」があります。 一般的には、次のような傾向があります。 ・ゆっくり大きくなるものは良性が多い ・短期間で急に大きくなるものは悪性の可能性がある ・しこりの大きさが3cmを超えると、悪性の可能性が高まる ただし、これらはあくまで「傾向」であり、見た目や触った印象だけで断定することはできません。「柔らかいから脂肪だろう」「高齢だから様子を見よう」といった判断をされる方もいらっしゃいますが、実際にはそれだけで安全とは言い切れないケースもあります。 また、しこりが見つかったからといって、必ずしもすぐに手術が必要になるわけではありません。しかし一方で、放置してよいとも限らないのが難しいところです。大切なのは、まず検査を行い、そのしこりの性質を見極めることといえます。 こんなしこりは要注意|受診を検討したいサイン しこりの中には、早めに確認しておきたいものもあります。次のような変化が見られる場合は、一度動物病院での診察を検討しましょう。 ・急に大きくなった ・短期間でサイズが変わる ・固くて動かない ・赤みや出血、潰瘍がある ・数が増えている ・触ると嫌がる・痛がる ・乳腺や口の周り、四肢の先端など特定の部位にできている こうした特徴がある場合、単なる良性のしこりではない可能性も考えられます。 <代表的なしこりの例と特徴> 実際に犬や猫で見られるしこりには、いくつか代表的なものがあり、それぞれ性質や対応が異なります。 ・脂肪腫 やわらかく動きやすいことが多く、比較的ゆっくり大きくなる傾向がある良性のしこり ・肥満細胞腫 見た目だけでは判断が難しく、悪性腫瘍に分類されるため、早めの検査が重要なしこり 肥満細胞腫について詳しくはこちらをご覧ください ・乳腺腫瘍 特に未避妊のメスに多く見られ、良性・悪性の割合が半々程度といわれるしこり 乳腺腫瘍ついて詳しくはこちらをご覧ください それぞれ見た目や触った印象が似ていることもあり、最終的には検査による見極めが欠かせません。 動物病院での検査と見極め しこりを評価する際には、いくつかの検査を組み合わせて判断していきます。 <問診・触診> まずは「いつからあるか」や「大きさや変化のスピード」といった問診を行います。 触診では、しこりの大きさや硬さ、動くかどうかなどを確認します。 <細胞診> 細い針を使ってしこりの細胞を採取し、顕微鏡で確認する検査です。体への負担が比較的少なく、しこりの性質を判断する大きな手がかりになります。 <各種検査> 必要に応じて、レントゲンやエコー検査を行い、体の内部への影響や広がりを確認します。 これらの検査結果をもとに、しこりの性質や今後の方針を判断していきます。 さらに、摘出が適していると判断された場合には、手術でしこりを取り除き、その組織を詳しく調べる「病理検査」によって、最終的な確定診断を行います。 当院では、こうした検査結果をもとに、全体の状態を総合的に評価したうえで治療方針を決定しています。 手術が必要になるケースと摘出の流れ しこりの中には、手術を行わずに経過をみるケースや、内服薬で改善が期待できるケースもあります。 例えば、炎症が原因の場合には、抗生物質やステロイドの投与によって改善することもあります。また、診断の一環として薬の反応を見るケースもあるため、その場合はご自身の判断で中断せず、獣医師の指示どおりに継続することが重要です。 一方で、次のような場合には手術を検討することがあります。 ・悪性が疑われる場合 ・しこりが大きくなり続けている場合 ・日常生活に支障が出ている場合 ・早期に摘出した方が体への負担が少ないと判断される場合 ・良性か悪性か判断が難しく、病理検査が必要な場合 しこりは「すぐに手術」となるわけではありませんが、適切なタイミングでの判断がとても重要です。 <しこり摘出の流れ> 実際に手術が必要と判断された場合には、次のような流れで進めていきます。 ①…