高齢の犬や猫で注意すべき床ずれ・褥瘡について|防止策とご家庭でのケア

床ずれは褥瘡(じょくそう)とも呼ばれ、高齢の犬や猫でよく発生します。病気になっていなくても寝ていることが多くなるため、体重がかかる部分は赤くなり、次第に傷になってしまいます。こうした傷はいったん発生すると治療が困難なため、ご家庭でのケアによって防止することがとても大切です。
今回は高齢の犬や猫で注意すべき床ずれ・褥瘡について、その防止策やご家庭でのケアの方法を中心に解説します。

 

定義・原因

褥瘡に対するケアや考え方は人医療で進んでいるため、ここでは人での情報を中心にお伝えします。
日本褥瘡学会によると、褥瘡とは「寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうこと」と定義しています。

健康な犬や猫であれば、寝ているときに寝返りをうったり、そもそも横になる時間が短かったりするのですが、骨や関節の病気、神経の病気、がん、あるいは高齢の犬や猫では立ち上がることや寝返りをうつことが困難になります。また、病気や加齢で食欲がなくなって痩せてしまうと、骨や関節が浮き出てしまい、余計に褥瘡が発生しやすくなってしまいます。

分類・症状

NPUAPというアメリカの団体が定義した分類によると、褥瘡は傷の深さから1~4のステージに分類されます。
ステージ1では皮膚に傷はないものの、赤みをおびて指で押しても赤みが引かない、ステージ2では傷が真皮まで到達、ステージ3では脂肪層まで、ステージ4では筋肉や骨にまで傷が進行した状態とされています。ステージが進むにつれて痛みは増し、元気や食欲がなくなる、眠れなくなるといった症状によってQOL(生活の質)が著しく下がってしまいます。

また傷から細菌などの病原体が侵入して、敗血症になることもあるため、注意が必要です。

診断・治療

皮膚の状態やご自宅での過ごし方などから、褥瘡を診断します。

治療には、身体にかかる圧力を軽減するために姿勢維持クッションや介護用マットなどをご提案します
また傷に対しては、包帯やサポーターなどで保護し悪化を防ぎます。ただし、こうした処置によって褥瘡が根治することはほとんどないため、後述する防止策やご家庭でのケアが重要になります。

防止策とご家庭でのケア

高齢の犬や猫で寝ていることが多い、あるいは病気で寝たきりになってしまった場合はマットレスなどを敷いてあげることで褥瘡防止につながります
ある研究では、市販の低反発マットレスを敷くことで犬の身体にかかる圧力を分散できたと報告されています。

また褥瘡は、頬、肩、手首、肘、肋骨、腰、お尻、かかと、膝などの骨が突き出た場所で発生しやすいため、擦れて毛が抜けていないか、皮膚に赤みはないかなど、こまめにチェックすることをお勧めします。

まとめ

当院では、褥瘡の傷が悪化してから来院されるケースも多々経験しています。褥瘡は一度傷がついてしまうと治療は困難なため、皮膚に赤みがみられたら早めに動物病院を受診しましょう。悪化してから来院されて、症状の改善が見られず、結局亡くなるまで褥瘡に悩まされてしまうというケースもよくあります。

また、褥瘡をつくらないために日々のケアも必要不可欠です。ご家庭での対策が重要になりますが、特に寝たきりの場合は飼い主さんへの負担も大きいため、困ったことがあればお気軽にご相談ください。

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<参考文献>
Comparison of the different supports used in veterinary medicine for pressure sore prevention – Caraty – 2019 – Journal of Small Animal Practice – Wiley Online Library
Revised National Pressure Ulcer Advisory Panel Pressure Injury Staging System – PMC (nih.gov)
褥瘡について|日本褥瘡学会 (jspu.org)

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