健康診断は、犬や猫が健やかに暮らし、少しでも長い時間をともに過ごすために、必要不可欠な検査です。とはいえ、なぜこうした検査が重要なのか、どんな検査をするのか、検査によって何がわかるのか、よくわからずに受診している飼い主様もいらっしゃるかと思います。
今回は納得して健康診断を受けていただくために、重要性についてお伝えするとともに、当院での検査内容をご紹介します。

 

なぜ健康診断が重要なのか?

健康診断は、身体の異常を早期に発見して重症化する前に治療をするため、そして病気の発生そのものを予防するための検査です。これは人だけでなく、動物にも当てはまります。

また、犬や猫の平均寿命は品種によっても異なりますが、令和5年の(一社)ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、だいたい14~16歳くらいと報告されています。人間の平均寿命が80歳以上ということを踏まえると、動物は人よりも4~5倍早く年をとるので、より健康診断が重要になります

また、軽い風邪やストレスによる下痢・嘔吐などは、症状が現れたときに動物病院を受診して適切な対応さえ取れれば、大きな問題になることは少ないですが、腫瘍や内臓の病気の中には、初期のうちに発見して治療を進めなければ一大事に至ってしまうものもあります。
特に動物の場合、人と違って体の異常を言葉で訴えることができないため、知らぬ間に病気が進行しているケースが多々あります

さらに、咳や脱毛など、目に見える異常があればわかりやすいのですが、必ずしもそういった症状が出るとは限りません。健康診断では血液検査や画像検査(レントゲン検査やエコー検査)などを行うことで、身体の外には現れていない異常を発見できる可能性もあります。

加えて、たとえ検査の結果大きな問題がなくても、今後その結果をベースに検査を行えるため、健康上の異常にいち早く気づくことができるというメリットもあります。

当院の検査内容

当院では下記の4つのコースを準備していますが、プランは飼い主様のご希望にあわせてオーダーメイドで変更可能ですので、お気軽にご相談ください。

・シンプルコース(血液検査、フィラリア検査)
・ライトコース(シンプル+尿検査)
・おすすめコース(ライト+レントゲン検査+腹部・心臓エコー検査)
・プラチナコース(おすすめ+血圧・心電図)

当院の「【期間限定】健康診断キャンペーン」は、こちらのページをご覧ください

血液検査
血液検査は血球計算(CBC)と生化学検査に分かれます。血球計算では貧血や炎症の有無などを、生化学検査では内臓に異常がないかを調べます。

フィラリア検査
フィラリア(犬糸状虫)に感染しているかどうかを調べます。検査方法は、抗原検査とミクロフィラリア検査の2種類があります。

尿検査
尿の性状を調べて、腎臓や尿管、膀胱などの状態を確認します。

レントゲン検査
胸部と腹部の内臓の様子を観察します。胸部では心臓や肺、腹部では肝臓や腎臓、消化管などに問題がないかを確認します。あわせて、骨や関節の異常も見つけ出すことができます。

エコー検査
当院では心臓と腹部(消化管や肝臓、腎臓など)の2箇所を実施しています。

血圧・心電図
心臓の動きに問題がないか、あるいは内臓の病気などによって高血圧・低血圧になっていないかを確認します。

当院の健康診断については、こちらのページでも詳しく解説しています

大切な愛犬愛猫へのプレゼントとして健康診断を受診される方も多くいらっしゃいます。この機会にいかがでしょうか?

健康診断を受ける頻度

健康診断を受ける頻度については、犬や猫が人間の4~5倍のスピードで年をとることを考えて、当院では若齢の場合は1年に1回、7歳以上の場合は半年に1回の実施をお勧めしています。

まとめ

健康診断は、動物の健康状態を知ることができる有用な検査です。目に見えない病気やケガ、知らぬ間に進行している病気を防ぐためにも、定期的に受診して健やかな暮らしを維持していきましょう。

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<参考文献>
令和4年 全国犬猫飼育実態調査|全国犬猫飼育実態調査|一般社団法人ペットフード協会 (petfood.or.jp)

動物の感染症で気をつけなければならないものの1つに、フィラリア症(犬糸状虫症)が挙げられます。フィラリア症とは、フィラリア(犬糸状虫)という寄生虫が感染することで引き起こされ、ひとたび感染・発症してしまうと治療は難しいため、予防がとても重要になります。フィラリア症は犬の病気としてよく知られていますが、猫にも感染して症状を示すことがあるので、注意が必要です。
今回は犬と猫のフィラリア症について、その予防を中心にお伝えします。

 

フィラリア症とは

フィラリア症は、蚊によって媒介される寄生虫の病気です。

犬では、フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が吸血を介して血液中に移動し、成虫へと成長するとともに、肺の血管や心臓に寄生することで発症します。寄生によって血流に影響を及ぼすことで、呼吸器や循環器に関わる様々な症状が現れます。初期には無症状のこともありますが、一般的には咳や運動を嫌がるといった症状がみられます。

猫もフィラリアに感染しますが、犬と違い成虫がたくさん寄生することはまれです。とはいえ、猫では少し成虫がいただけでも重篤な状態に至ることがあり、3隻(せき:フィラリアの成虫は1隻、2隻と数えます)ほど心臓に詰まると亡くなってしまうともいわれています。また、猫の体内で幼虫や成虫が死滅すると、犬糸状虫随伴呼吸器疾患(HARD)という病気に発展し、咳や嘔吐といった症状を示すだけでなく、突然死することもあります。

フィラリア症予防が必要なわけ

フィラリア症は治療がとても難しい病気です。なぜなら、フィラリア症は成虫の寄生によって症状が現れるため、こうした状態の動物を治療するには、心臓や血管内にいるフィラリア成虫そのものを手術によって摘出する必要があるからです。
しかし、この手術は非常に難易度が高く、経験豊富な獣医師がいて適切な器具が揃っていても、必ずしも安全というわけではありません。

また、フィラリア成虫の寄生によって三尖弁がうまく閉じなくなると、大静脈症候群という状態に陥ってしまい、2日ほどで死に至ってしまう危険性もあります

一方で、フィラリアが幼虫の状態であれば、予防薬によって成虫になる前の段階で駆虫し、発症を防ぐことができます

これらのことから、フィラリア感染を未然に防ぐためには、フィラリア予防が非常に重要であると言えます。

フィラリア症の予防法

予防薬は、予防注射のように年1回の投与で通年予防できるものや、定期的に投薬が必要なものなどがあります。
当院の場合、犬では投与し忘れを防止でき、フィラリアが成虫化するリスクを少なくするためにも、年1回の注射による予防をお勧めしています。一方で、猫では通院と投薬がストレスになってしまうこともあるため、3カ月に1回の投薬をお勧めしています。

また、地域によっても異なりますが、当院がある地域では2023年の秋ごろも暑かったため、11月後半まで蚊が発生していましたそのため投与方法にかかわらず、通年での予防が望ましいと考えています

なお、予防薬にはノミ・ダニ予防を兼ねたものが一般的になりつつありますが、あえてフィラリアとノミマダニの予防薬を分けることで、何が原因で体調を崩しているのか判断しやすくなるというメリットもあるため、当院では別々に分けて予防する方法をご案内することも可能です。

「ノミ・マダニ対策」については、こちらのページをご覧ください

投薬時の注意点

「マンションの高層階は蚊が侵入しにくいからフィラリア予防は行わなくても大丈夫」と仰る飼い主様もいらっしゃいますが、蚊は人や動物、衣服、荷物に紛れ込んでいたり、エレベーターで地上から上ってきてしまう可能性もあります。そのため、マンションの高層階にお住まいで完全室内飼育だとしても、しっかりと予防することをお勧めします。

また、フィラリア症の予防薬は感染から約1カ月後の幼虫をターゲットにしていますが、それとは別にリーチバック効果があるともいわれています。これは投薬の遅れや忘れを取り返す効果のことで、仮に投薬を1、2回忘れてしまい感染の心配がある場合でも、その後投薬し続けることで未成熟虫(通常の予防薬が駆虫できるよりも大きな虫体)を駆除できることがわかっています。投薬の忘れによる感染・発症を防ぐためにも、間をあけずに通年投薬し続けることはメリットがあるといえます。

まとめ

フィラリア症は治療が難しいため、しっかりと予防して発症させないことがとても大切です。また動物は人間よりも圧倒的に早く年をとるため、その他の病気にも注意が必要です。特に猫では3カ月に一度、フィラリア治療薬を投薬するタイミングで、健康チェックをすることをお勧めします。

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<参考文献>
2018-AHS-Canine-Guidelines.pdf (heartwormsociety.org)

肛門周囲瘻(こうもんしゅういろう)とは、お尻の周りに瘻管(ろうかん)と呼ばれる穴ができる病気です。この病気自体が死に直結することはありませんが、再発を繰り返すことで潰瘍や出血が生じ、生活の質(QOL)が低下する原因になってしまいます。また、お尻の周りにできる腫瘍(肛門周囲腺腫や肛門嚢アポクリン腺癌など)によって症状が現れている可能性もあるため、検査をしてみなければ楽観視はできない病気です。
今回は犬の肛門周囲瘻について、原因やよくみられる症状とともに、当院での治療法をご紹介します。

 

原因

詳しい原因はわかっていませんが、現在では遺伝や免疫が関わっていると考えられています。
特にジャーマン・シェパードで発症しやすいことがよく知られています。それ以外の犬種でも、中高齢の雄に多いといわれています。

また、食物アレルギーが発症に関係するともいわれているため、特定の食品を摂取するとかゆみなどの症状が現れる犬では注意が必要です。

症状

お尻の周りにいくつかの瘻管ができ、炎症が生じることで、かゆみや不快感を覚えます。そのため、お尻を床などに擦りつけたり、舐めたり、かじったりといった様子がみられます

炎症が長期にわたると出血や潰瘍が生じ、次第に便が出にくくなったり、傷口から二次感染を起こしたりするケースもあります。

診断

お尻の状態を目視で確認することで、ある程度の推測は可能です。
ただし、肛門周囲腺腫や肛門嚢アポクリン腺癌といったお尻の周りにできる腫瘍でも同じような症状がみられるため、皮膚の組織を一部採り、顕微鏡で調べる必要があります

さらに、食物アレルギーが関わるとされているため、アレルギーの検査をする場合もあります。

治療

治療は内科療法外科療法に分かれます。
まずは免疫抑制剤で炎症反応を抑え、食物アレルギーがある場合は食事内容を変更して様子をみます。二次感染がある場合は、抗菌薬をあわせて投与します。

こうした内科療法を実施しても再発を繰り返す場合は、手術によって病変部分を取り除く必要があります。またその際には、会陰筋群(お尻の周りの筋肉)を極力傷つけないように注意が必要です。

術後は傷口から感染が広がらないよう、肛門に便がついたらすぐにきれいにすることが肝心です。特に下痢の場合は汚染が広がりやすいので、念入りにお尻を拭くように心がけましょう。

ご家庭での注意点や予防法

ジャーマン・シェパードは遺伝的に肛門周囲瘻を発症しやすいため、お尻の様子に注意しましょう。

また、肛門に限らず擦る・舐めるなどの行動がみられる場合には、アレルギーの検査を実施したり、検査結果に応じて食事内容を切り替えたりするなどの対策が有効です。

まとめ

肛門周囲瘻はジャーマン・シェパードに多い病気で、自然に治ることはないため、早期発見・早期治療が重要です。かゆみを覚えている場合は食物アレルギーが隠れている可能性もあるので、思い当たる節があればアレルギーの検査をしてみることをお勧めします。

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<参考文献>
Canine Perianal Fistulas: Clinical Presentation, Pathogenesis, and Management – ScienceDirect

前十字靭帯は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)を結び、歩いたり走ったりするときに膝を安定させる役割を担っています。その靭帯が切れてしまう病気が前十字靭帯断裂で、犬種に限らず発症する可能性があります。膝の関節が安定せずにうまく歩けなくなるため、普段の暮らしに大きな影響を与えてしまいます。
今回は犬の前十字靭帯断裂について、当院での治療法を中心にお伝えします。

 

原因

前十字靭帯断裂が発生する原因にはいろいろなものが考えられますが、特に加齢が影響するといわれています。年をとるにつれて前十字靭帯がだんだんと劣化し、体重の増加や運動による負荷、急な踏ん張りなどを受け止められなくなると、前十字靭帯断裂を発症します。ラブラドール・レトリーバーやハスキーなどの大型犬に多いといわれていて、特に肥満犬では注意が必要です。

その一方で、トイ・プードルやポメラニアンなどの小型犬でも発症するケースがあります。若い小型犬での発症は、遺伝により膝の関節が脱臼すること(膝蓋骨内方脱臼:パテラとも呼びます)が多く、それに伴って前十字靭帯断裂を発症することが知られています。

犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)についてはこちらのページをご覧ください

また、他にもがんや自己免疫性疾患が原因になることもあります。
その場合は、命に関わるケースもあるため、獣医師とよく相談されることをおすすめします。

症状

後ろ足を上げたままの状態になる、びっこをひく、後ろ足を引きずる、などの症状がよくみられます。これらの症状は急に現れることもあれば、じわじわと長い期間続くこともあります。

また治療が遅れると、部分的な断裂であったものが完全な断裂にまで悪化して、立てなくなる危険性があります。さらに、はじめは左右どちらかだけの断裂でも、約50%の犬が両方の足で断裂を起こしてしまうといわれています。

加えて、膝の関節には半月板という軟骨成分が含まれますが、前十字靭帯断裂に続いて半月板が傷つくことで、変形性関節症を発症し強い痛みを感じるケースもあります。

診断

まずは歩き方や座り方を観察するとともに、整形学的検査を行って膝の関節の動きを確かめます。

前十字靭帯が断裂していると、座ったときに足を外に投げ出したり、脛骨が通常より前に出たりする様子がみられます

その後、X線検査で関節周囲の骨や軟骨の状態を評価して、治療方針を検討します。

治療

健康に歩けるようになるためには、手術により膝の関節を安定させる必要があります。

その術式には様々な種類がありますが、当院ではラテラルスーチャー法(人工靱帯を使用した関節外縫)を採用しています。この方法では脛骨に穴をあけて糸を通しますが、糸の通し方を工夫し、骨と擦れないような物質を一緒にかけることで、人工靱帯を切れづらくしています。あわせて人工靱帯の素材(金属製のワイヤーなど)も、断裂の程度や体の大きさによって複数の中から吟味しています。

なお、大型犬の場合は人工靱帯では体重を支えきれず、別の術式(脛骨高平部水平化骨切り術:TPLO)の方が予後が良好であるケースが多いため、二次診療施設をご紹介させていただきます

また、小型犬でパテラにより前十字靭帯断裂が起こっていると考えられるケースでは、まずはパテラそのものを手術によってしっかりと治療することが大切です。

術後はご自宅でもしばらく安静に過ごしていただき、膝に負担をかけないようにすることが重要です。この病気は人間でもよく起こりますが、リハビリに膨大な時間と労力を要する怪我として知られていて、仮にスポーツ選手であれば競技を引退するレベルの致命傷になってしまいます。犬においても同様で、以前と同じように歩けるようになるには術後管理を徹底し、長い時間をかけて少しずつ回復させていく必要があります。

予防法やご家庭での注意点

前十字靭帯断裂はそのままにしていても自然には治らないので、早期発見・早期治療が肝心です。
特に膝のエコー検査は麻酔も必要なく、関節の状態を詳しく知ることができるので、小型犬・大型犬を問わず、症状がなくても定期的に実施することをお勧めします。
またエコー検査は、靭帯や半月板の損傷の発見だけでなく、滑車溝(膝の骨を安定させるくぼみで、パテラの発症に関わる)の深さの把握にも有用です。

加えて、関節への負担を和らげるため、フローリングに滑りにくいマットなどを敷くことや体重管理を行い、不用意に太らせないことも重要です。

まとめ

前十字靭帯断裂は、中〜高齢の大型犬に多いといわれていますが、小型犬でも発症するため、後ろ足の様子がおかしいようであれば、早めに動物病院を受診するようにしましょう。また、予防のためには足にかかる負荷を減らすために、適切な食事管理と適度な運動により愛犬の適切な体重管理をすることが重要です。

前十字靭帯断裂について、疑問点や気になることがあれば、当院までご相談ください。

◼️整形外科に関しては下記の記事でも解説しています。
犬の橈尺骨骨折について
犬のレッグ・ペルテスについて

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<参考文献>
The epidemiology of cruciate ligament rupture in an insured Swedish dog population – PMC (nih.gov)

肥大型心筋症は猫ではとても一般的な心臓の病気で、7歳以上の3割ほどがかかっているともいわれています。発症すると、口を開けて呼吸が苦しそうになる他、突然倒れてぐったりとする場合や、中には突然死してしまうケースもあるため、早期に発見して適切な治療を進めることが重要です。
今回の記事では、猫の肥大型心筋症について、その概要とともに当院での診断・治療法を詳しくご紹介します。

 

原因

心臓は4つの空間(右心房、右心室、左心房、左心室)に分かれていますが、肥大型心筋症とは、心室の壁の筋肉(心筋)が肥大する(厚みが増す)病気のことです。

中高齢の猫に多く、メインクーンやラグドール、アメリカン・ショートヘアなどの純血種でよくみられることから、遺伝が関わっているのではないかと考えられています

それ以外にも、甲状腺機能亢進症や全身性の高血圧など、他の病気に関連して発症することもあります。

症状

心室の壁が肥大すると硬く広がりにくくなるため、血圧の上昇や血流のうっ滞などに伴い、様々な症状が現れます。
よくみられる症状として、呼吸が速くなる(頻呼吸)、口を開けて苦しそうに呼吸する、動きたがらないといったものが挙げられます。

その他、血流がうっ滞することで血栓ができやすくなるため、動脈血栓症によって突然後ろ足が動かなくなることもあります
また、心臓がうまく動かないため失神し、突然倒れこんでしまうケースもあります。

ただし、心筋が肥大していてもこうした症状として現れない場合もあります

診断

肥大型心筋症を正確に診断するには、画像検査がとても重要です。

病院では心臓の聴診とともに、レントゲンや心臓のエコー検査を実施します。レントゲンでは「バレンタインハート」と呼ばれる、心房が膨らんだ像がみられることがあります。

心臓のエコー検査では、心臓の形や血流、心室の壁の厚み、心房の広さなどを観察します。この中で特に心室の壁の厚みが重要なポイントとなり、5.5mmを超えた場合には肥大型心筋症と判断します。
また、左心室の流出路(血液の通り道)が狭まっているかどうかを確認することも大切で、狭窄している場合は、閉塞性肥大型心筋症という危険な状態と判断できます。

その他にも、高齢の猫では甲状腺機能亢進症の持病をもっている場合も多いため、疑わしい場合はホルモン検査をご提案させていただくこともあります。

治療

病気の進行度合いによっても治療薬は異なりますが、基本的には内科療法によってコントロールします。

肥大型心筋症では、心筋が肥大すると心臓に入る血液の量が減るため、それを補うため猫の体は心拍数を上げようとしますが、心拍数が上がることで心筋が過剰に動いてしまい肥大が加速する、という悪循環に陥ってしまいます。

当院では、まずはその悪循環を断ち切るために、心拍数を落ち着かせる薬の処方をご提案します。一方で、ピモベンダンという、心不全治療薬を優先して処方する動物病院もありますが、閉塞性肥大型心筋症のケースではかえって病気を悪化させる原因となってしまうため、事前にしっかりと診断して適切な治療薬を選択することが重要になります。
また当院では、治療に際して循環器の認定医と連携しているため、安心してご利用ください。

それ以外にも、血栓を溶かす薬や利尿薬などを使用することもあります。

ご家庭での注意点や予防法

肥大型心筋症は、中高齢になるとよく起こる病気なので、これといった症状がなくても定期的に動物病院を受診することが肝心です。その際には、聴診や画像検査(レントゲンとエコー)に加え、血圧測定と心電図検査の実施もご検討ください。なぜなら、血圧と心拍数の数値が両方とも上がってしまうと、すぐに心筋が肥大してしまうため、それらの数値を正確に把握することが重要になるからです。あわせて、腎臓の機能が低下していると血圧が上がりやすいので、慢性腎臓病などの持病をもつ場合には特に注意しましょう。

当院の画像検診についてはこちらのページをご覧ください

まとめ

肥大型心筋症は、根治は難しいものの、早期に診断できればお薬で長期間コントロールできる病気です。定期健診で健康状態をチェックし、早期発見・早期治療を心がけましょう。

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<参考文献>
ACVIM consensus statement guidelines for the classification, diagnosis, and management of cardiomyopathies in cats – PMC (nih.gov)

レッグ・カルベ・ペルテス病(ペルテス病やレッグ・ペルテスともいいます)は成長期の小型犬に発生する病気で、その発生機序や発生部位から、大腿骨頭無菌性壊死症あるいは虚血性大腿骨頭壊死とも表現されます。はじめは歩き方に異常がみられる程度ですが、そのままにしていても良くなることはないため、早期発見・早期治療が肝心です。
今回の記事では、犬のレッグ・ペルテスの原因や症状だけでなく、当院での治療方針についてご紹介します。

 

原因

レッグ・ペルテスとは、後ろ足の大腿骨頭(大腿骨の付け根にある球状の部分)に血液が供給されないことで、壊死を引き起こす病気です。

今のところ明確な原因はよくわかっていませんが、ホルモンや遺伝、構造的な問題などが影響しているのではないかといわれています。

また、好発犬種としてトイ・プードル、ポメラニアン、マルチーズ、テリア種などの小型犬に多くみられており、1歳未満の成長期に多く発症します。

症状

初期には、壊死した大腿骨頭をもつ側の足をかばうように歩きます。治療せずにいると状態が悪化し、大腿骨頭の変形や骨折にまで至ることもあります。また、壊死が進むと関節に痛みを覚えて、足を地面に着けることを嫌がり、足を挙げるようになるため、足の筋肉がやせ細っていきます

ちなみに、大腿骨頭の壊死は通常片側に発生しますが、左右両方に起こってしまうケースもあります。

診断

診察では、歩き方や左右の足の筋肉量を注意深く観察し、触診で関節の痛みやズレがないかを調べます
レッグ・ペルテスでは、股関節の後方伸展時に痛みが生じることが特徴的です。

また骨や関節の状態を把握するには、X線検査が有用で、当院でも基本的にはX線検査の情報を元に、治療方針を考えていきます。
レッグ・ペルテスの場合、X線検査で大腿骨頭が変形していたり、壊死によってモヤがかかったり、斑点状に写ったりします。ただし、確定診断には病理検査(実際の組織を顕微鏡で観察する検査)が必要になります。

治療

当院では、痛みがあまり強くなければ内科療法を選択しています。
具体的には、痛みを和らげる薬の投与や運動の制限、レーザーを使った治療などが挙げられます。これらの治療をしても症状が悪化してしまったり、初診時から強い痛みがあったりする場合は、手術による治療が勧められます。

当院の投薬治療においては、内服薬の他、月に1度投与するタイプの注射薬の用意もございます。
また、お勧めのサプリメントのご紹介も可能ですので、お気軽にご相談ください。

手術の場合当院では、壊死した大腿骨頭を取り除く方法(大腿骨頭切除術)を用いています。大腿骨頭は腿や腰の筋肉によっておおわれていますが、当院では手術による痛みを最小限にするとともに、術後のリハビリ期間を短縮する目的で、これらの筋肉をなるべく切らずに手術するよう心がけています。
また、術後には積極的なリハビリが必要で、肥満体型の場合はダイエットをあわせてご提案する場合もございます。

当院の外科手術についてはこちらのページをご覧ください

予防法やご家庭での注意点

遺伝などが関係すると考えられているため、予防は困難です。

しかし、一度足の筋肉が衰えてしまうと、術後のリハビリ期間が長くなってしまうため、早期発見・早期治療が重要になります。

まとめ

レッグ・ペルテスは成長期の小型犬で多い病気です。早期発見・早期治療がポイントなので、今回ご紹介した好発犬種を飼われていて歩く様子が気になる場合は、早めに動物病院を受診することをお勧めします。

◼️整形外科に関しては下記の記事でも解説しています。
犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)について
犬の橈尺骨骨折について

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<参考文献>
Legg Calvé Perthes disease in the dog – ScienceDirect

 

突然ですが、愛玩(あいがん)動物看護師と動物看護スタッフの違いを理解されている飼い主様はいらっしゃいますか?
実は近年、愛玩動物看護師法という法律が制定され、その違いが文書によって明確になりました。愛玩動物看護師はこの法律に基づいた国家資格となり、その他の業務を動物看護スタッフが担当することになりました。今回の記事では、国家資格化の経緯や動物病院での業務の変化についてまとめました。

 

国家資格化の経緯

今まで動物看護師は民間の認定資格であって、国家資格ではありませんでした。そうした状況を改善するため、令和4年5月に「愛玩動物看護師法」という法律が施行され、令和5年2月19日に第1回目の国家試験が開催されました。
この国家試験に合格した動物看護師だけが、同年4月から「愛玩動物看護師」として働くことができています。また法律が整備されたことで、愛玩動物看護師ができる業務と、獣医師・動物看護スタッフがする業務が明確になりました。

愛玩動物看護師ができることと動物看護スタッフの業務

愛玩動物看護師法によって、愛玩動物看護師は以下の3つの業務ができると定められています。
1.愛玩動物の診療の補助
2.愛玩動物の世話やその他の看護
3.愛玩動物の愛護・適正な飼養に関わる助言やその他の支援

特に①の診療の補助ができるのは獣医師の他に、愛玩動物看護師の資格をもった人だけです。具体的には獣医師の指示のもとであれば、採血や投薬(補液も含まれます)、マイクロチップの挿入、カテーテルによる採尿などができるようになりました。

なお、レントゲンの撮影や手術、ワクチン接種など、動物への影響が大きい業務は引き続き獣医師のみが対応しています。

動物看護スタッフは、診療の補助以外の業務(入院動物のお世話、検査機器のセッティング、薬品の管理、受付対応など)を担当し、動物病院全体のサポートを受け持つようになりました。

愛玩動物看護師が飼い主様に与えるメリット

愛玩動物看護師が病院に所属することによる飼い主様メリットとしては、以下の3点が挙げられます。

より高い品質の獣医療の提供
専門的な知識、高い技術力を持つ愛玩動物看護師が病院スタッフの一員として加わることで、チーム獣医療体制が充実し、より高品質な獣医療のご提供が可能となります。具体的には、従来の動物看護スタッフと比較して自身の判断で業務を行える範囲が広がったため、迅速な判断を要する重篤な患者様の診療を行う場合などで命を救える可能性を高めることができます。

診療の待ち時間短縮
補液や採血などを愛玩動物看護師が対応できるようになったため、愛玩動物看護師の対応で問題ないという方は、獣医師の手が空いていない場合でも、お待たせすることなく対応できるケースもあります

飼い主様が病院を選ぶ基準の一つになる
また、「愛玩動物看護師が在籍している」=「国が定めた、看護に関する知識をきちんと習得したスタッフが在籍している」という証明になるため、「スタッフの質が高い病院に通いたい」というニーズを持つ飼い主様が病院を選ぶ際の一つの基準にもなります

まとめ

動物看護師は人の看護師のように国家資格化され、今まで以上に専門的な業務を任されるようになりました。そのため、座学での学習を診療現場に活かして、よりよい獣医療を提供できるように、日々研鑽を積んでいます。なお、動物看護スタッフは診療の補助はできませんが、獣医師・愛玩動物看護師と飼い主様を橋渡しする大切な役割を担っています。病気や普段のケアについてご不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。

ナガワ動物病院では愛玩動物看護師の資格をもったスタッフが在籍中です。また、当院では愛玩動物看護師、動物看護スタッフを募集しています。愛玩動物看護師の資格をもっていなくても、熱意があれば大歓迎です。当院の採用に少しでも興味がある方は、下記の応募フォームからぜひご連絡ください。
https://nagawaah-vet.com/recruit/

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<参考文献>
愛玩動物看護師:農林水産省 (maff.go.jp)

犬で頻繁に発生する骨・関節の病気として、橈尺骨(とうしゃっこつ)骨折が挙げられます。橈尺骨とは前腕部の骨で、肘と手首の間にある2本の骨(橈骨と尺骨)のことです。橈尺骨骨折は、家庭内のちょっとした段差などをジャンプしただけでも骨折するケースもあります。また、その治療には手術が必要ですが、若い犬では骨の成長に影響を及ぼす可能性もあるため、骨折の状態にあわせて適切な術式を選ぶ必要があります。
今回は当院での具体的な手術方法だけでなく、ご家庭での注意点についてもご紹介します。

 

原因

比較的多いのは、バギーから自分で飛び降りる、ソファーからジャンプする、抱っこ紐で両手をフリーにしている際に転んでしまうといった、ふとした事故が原因となるパターンです。

骨折は交通事故などで強い力が加わったときに起こると思われがちですが、橈尺骨は小さな力が加わっただけでも折れてしまう可能性があります。

特に、若い小型犬(トイ・プードルやポメラニアン、イタリアン・グレーハウンドなど)は活動的かつ骨が細いので、骨折しやすい傾向があります。
それ以外の年齢・犬種でも、ホルモンの病気などによって骨が弱くなっていると骨折しやすくなります。

症状

骨折すると痛みを感じるため、前足に触られることを嫌がるようになります。
また、患肢に体重をかけられないため、足を上げて歩くようになります。さらに、骨折した箇所は赤く腫れあがって、通常とは異なる方向に曲がっていることもあります。

診断

骨折の診断には、X線検査が役立ちます。
患肢と正常な前足の両方とも撮影して比較することで、骨折部位をより正確に把握することができます。またその際、若い動物では成長板が骨端部(骨の端で関節の近く)にあるので、成長版が傷ついていないかを注意して観察します。ただし、X線検査で診断したときには成長版に異変がなくても、将来的に骨の成長に影響する可能性もあります。

骨折時のX線画像

完治後のX線画像

治療

骨折の治療には、外固定法(ギプスなどを使用して皮膚の外側から固定する方法)あるいは手術による内固定法(プレート、髄内ピン法、インターロッキングなどのインプラントを使用して皮下で骨を直接固定する方法)を用います。

外固定

プレート

髄内ピン

当院では骨折の種類や部位、犬の年齢などを考慮して治療法を使い分けています。きれいな横骨折の場合はギプスのみを使用するケースもありますが、斜骨折やらせん骨折の場合は確実に骨を整復させて術後も健康に過ごしてもらうため、プレートを主に用いています
なお、1歳未満の若齢犬でトイ・プードルなどの小型犬種の場合は、成長板と骨折部位の距離によって、治療法を判断することもあります。

当院の外科手術についてはこちらのページをご覧ください

ご家庭での注意点や予防法

橈尺骨骨折は強い力が加わらなくても、ちょっとした高低差で発生する可能性があるので、抱っこ紐やバギーからはできるだけ飼い主様が降ろしてあげましょう
また、ソファなどの昇り降りにも、ステップやスロープがあるとより安心できます。

まとめ

橈尺骨骨折は活動的な小型犬に多い疾患です。特に子犬では、将来の骨の成長にも影響してしまうので、ジャンプした後に足を痛がるようであれば早めに動物病院を受診することをお勧めします。

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犬の炎症性ポリープは大腸に発生するできもの(腫瘤)のことで、中~高齢のミニチュア・ダックスフンドに好発することが特徴です。下痢や血便など、消化器に関連する症状が現れますが、その症状は異物誤飲や悪性腫瘍(がん)、細菌感染といったさまざまな病気にもみられるので、しっかりと検査を行って原因を特定することがとても重要になります。
今回は犬の炎症性ポリープについて、原因や症状とともに、当院での治療法をご紹介します。

 

原因

炎症性ポリープが発生する原因はよくわかっていませんが、国内のミニチュア・ダックスフンドによくみられることから、遺伝による免疫機能の異常が関わっていると考えられています
また、ポリープが癌化することも知られています。

症状

大腸(結腸と直腸)に大小さまざまなポリープ(ボコボコとしたできもの)ができるため、下痢や軟便、血便といった消化器症状が現れます。

診断

炎症性ポリープに限らず、便の異常を訴えて来院された場合、多くは直腸内診(直腸に指を入れて消化管壁を触る検査)を実施します
加えて、血液検査やX線検査、エコーなどで全身の状態も確認します。実際に触り凸凹の感触があった場合には、消化管内視鏡で中の様子を観察することもあります。ただし、大腸にボコボコとしたできものが発見できたとしても、炎症性ポリープと診断することはできません。というのも、大腸では炎症性ポリープの他にも腺腫などの良性腫瘍や、腺癌あるいはリンパ腫といった悪性腫瘍が発生することもあり、これらは見た目が非常に似ているからです。そのため、正確に診断するには消化管内視鏡を介してできものの一部を採取し、外部機関に病理検査を依頼する必要があります

治療

治療の選択肢は、内科療法と外科療法(手術)の2つに分けられます。
炎症性ポリープは免疫機能の異常によって発生すると考えられているため、ステロイドや免疫抑制剤を利用しますが、再発してしまうことが多いため、当院では手術による治療をお勧めしています。術式はさまざまありますが、当院では基本的に直腸プルスルー術というものを採用しており、これは肛門から直腸の粘膜ごと引き抜く術式です。

当院の外科手術についてはこちらのページをご覧ください

また手術後の管理がとても大切で、再発しないようにステロイドや免疫抑制剤を継続的に投与する必要があります。

ご家庭での注意点や予防法

発症には遺伝が関わっているといわれているため、確実な予防手段はありません。好発犬種を飼育していて、慢性的に下痢や軟便などがみられる場合には、早めに動物病院を受診しましょう

まとめ

下痢などの消化器症状は、単にお腹の調子が悪いときだけでなく、炎症性ポリープやその他の腫瘍などの重大な病気でも現れます。ご家庭で判断することは難しいので、症状が続く場合は炎症性ポリープなども疑って動物病院を受診することをお勧めします。

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<参考文献>
Histopathologic Features of Colorectal Adenoma and Adenocarcinoma Developing Within Inflammatory Polyps in Miniature Dachshunds – Tsubasa Saito, James K. Chambers, Ko Nakashima, Eri Uchida, Koichi Ohno, Hajime Tsujimoto, Kazuyuki Uchida, Hiroyuki Nakayama, 2018 (sagepub.com)
Comparison of the efficacy of cyclosporine and leflunomide in treating inflammatory colorectal polyps in miniature dachshunds – PMC (nih.gov)

チェリーアイとは、通常目頭の奥に収まっている第三眼瞼腺(だいさんがんけんせん)が、まぶたの外へと飛び出すことで、目頭がさくらんぼのように赤く腫れる病気のことです。命にかかわるようなことはありませんが、放っておくと目の炎症にもつながってしまうため、早めの治療が肝心です。
今回は犬と猫のチェリーアイについて、なぜ起こるのかを詳しく解説するとともに、典型的な症状や当院での治療法をご紹介します。

 

原因

まぶたのことを眼瞼(がんけん)と呼びますが、犬や猫では上下のまぶたの他に、瞬膜(第三眼瞼)という眼瞼をもっています。瞬膜は正常であれば目頭の奥に隠れていてほとんどみえませんが、瞬膜の分泌腺(第三眼瞼腺)がまぶたの外側に飛び出てしまうことでチェリーアイを起こします。また別名、第三眼瞼腺脱出ともいいます。

チェリーアイの原因は分かっていませんが、遺伝やケガ、炎症などによって、第三眼瞼腺と瞬膜をつなぎとめる組織の力が弱まる(あるいは傷つく)ことで発症すると考えられています。

また2歳未満の若い犬での発生が一般的で、特にアメリカン・コッカー・スパニエルやビーグル、ボストン・テリアといった中型犬でよくみられます。特に犬で多いことが知られていますが、猫でも発症します。

症状

チェリーアイの最も明確な症状は、目頭に赤い腫れがみられることです。はじめは違和感や不快感を覚えるだけで、ほとんど痛みを感じませんが、自分で引っかいたり擦りつけたりすると第三眼瞼腺が傷つくおそれもあります。さらに長期化すると角膜炎や結膜炎に発展して痛みを生じ、目が赤くなったり、目に触られることを嫌がったりします
また第三眼瞼腺はいわゆる涙腺の1つで、涙の30~60%ほどを作っているといわれているため、脱出した第三眼瞼腺が外から刺激を受けることで涙が過剰に出てしまう状態が続きます。

診断

目頭から赤色のものが飛び出していれば、視診だけでもチェリーアイと推測できます
ただし、目の腫瘍の可能性もあるため、特に中~高齢の犬や猫では手術で瞬膜線の一部を取り、組織検査を実施する必要があります。

治療

治療にはいくつか選択肢がありますが、当院ではまずステロイドの点眼薬をお試しいただき、すぐに治るようであれば様子をみて治療を終了とします

点眼で治らなければステロイドの全身投与を試み、それでも再発する場合には手術を実施します。ただし、好発犬種であったり、エリザベスカラーがつけられなかったりする場合には、最初から手術をご提案するケースもあります。手術には様々な術式がありますが、いずれも第三眼瞼腺を正常な位置に戻して固定するものです。なお、第三眼瞼腺を切除すると涙の量が減少してドライアイを招くため、最近では推奨されていません。

当院の外科手術についてはこちらのページをご覧ください

また重度角膜潰瘍の記事でもお伝えしたとおり、目の病気はエリザベスカラーの素材や装着の可否も重要です。適切なエリザベスカラーを装着することで治療しやすくなり、治療期間も短縮できます。

ご家庭での注意点や予防法

遺伝が発症にかかわっているといわれているため、具体的な予防手段はありません。しかし、定期的な眼科検査を受けることで病気を早期に発見し、早期に適切な治療を開始することができます

発症してから時間がたつと、角膜炎や結膜炎に発展するため、目の赤みや腫れなど、いつもと異なる症状を発見した場合は、早急に獣医師の診断を受けることが重要です。

まとめ

チェリーアイだけでなく、目の病気は早めの対処が大切です。普段から愛犬・愛猫の様子をよく観察して、少しでも異常がみられたらすぐに動物病院を受診しましょう。

◼️目の病気に関してはこちらのページでも解説しています
犬と猫の重度角膜潰瘍について
犬の白内障について

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<参考文献>
Breed and conformational predispositions for prolapsed nictitating membrane gland (PNMG) in dogs in the UK: A VetCompass study – PMC (nih.gov)