「急にごはんを食べなくなった」
「食欲は落ちているけれど、どこまで様子を見ていいのか分からない」

このような変化に不安を感じてご相談に来られる飼い主様は少なくありません。

犬や猫の食欲不振は比較的よく見られる症状ですが、その背景にはさまざまな病気が隠れていることがあります。また、血液検査だけでは分からない異常が、エコー検査(超音波検査)によって見つかることもあります。そのため「食べない」という症状に対しては、原因を丁寧に見極めていくことが大切です。

今回は、犬・猫の食欲不振で注意したいサインや考えられる原因、エコー検査で分かること、動物病院での検査や治療の考え方について詳しく解説します。

 

【結論】食欲不振は「元気があるか」だけで判断しないことが大切

いつもより食欲がなくても、少しは食べていたり、食欲以外は普段どおりに見える場合は、様子を見たくなることもあるかもしれません。しかし、元気があるように見えても、体の中では病気が進行しているケースがあります。

特に、次のような場合は早めの受診をおすすめします。

水も飲まない
嘔吐を伴う
数日単位で続いている
子犬・子猫、高齢
持病がある
短期間で体重が5%以上減少している
必要なエネルギー量(RER)の60%程度しか食べられていない状態が3日以上続いている

特に猫では、食べない状態が続くことで「脂肪肝」などの深刻な状態につながることもあります。そのため、場合によっては無理にでも栄養を入れる必要があるケースもあります。

食欲不振は「病名」ではなく「症状」です。背景にどのような原因があるのかを早めに確認することで、体への負担を抑えた治療につながることも少なくありません。

犬・猫の食欲不振で考えられる主な原因

犬や猫の食欲不振には、さまざまな原因があります。

例えば、比較的多いのは消化器のトラブルです。胃腸炎や異物誤食、膵炎、腸閉塞などでは、吐き気や腹痛によって食欲が落ちることがあります。猫では毛球症(毛玉による消化管トラブル)が関係しているケースもあります。

異物誤食について詳しくはこちらをご覧ください
膵炎について詳しくはこちらをご覧ください

また、肝臓・腎臓・胆のう・膵臓などの内臓疾患や、アジソン病、甲状腺機能低下症のようなホルモンの病気糖尿病などでも食欲不振が見られます。

アジソン病について詳しくはこちらをご覧ください
甲状腺機能低下症について詳しくはこちらをご覧ください
糖尿病について詳しくはこちらをご覧ください

そのほかにも、

腫瘍性疾患
感染症
歯周病や口内炎などの口腔内トラブル
ストレスや環境変化
加齢による変化
関節炎やヘルニアなどの痛み

など、原因は多岐にわたります。

このように「食べない=胃腸炎」と単純に決めつけられるものではありません。見た目だけでは分からない病気も多いため、必要に応じて検査を組み合わせながら原因を見極めていくことが大切です。

エコー検査(超音波検査)で分かること|食欲不振の原因特定につながるケース

エコー検査(超音波検査)は、お腹に超音波を当てて、体の中の状態を確認する検査です。比較的苦痛が少なく、基本的には麻酔をかけずに行えることが多いため、犬・猫への負担を抑えながら検査を進めやすいという特徴があります。

また、レントゲンやCT、MRIと異なり「動いている状態」をリアルタイムで確認できることも大きな特徴です。腸の動きや胆のうの状態、血流の変化なども観察することができます。

食欲不振では、次のようなケースでエコー検査が役立つことがあります。

異物誤食
膵炎
胆のう疾患
腫瘍
腸の動きの異常
腹水の有無 など

例えば、血液検査では大きな異常が見られなくても、エコー検査で腸閉塞や胆のうの異常が見つかることもあります。

もちろん、エコー検査だけですべてが分かるわけではありません。実際には、血液検査やレントゲン検査などを組み合わせることで、より精度の高い判断につながります。

エコー検査について詳しくはこちらをご覧ください

ナガワ動物病院での検査と治療の考え方|「なぜ食べられないのか」を丁寧に見極める

当院では、まず問診や身体検査を行い、全身状態を確認します。

・いつから食べないのか
・何なら食べるのか
・嘔吐や下痢はあるか
・体重は減っていないか

などを丁寧に確認したうえで、必要に応じて血液検査・レントゲン検査・エコー検査を組み合わせながら原因を探っていきます。

食欲不振の原因によって、必要な治療は異なります。

例えば、

点滴による脱水改善
吐き気止めの使用
消化に配慮した食事管理
内科治療
外科治療

など、その子の状態に合わせて対応を行います。

当院では「とりあえず食欲を出す」という対症療法だけではなく、なぜ食べられないのかを見極めることを重視しています。

そのため、症状だけで判断するのではなく、エコー検査を含めた画像診断を組み合わせながら、原因を丁寧に確認していきます。また、検査結果と全身状態を踏まえ、その子に合った治療方針を飼い主様と一緒に考えていくことを大切にしています。

よくある質問

Q. 少しでも食べていれば様子見で大丈夫ですか?
好きなものだけ食べる場合でも、体調不良が隠れていることがあります。特に、体重減少がある場合や、必要なエネルギー量を十分に摂取できていない場合には、早めの対応が必要になることもあります。

Q. 血液検査で異常がなければ安心ですか?
血液検査はとても重要な検査ですが、病気によっては初期段階では数値に異常が出にくいこともあります。肝臓や腎臓、炎症の有無などは血液検査で分かることがありますが、それだけでは判断できないケースもあるため、必要に応じてエコー検査などを組み合わせて確認していきます。

Q. エコー検査は痛くありませんか?
エコー検査は比較的負担の少ない検査で、基本的には麻酔なしで実施できます。状態を見ながら進めていくため、検査が初めての子でも受けやすい検査のひとつです。

まとめ|「少し様子を見る」前に

犬・猫の食欲不振は比較的よく見られる症状ですが、その背景にはさまざまな病気が隠れていることがあります。特に、嘔吐や元気低下を伴う場合や、子犬・子猫、高齢の犬・猫では、早めの受診が重要になることも少なくありません。

また、血液検査だけでは分からないケースでも、エコー検査によって原因が見えてくることがあります。

当院では、エコー検査を含めた画像診断を組み合わせながら、原因を丁寧に見極め、その子に合った対応をご提案しています。「何となく食欲がない」「どこまで様子を見てよいか分からない」と感じたときは、どうぞお気軽にご相談ください。

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愛猫が急に口を開けて「ハァハァ」と呼吸している様子を見て「これって大丈夫なの?」「すぐ病院へ行った方がいい?」と不安になった経験はありませんか?

猫は本来、基本的に鼻で呼吸をする動物です。そのため、犬のパンティングとは違い、猫の口呼吸は「何らかの異常のサイン」である可能性が高く、基本的には「すぐ受診するのが正解」といえます。

また「元気そうだから少し様子を見よう」と思っていても、猫は病気がかなり進行するまで症状を隠しているケースも少なくありません。

そこで今回は、

今すぐ受診すべき危険サイン
様子見してよいケースとの違い
猫の正常な呼吸との違い
考えられる病気
ご自宅での正しい対処法
動物病院での検査の流れ

について詳しく解説します。

 

まずセルフチェック|今すぐ受診を検討したい危険サイン

猫の口呼吸で、特に注意したいのは次のような症状です。

ぐったりしている
舌や歯ぐきが青白い、紫っぽい
安静時でも呼吸が速い(1分間に40回以上が目安)
「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がする
お腹を大きく動かして呼吸している
咳を伴う
横になれず座り込むような姿勢を取っている
食欲や元気が低下している

このような場合は、呼吸が十分にできていない可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。

一方で、興奮した直後や激しく遊んだ後、暑い場所にいた後などは一時的に口呼吸をすることもあります。ただし、数分で落ち着いて鼻呼吸に戻る場合でも、口呼吸を何度も繰り返したり、以前より頻度が増えているように感じる場合には、一度動物病院へ相談しておくと安心です。

そもそも猫の正常な呼吸とは?口呼吸との違い

健康な猫は、基本的に鼻で呼吸しています。そのため、安静時に口を開けて呼吸している場合は、うまく呼吸ができていない可能性があります。

また、犬では体温調節のために「パンティング」と呼ばれる浅く速い呼吸をよく行いますが、猫では犬ほど一般的ではありません。そのため、犬と同じ感覚で「暑いだけかな」と判断しないことが大切です。

安静時の呼吸数の確認方法

ご自宅では、寝ているときやリラックスしているときに呼吸数を確認してみましょう。

① 胸やお腹の上下を観察する
② 15秒間の呼吸回数を数える
③ 4倍して1分間の呼吸数を計算する

一般的には、安静時で1分間20〜30回程度が目安とされています。40回を超える場合には注意が必要です。

猫が口呼吸をする主な原因

猫の口呼吸には、さまざまな原因があります。

呼吸器の病気

猫風邪などの上気道感染症猫喘息では、鼻や気道の炎症によって呼吸がしづらくなることがあります。
特に喘息では、咳やゼーゼー音、呼吸のしづらさなどが続くことがあります。

心臓病

中高齢の猫では、肥大型心筋症が問題になることがあります。
心臓病が進行すると、肺や胸に水がたまり、呼吸が苦しくなることがあります。

肥大型心筋症について詳しくはこちらをご覧ください

胸水・腹水

胸やお腹に水がたまることで、肺が十分に広がらず、呼吸が苦しくなるケースがあります。

熱中症

高温環境では、猫も熱中症を起こします。特に夏場の室温管理には注意が必要です。

熱中症について詳しくはこちらをご覧ください

痛み・ストレス

強い痛みや不安、緊張によって、一時的に呼吸が速くなることがあります。

貧血

酸素を運ぶ力が低下すると、酸素不足を補うために呼吸が速くなることがあります。

異物

鼻や喉に異物が詰まることで、正常な呼吸ができなくなることがあります。

異物誤食について詳しくはこちらをご覧ください

肺がん・がんの肺転移

肺にできた腫瘍(肺がん)や、他の臓器にできたがんが肺に転移すると、呼吸が苦しくなることがあります。

見た目には元気そうに見えても、実際には病気が進行しているケースもあります。特に猫は不調を隠しやすいため「少し変だな」と感じた段階で相談することが大切です。

口呼吸を見つけたときの正しい対処

猫が口呼吸をしている場合は、まず落ち着いて安静にさせましょう。

ご家庭で行いたいこと

静かで涼しい場所へ移動する
興奮させない
呼吸の様子を動画で撮影する
早めに動物病院へ連絡する

呼吸の動画は、診察時の大きな手がかりになります。

やってはいけないこと

無理に抱っこして移動する
口を開けて確認しようとする
長時間様子見を続ける

特に、苦しそうな状態で無理に動かすと、さらに呼吸状態が悪化することもあります。

動物病院での検査・診断の流れ

動物病院では、まず問診や視診、聴診を行い、呼吸状態や全身状態を確認します。その後、必要に応じて次のような検査を組み合わせながら原因を探っていきます。

レントゲン検査:肺や心臓の状態、胸水の有無などを確認
血液検査:炎症や貧血、内臓の状態を確認
エコー検査(超音波検査):心臓の動きや胸腹水の有無を確認

特に心臓病では、エコー検査が重要になるケースも少なくありません。当院では、猫への負担にも配慮しながら、その子の状態に応じて必要な検査を組み合わせ、原因を丁寧に見極めていきます。

エコー検査について詳しくはこちらをご覧ください

よくある質問

Q. 猫が口呼吸しているけれど元気です。様子を見ても大丈夫?
元気そうに見えても、病気が隠れているケースがあります。口呼吸が見られる場合には、早めの受診をおすすめします。

Q. 寝ているときだけ口呼吸するのは大丈夫?
一時的な姿勢の影響などで見られることもありますが、繰り返す場合や呼吸数が多い場合には注意が必要です。

Q. 興奮や運動の後だけ口を開けて呼吸します。受診した方がいいですか?
短時間で落ち着き、普段通りに戻る場合もあります。ただし、頻繁に見られる場合や以前より増えている場合には、一度相談することをおすすめします。

Q. 症状が出た後すぐに治まりました。それでも病院に行くべき?
症状が一時的に見えても、背景に病気が隠れているケースがあります。不安がある場合には、できれば呼吸の動画をお持ちのうえご相談ください。

まとめ|迷ったときはまずご相談ください

猫の口呼吸は、犬とは違い、基本的には異常のサインと考えます。中には一時的な興奮や暑さによるものもありますが、呼吸器疾患や心臓病など、早めの対応が必要な病気が隠れていることも少なくありません。

当院では、レントゲン検査やエコー検査などを組み合わせながら、猫への負担にも配慮して原因を丁寧に見極めています。

「今は普通に戻っているから受診しても分からないかも…」と迷われる場合でも、症状が出ているときの動画があると、診察時の大切な手がかりになります。もちろん、動画が撮れなかった場合でも、そのままご相談いただいて大丈夫です。

お電話でのご相談のほか、オンライン予約・LINE予約にも対応しております。気になる様子があれば、まずはお気軽にご相談ください。

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(最終更新日:2026年6月26日)

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愛犬の便に血が混じっていることに気づくと、とても心配になる一方で、すぐに動物病院に行くべきかどうか迷われる飼い主様も多いのではないでしょうか。

特にいつもどおり元気に過ごしていると、受診のタイミングを迷いやすいかもしれません。確かに血便は一時的な刺激で見られることもありますが、なかには早めの対応が必要なケースもあるため注意が必要です。

今回は、犬の血便で受診を急ぐべきサインや様子見の判断の考え方、原因や検査の流れについて、飼い主様の視点で解説します。

 

まず確認したい|犬の血便で受診を急ぐべきケース

血便が見られたとき、まずは緊急性の高いサインがないかを確認することが大切です。次のような場合は、できるだけ早めの受診をおすすめします。

黒い便が出ている
血便が何度も続く
嘔吐、元気消失、食欲不振がある
子犬、高齢犬、持病がある犬
誤飲誤食の可能性がある
血の量が多い

特に黒い便は、胃や小腸など体の上部からの出血を示していることがあり、重篤な状態が隠れている可能性もあります。また、嘔吐や元気の低下など他の症状を伴う場合は、体全体に影響が出ている可能性があるため注意が必要です。

元気があっても様子見しすぎない方がよい血便とは

「元気もあるし食欲もあるから、もう少し様子を見てもいいかも」と感じる場面もあるかもしれません。ただし、次のような血便が見られる場合は、元気があっても注意が必要です。

鮮血が少量でも繰り返す
ゼリー状の粘液が混じる
数日以内に同じような症状を繰り返す
便の形や回数に変化がある

こうした変化は、大腸の炎症や感染などが関係していることもあり、軽く見えても、一度動物病院で状態を確認しておくと安心につながります。

「元気があるかどうか」だけで判断せず、便の状態や変化もあわせて見ていくことが大切です。

犬の血便の見分け方|鮮血便と黒色便の違い

血便には大きく分けて「鮮血便」と「黒色便」の2つがあります。

鮮血便

新鮮な赤い血が混じる便で、大腸や直腸、肛門付近からの出血が考えられます。比較的身近なトラブルとして見られることもありますが、繰り返す場合は注意が必要です。

黒色便

血液が消化されて黒くなった便で、胃や小腸など体の上部からの出血が疑われます。見た目は黒く、タール状になることもあり、特に注意が必要なサインです。

このように、血便の色や状態によって、出血している場所や緊急性の目安が変わります。

犬の血便の主な原因

犬の血便にはさまざまな原因がありますが、代表的なものとしては以下が挙げられます。

寄生虫感染(ジアルジア、コクシジウムなど)
食べたものによる刺激(異物、食事の急な変更、アレルギーなど)
炎症性腸疾患
感染症(パルボウイルスなど)
腫瘍(特に高齢犬)
ストレスによる腸の炎症
排便しぶりによる粘膜の傷

この中でも、子犬の場合は感染症による影響を受けやすく、体調が急激に悪化することもあるため特に注意が必要です。また、異物誤食が原因の場合は急変することもあり、緊急性が高いケースもあります。

血便を見つけたときにご家庭で確認していただきたいポイント

受診の際には、次のような情報があると診断の助けになります。

便の色や量、回数
元気や食欲、嘔吐の有無
直前に食べたものや環境の変化

また、可能であれば血便をそのまま持参していただくことで、糞便検査をスムーズに行うことができます。スマートフォンで便の様子を記録しておくのも有効です。
なお、ティッシュペーパーなど水分を吸収する素材ではなく、ラップやアルミホイルなど、水分を吸収しない素材に包んでお持ちいただけると、より正確な診断につながります。

動物病院ではどんな検査・治療を行う?

動物病院では、まず問診身体検査を行い、症状の経過や全身の状態を確認します。そのうえで、必要に応じて次のような検査を組み合わせ、血便の原因を絞り込んでいきます。

糞便検査
血液検査
レントゲン検査
エコー検査(超音波検査)

血便の原因はさまざまであるため「どこで」「何が起きているのか」を見極めることが重要です。

治療の考え方

治療は原因によって異なりますが、当院では症状だけで判断するのではなく、検査結果と全身状態を踏まえ、その子にとって最適な方法を選択していきます。

感染や炎症が原因の場合:抗菌薬や抗炎症薬を用いて、腸の状態を整えていきます
寄生虫が関係している場合:駆虫薬による治療を行います
異物が疑われる場合:状態に応じて内視鏡や外科手術を検討します
食事や体質が関係している場合:食事の変更や、継続的な管理を行います

当院では、検査から治療まで一つひとつの過程を丁寧に確認しながら進めていきます。「どこまで検査が必要なのか」「どの治療を選ぶべきか」といった点についても、状態に応じてご説明しながら一緒に考えていきます。

まとめ|迷ったときは「元気があるか」だけで判断しないことが大切

犬の血便は、一時的な刺激によるものから、注意が必要な病気までさまざまな原因で起こります。元気がある場合でも「回数が増えている」「繰り返している」といった変化がある場合は、体からのサインである可能性があるため注意が必要です。

ご自宅では、水分がしっかり取れているかを確認しながら、便の色や回数の変化を記録し、ストレスの少ない環境を整えることを意識してみてください。こうした日々の観察が、早期の気づきにつながることもあります。

そのうえで「様子を見てもよいのか迷う」と感じたときは、ひとつの受診のタイミングです。気になる症状があればどうぞお気軽にご相談ください。

(最終更新日:2026年5月22日)

 

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愛犬や愛猫の体にしこりを見つけたとき「これは危険なものなのか」「すぐに手術が必要なのか」と不安に感じられる飼い主様も多いのではないでしょうか。

しこりは見た目や触った感じからある程度の傾向を推測できることもありますが、それだけで良性・悪性をはっきりと判断することはできません。一方で、早い段階で状態を確認しておくことで、負担の少ない方法で対応できる可能性が広がることもあります。

今回は、しこりの良性・悪性の考え方や受診の目安、動物病院での検査や手術の流れについて解説します。

 

良性・悪性の考え方|見た目でどこまで分かる?

しこりには、比較的おとなしい性質の「良性」と、周囲に広がったり転移したりする可能性のある「悪性」があります。

一般的には、次のような傾向があります。

ゆっくり大きくなるものは良性が多い
短期間で急に大きくなるものは悪性の可能性がある
しこりの大きさが3cmを超えると、悪性の可能性が高まる

ただし、これらはあくまで「傾向」であり、見た目や触った印象だけで断定することはできません。「柔らかいから脂肪だろう」「高齢だから様子を見よう」といった判断をされる方もいらっしゃいますが、実際にはそれだけで安全とは言い切れないケースもあります。

また、しこりが見つかったからといって、必ずしもすぐに手術が必要になるわけではありません。しかし一方で、放置してよいとも限らないのが難しいところです。大切なのは、まず検査を行い、そのしこりの性質を見極めることといえます。

こんなしこりは要注意|受診を検討したいサイン

しこりの中には、早めに確認しておきたいものもあります。次のような変化が見られる場合は、一度動物病院での診察を検討しましょう。

急に大きくなった
短期間でサイズが変わる
固くて動かない
赤みや出血、潰瘍がある
数が増えている
触ると嫌がる・痛がる
乳腺や口の周り、四肢の先端など特定の部位にできている

こうした特徴がある場合、単なる良性のしこりではない可能性も考えられます。

代表的なしこりの例と特徴

実際に犬や猫で見られるしこりには、いくつか代表的なものがあり、それぞれ性質や対応が異なります。

脂肪腫
やわらかく動きやすいことが多く、比較的ゆっくり大きくなる傾向がある良性のしこり

肥満細胞腫
見た目だけでは判断が難しく、悪性腫瘍に分類されるため、早めの検査が重要なしこり

肥満細胞腫について詳しくはこちらをご覧ください

乳腺腫瘍
特に未避妊のメスに多く見られ、良性・悪性の割合が半々程度といわれるしこり

乳腺腫瘍ついて詳しくはこちらをご覧ください

それぞれ見た目や触った印象が似ていることもあり、最終的には検査による見極めが欠かせません。

動物病院での検査と見極め

しこりを評価する際には、いくつかの検査を組み合わせて判断していきます。

問診・触診

まずは「いつからあるか」や「大きさや変化のスピード」といった問診を行います。
触診では、しこりの大きさや硬さ、動くかどうかなどを確認します。

細胞診

細い針を使ってしこりの細胞を採取し、顕微鏡で確認する検査です。体への負担が比較的少なく、しこりの性質を判断する大きな手がかりになります。

各種検査

必要に応じて、レントゲンエコー検査を行い、体の内部への影響や広がりを確認します。

これらの検査結果をもとに、しこりの性質や今後の方針を判断していきます。

さらに、摘出が適していると判断された場合には、手術でしこりを取り除き、その組織を詳しく調べる「病理検査」によって、最終的な確定診断を行います。

当院では、こうした検査結果をもとに、全体の状態を総合的に評価したうえで治療方針を決定しています。

手術が必要になるケースと摘出の流れ

しこりの中には、手術を行わずに経過をみるケースや、内服薬で改善が期待できるケースもあります。

例えば、炎症が原因の場合には、抗生物質やステロイドの投与によって改善することもあります。また、診断の一環として薬の反応を見るケースもあるため、その場合はご自身の判断で中断せず、獣医師の指示どおりに継続することが重要です。

一方で、次のような場合には手術を検討することがあります。

悪性が疑われる場合
しこりが大きくなり続けている場合
日常生活に支障が出ている場合
早期に摘出した方が体への負担が少ないと判断される場合
良性か悪性か判断が難しく、病理検査が必要な場合

しこりは「すぐに手術」となるわけではありませんが、適切なタイミングでの判断がとても重要です。

しこり摘出の流れ

実際に手術が必要と判断された場合には、次のような流れで進めていきます。

① 手術適応の判断
まずは診察や検査結果をもとに、しこりの性質や全身の状態を踏まえ、手術が適しているかどうかを慎重に判断します。

② 摘出手術
手術の必要があると判断された場合には、しこりを外科的に摘出します。体への負担や術後の回復も考慮しながら、無理のない方法を選択します。

③ 病理検査(確定診断)
摘出したしこりは専門の検査機関で詳しく調べ、良性・悪性の最終的な診断を行います。

④ 術後管理・経過観察
手術後は、傷の状態や全身の回復具合を確認しながら経過をみていきます。必要に応じて内服や通院でのフォローを行い、無理のない回復を目指します。

このように、しこりの治療は「取り除いて終わり」ではなく、その後の評価や管理まで含めて進めていくことが大切です。

腫瘍摘出手術について詳しくはこちらをご覧ください

まとめ|迷ったときこそ早めの相談が選択肢を広げる

犬や猫のしこりは、見た目や触った感触だけで良性・悪性を判断することはできません。一方で、早めに動物病院で検査を行い、状態をきちんと見極めることで、負担の少ない方法で対応できる可能性もあります。

当院では、しこりの見極めから必要に応じた摘出手術、その後の管理まで一貫して対応しています。「様子を見てもいいのか迷う」と感じたときこそ、ひとつの判断のタイミングです。気づいた時点で、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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愛犬が何度もくしゃみをしていると「ほこりかな」「すぐにおさまるよね」と気になりつつも、受診すべきかどうか判断に迷われることがあるかもしれません。

確かにくしゃみは一時的な刺激でも起こるため、必ずしもすぐに心配が必要なわけではありません。ただし、回数や続く期間、ほかの症状によっては、病気が隠れていることもあります。まずは「どのようなくしゃみが受診の目安になるのか」を知ることが大切です。

今回は、原因やチェックポイントとあわせて、受診の判断の目安についてご紹介します。

 

【結論】犬のくしゃみは“回数・期間・症状”で判断

犬のくしゃみは「何回くらい出ているか」「どれくらい続いているか」「ほかに症状があるか」をあわせて見ていくことが大切です。

たとえば、数回のくしゃみでおさまり、その後も元気や食欲に変化がない場合には、一時的な刺激によるもので、様子を見てよいこともあります。

一方で、くしゃみの回数が増えてきたり、何日も続いたり、鼻水や元気の低下などほかの変化が見られる場合には、体の不調が関係している可能性があります。

このように「どのような出方をしているか」を全体として捉えることが、受診のタイミングを判断するうえで重要なポイントになります。

受診をおすすめするくしゃみの特徴

「どのくらいで受診すべきか迷う」という場合は、次のポイントを目安にしてください。

1日に何度もくしゃみを繰り返す
1週間ほど続いている
鼻水の色が黄色・緑色、または血が混じっている
元気や食欲が落ちている
呼吸がしづらそう、苦しそうにしている

こうした場合は、単なる刺激ではなく、感染症や異物、腫瘍などが関わっている可能性があります。くしゃみ自体は決して珍しい症状ではありませんが、回数や持続期間が増えてくると「体からのサイン」であることが多くなります。

犬のくしゃみの主な原因

犬のくしゃみには、さまざまな原因が考えられます。

アレルギー(花粉・ハウスダストなど)
感染症
異物(草や種、ほこりなど)
歯周病
腫瘍

この中でも見落とされやすいのが「歯周病」です。歯周病菌が鼻の奥に広がることで、くしゃみや鼻水の原因になることがあります。

歯と鼻は近い位置にあるため、歯ぐきの炎症が進むと、鼻の症状としてあらわれることがあります。見た目には口の中の異常がわかりにくいこともあり、くしゃみだけをきっかけに気づくケースもあります。
口臭が気になる、食べ方が変わった、片側だけ鼻水が出るといった変化があるときは、歯周病も含めて確認することが大切です。

歯周病について詳しくはこちらをご覧ください

また、子犬の時期にくしゃみが続く場合は「ケンネルコフ(犬伝染性気管気管支炎)」が関係していることもあります。治療が遅れると、その後の呼吸器トラブルにつながることもあるため、早めの対応が大切です。

鼻水の色でわかる注意サイン

くしゃみとあわせて、鼻水の状態も大切な判断材料になります。見た目の違いから、ある程度原因のヒントが得られることもあります。

・透明でさらさら
一時的な刺激アレルギーが関係していることがあります。ただし、大量に続く場合や長引く場合は注意が必要です。

・黄色・緑色でどろっとしている
細菌感染などが関わっている可能性があります。粘り気が強い場合やにおいがある場合は、炎症が進んでいるサインのこともあります。

・血が混じる
異物が入っている粘膜が傷ついている腫瘍などの可能性も考えられます。特に片側だけから出ている場合は注意が必要です。

このように、鼻水の色や状態は「体の中で何が起きているか」を知るヒントになります。普段と違う鼻水が続く場合は、早めに動物病院で確認することをおすすめします。

逆くしゃみとの違い

くしゃみとよく似た症状に「逆くしゃみ」があります。初めて見ると「呼吸が苦しそう」と感じて驚かれることも多い症状です。

くしゃみ:外に「くしゅん」と勢いよく出す動き
逆くしゃみ:鼻から空気を吸い込むような動き(ズーズー、ブーブーという音)

逆くしゃみは、鼻の奥や喉に刺激が加わったときに起こる反応で、数十秒〜1分ほどで自然におさまることが多く、基本的には緊急性は高くありません。

ただし、頻繁に繰り返したり、回数が増えてきている、呼吸が苦しそうに見えるといった場合には、別の原因が隠れていることもあるため、一度動物病院にご相談いただくと安心です。

ご自宅で確認してほしいポイント

受診の際には、事前にいくつかのポイントを確認しておくことで、よりスムーズに状態を把握することができます。

くしゃみの回数や頻度(いつから、どのくらい増えているか)
鼻水の色や粘り気の変化
元気や食欲、行動の変化

こうした情報は、診断の大切な手がかりになります。

また、くしゃみや呼吸の様子は、その場で再現できないことも多いため、スマートフォンなどで動画を撮影しておくと、より正確な判断につながります。「気になる様子があるけれど、説明が難しい」と感じる場合も、動画があることで状態を共有しやすくなります。

まとめ|迷ったときこそ、ひとつの判断のタイミング

犬のくしゃみは一時的なこともありますが、回数や期間、ほかの症状によっては、病気が関係していることもあります。特に「何度も繰り返す」「長く続く」「元気や食欲が落ちている」といった場合は、早めに状態を確認することが大切です。

当院では、症状の出方や生活環境を丁寧にお伺いしながら、その子の状態に合わせて必要な検査や治療をご提案しています。「様子を見てもいいのか迷う」と感じたときこそ、ひとつの判断のタイミングです。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

(最終更新日:2026年4月20日)

 

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愛犬が何かを飲み込んでしまったかもしれないとき、あまり深刻な様子が見られないと「少し様子を見てもいいのかな」と迷われる飼い主様も多いのではないでしょうか。

しかし誤飲・誤食では、異物が胃を越えて腸に進んでしまうと、催吐処置(吐かせる処置)や内視鏡では対応できないことがあるため、早めの対応が重要です。また、腸に異物が詰まることで腸閉塞や血流障害が起こることがあり、その結果、腸を切ってつなぐ手術が必要になる場合もあります。

今回は、犬の誤飲が進行して腸閉塞につながるケースや、どのような症状に注意すべきか、動物病院での診断と治療の流れについて詳しく解説します。

 

腸閉塞とは|誤飲した異物が腸まで進むとどうなる?

腸閉塞とは、飲み込んだ異物が小腸に詰まり、食べ物や消化液の流れが止まってしまう状態のことです。

誤飲したものが胃の中にある段階であれば、催吐処置や内視鏡で対応できる場合があります。しかし、異物が胃を越えて小腸に進んでしまうと内視鏡では届かないため、治療の選択肢が変わってきます。

異物が腸の中にとどまり、詰まった状態が続くと、次のような変化が起こります。

 詰まりが続く
 ↓
 腸の壁に圧力がかかる
 ↓
 血流が悪くなる
 ↓
 腸の一部が傷む・壊死する
 ↓
 腸に穴があく(穿孔)
 ↓
 お腹の中に炎症が広がる

このような状態では、傷んだ部分を切除し、健康な腸同士をつなぐ「小腸切除吻合術(しょうちょうせつじょふんごうじゅつ)」が必要になることがあります。

こんな症状は要注意|ただの嘔吐と様子見してはいけないサイン

犬の嘔吐は比較的よく見られる症状ですが、すべてが「少し様子を見て大丈夫」というわけではありません。特に次のような場合では、腸に異物が詰まっている可能性を考える必要があります。

嘔吐を繰り返している
食べても吐く、水を飲んでも吐く
元気や食欲がない
お腹を痛がる、落ち着かない
便が出ない、または少ない
何かを誤飲した可能性がある、または過去に誤飲したことがある
若い犬である

もし腸に異物が詰まっていると「吐いてはいるけれど元気そうに見える」「半日たてば落ち着くかもしれない」と様子を見ている間に、腸への負担が進んでしまうケースもあります。

繰り返す場合や他の症状を伴う場合には、ただの胃腸炎ではなく、腸閉塞のような緊急性の高い状態が隠れていることもあることを、ぜひ知っておいていただきたいと思います。

動物病院での診断と治療の流れ|どんなときに手術が必要になる?

誤飲後の嘔吐や元気・食欲の低下が見られる場合、まず大切なのは「異物がどこにあるのか」「本当に腸閉塞が起きているのか」を正確に見極めることです。

診断の流れ

まずは問診で、何を飲み込んだ可能性があるか、いつから症状が出ているかを詳しく確認します。嘔吐は膵炎など他の病気でも見られるため、症状の出方や経過を丁寧に整理することが重要です。

そのうえで、次のような診察・検査を組み合わせて状態を確認します。

・触診
・レントゲン検査
・エコー検査

レントゲン検査では、異物の有無や腸のガスのたまり方などを確認し、全体的な状態を把握します。

一方で、異物の種類によってはレントゲンでは見えにくいこともあるため、エコー検査がとても重要になります。エコーでは、異物の位置だけでなく、腸の動きや腸壁の状態、腹水の有無なども確認し「詰まっているのか」「腸にどの程度の負担がかかっているのか」を見極めながら治療方針を判断していきます。

治療の流れ

胃の中に異物がとどまっている場合には、催吐処置や内視鏡による摘出が選択肢になることがあります。ただし、レントゲンやエコー検査で異物がすでに腸まで進んでいることが分かった場合や、閉塞・穿孔・壊死が疑われる場合には、外科手術が必要になります。

その際に行うのが「小腸切除吻合術」です。これは、傷んだ腸の部分を切除し、健康な腸同士をつなぐ手術です。単に異物を取り出すだけではなく、すでにダメージを受けてしまった腸を安全に処置するために必要となります。

手術後の管理とナガワ動物病院の考え方

腸の手術は、手術を行えば終わりというものではなく、術後の管理も含めて、丁寧に経過を見ていくことがとても重要です。術後には、次のような管理を行います。

点滴による全身管理
痛みの管理
食事再開のタイミング調整
縫合部の状態確認
全身状態のモニタリング
退院時期の判断

食事の再開は、その子の状態や腸の回復具合を見ながら慎重に進めますが、一般的には術後2日目頃から流動食を開始することがあります。また、退院のタイミングは一律ではありませんが、多くのケースで固形の便が確認できることをひとつの目安としています。

回復を支えるために大切なこと

腸の手術では、どの部分まで傷んでいるかを正確に見極めること、そして術後に腸がきちんと回復していくかを継続して確認することが大切です。当院では、画像検査による病態判断から手術、術後管理まで一貫して対応し、その子の状態に合わせて必要な管理を進めています。

こうした一つひとつの積み重ねが、術後の回復を支える重要な要素になります。

まとめ|誤飲後の嘔吐が続くときは、早めの判断が大切

犬の誤飲では、異物が腸まで進んでしまうと内視鏡では届かず、手術が必要になることがあります。特に、嘔吐を繰り返す、水を飲んでも吐く、元気や食欲がないといった症状が見られる場合には、腸閉塞のような進行した状態も考える必要があり、早い段階で状態を把握することが、体への負担を抑えた治療につながることも少なくありません。

また、こうしたケースでは、エコー検査などを用いて異物の位置や腸の状態を丁寧に見極めることが大切になります。当院では、画像検査による病態の見極めから手術、術後管理まで一貫して対応し、その子の状態に合わせた治療方針をご提案しています。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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犬の「膝蓋骨脱臼(パテラ)」は、膝のお皿の骨が本来の位置から外れてしまう整形外科の病気で、足を浮かせる・スキップするように歩くといった様子の原因になることがあります。

そして「手術が必要なのか」「様子を見ても大丈夫なのか」と判断に迷われる飼い主様も多くいらっしゃる疾患です。

今回は、パテラを放置した場合のリスクや手術の目安、そして当院における診療の考え方について詳しく解説します。

 

【結論】「グレードだけ」で手術は決めない|症状と将来リスクを総合判断

パテラには「グレード」と呼ばれる、重症度を4段階で評価する目安があります。そのため、グレードの数値が手術の判断基準になるのではと考えられることもありますが、実際の診療ではグレードの数値だけで治療方針を決めることはありません

歩き方や痛みの有無、関節の状態、将来的な悪化リスクなどを総合的に見て、その子に合った治療方針を検討していきます。

今すぐ手術を検討するケース

グレード3〜4で脱臼が常態化している
歩行異常が固定している(足を引きずる、常に浮かせるなど)
前十字靭帯断裂のリスクが高い状態
若齢で、将来的な関節変性をできるだけ防ぎたい場合

一見元気に見えていても、膝の関節には継続的な負担がかかっていることもあり、気づかないうちに状態が進行しているケースも少なくありません。

経過観察が可能なケース

グレード1〜軽度のグレード2
痛みがなく、日常生活に大きな支障がない
筋肉量がしっかり保たれている

このような場合には、体重管理や筋肉維持、生活環境の見直しといった保存的な管理を行いながら、定期的に状態を確認していく選択肢もあります。

グレードの数値だけで手術の必要性が決まるわけではないという点が、パテラの治療判断ではとても重要なポイントです。

グレード1〜4の違い|重症度と当院の考え方

それでは、グレード1〜4では具体的にどのような違いがあるのでしょうか。パテラは、脱臼の程度によって次のように分類されます。

グレード状態の目安
手で押すと外れるが、自然に元の位置に戻る
曲げ伸ばしで外れることがある
常に外れているが、手で戻せる
常に外れており、手で戻らない

ただし、実際の治療方針はグレードの数値だけで決まるものではありません。脱臼の程度に加えて、関節の状態や炎症の進行、靭帯への負担などを丁寧に評価することが重要です。

当院では、次のような視点を組み合わせて総合的に判断しています。

・歩き方(歩様)の観察
・触診による脱臼の程度評価
・レントゲン検査
・必要に応じてエコー検査(靭帯や関節の状態確認)

一般的な治療方針として、軽度の場合は内科的な管理(いわゆる保存療法)を中心に経過をみることもあります。具体的には、アンチノールやフレキサディンなどの関節サポートを目的としたサプリメントの使用、体重管理、筋肉量の維持といった日常的なケアが重要なポイントになります。

一方で、グレード3〜4のように脱臼が常態化している場合には、痛みが目立たない場合でも関節への負担は蓄積していることがあります。そのため、将来的な関節変形や炎症の進行、前十字靭帯への影響を見据え、予防的な観点から手術をご提案することもあります。

放置するとどうなる?進行リスクについて

「ときどき外れるだけだから様子見でいいかな」と思われることも多いパテラですが、放置することで少しずつ関節への負担が蓄積していきます。

特に注意したいのは、次のような進行です。

・前十字靭帯断裂のリスク増加
パテラがある状態では膝関節に不安定さが生じ、前十字靭帯への負担が大きくなります。その結果、靭帯断裂を引き起こすリスクが高まることがあります。

前十字靭帯断裂について詳しくはこちらをご覧ください

・関節炎の進行
慢性的な摩擦や炎症が続くことで、関節炎が進行し、痛みが固定化してしまうことがあります。

関節炎について詳しくはこちらをご覧ください

・歩行異常の固定化
初期は一時的な歩き方の変化でも、進行すると骨の変形や筋力低下が起こり、元の歩行に戻りにくくなるケースもあります。

見た目の症状が軽くても、内部では変化が進んでいることがある点に注意が必要です。

片足だけでも両足手術を検討する理由

片足の脱臼で受診した際に「両足の手術を検討しましょう」と説明を受け、戸惑われる飼い主様もいらっしゃるかと思います。実はその背景には、パテラ特有の“構造的な特徴”が関係しています。

・反対側への負担がかかりやすい
片足をかばう歩き方になることで、反対側の膝にも負担が集中し、時間の経過とともに脱臼や症状の悪化につながることがあります。

・両側性であることが多い
パテラは骨格や靭帯の構造が関係していることが多く、実際には両足に素因があるケースも少なくありません。そのため、片側のみの治療だと、将来的に反対側で脱臼が起こる可能性があります。

当院では、全身状態や生活環境を踏まえたうえで、麻酔回数の負担や術後管理のしやすさ、将来的な再発リスクなどを総合的に考慮し、同時手術という選択肢をご提案する場合があります。

当院の手術の特徴|複数術式を組み合わせた安定性重視の治療

パテラの手術は、脱臼の原因や関節の状態はその子によって異なるため、状態に合わせて処置を組み合わせていくことが大切になります。当院では、整形外科的な評価を行ったうえで、次のような手技を組み合わせて手術を行います。

滑車溝造溝術:膝蓋骨がはまる溝を深く整える処置
関節包の縫縮術:ゆるんだ関節の周囲を引き締める処置
膝蓋骨裏側の軟骨トリミング:関節の当たりをなめらかに整える処置
脛骨粗面の転移術:膝蓋骨の引っ張られる方向を整える処置

これらを組み合わせることで、単に「外れにくくする」だけでなく、関節への負担をできるだけ抑えながら、将来的な炎症や再脱臼まで見据えた安定性の高い治療を目指します。

当院の強み|経験と評価に基づいた手術設計

当院では、手術の必要性や方法をグレードの数値だけで判断することはありません。画像検査・触診・歩様(歩き方)の評価を丁寧に行い、現在の状態と将来的な進行リスクの両面から総合的に判断しています。

また、膝蓋骨の裏側の軟骨調整や脛骨粗面の位置調整など、細かな構造まで踏まえた手術設計を行っている点も、当院の特徴のひとつです。パテラは症例ごとの個体差が大きいため、これまでの手術経験の蓄積をもとに、状態に応じた処置の組み合わせを慎重に検討していきます。

両側同時手術を含めたさまざまな症例に対応してきた経験も踏まえながら、画一的な方法ではなく、その子の体格・生活環境・進行リスクに合わせた最適な手術計画を設計していくことを大切にしています。

当院の眼科手術について詳しく知りたい方はこちら

よくある質問(FAQ)

Q. 入院はどのくらい必要ですか?
一般的には術後の経過を確認するため、約1週間前後の入院が目安となります。状態や回復の様子によって調整します。

Q. 両足同時手術は危険ではありませんか?
全身状態や年齢、持病の有無を十分に評価したうえで慎重に判断します。適切な麻酔管理と術後管理を徹底し、体への負担に配慮しながら実施しています。

Q. 手術をしないとどうなりますか?
必ずしもすぐに悪化するとは限りませんが、進行に伴い関節炎や靭帯断裂、歩行異常の固定化などにつながるおそれがあります。歩き方や生活への影響を見ながら、状態を定期的に確認していくことが大切です。

Q. 高齢でも手術はできますか?
年齢だけで一律に判断するのではなく、全身状態や持病の有無を確認したうえで適応を検討します。高齢でも手術が可能なケースは少なくありません。

まとめ|早期の評価が将来の関節トラブル予防につながります

パテラは、グレードだけで判断できる病気ではありません。現在の症状だけでなく、将来的な関節への影響や進行リスクまで含めて評価していくことが大切です。

「まだ軽そうだから」と様子を見ている間に負担が積み重なってしまうこともあるため、歩き方の違和感や足を浮かせる仕草が見られた場合は、早めに動物病院で状態を確認することが将来の関節の健康を守ることにつながります。

ナガワ動物病院では、画像診断や整形外科的評価をもとに、その子の生活環境や年齢も踏まえながら、無理のない治療方針を飼い主様と一緒に検討していきます。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。

(最終更新日:2026年3月23日)

 

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<参考文献>
Francesco Di Dona, Giovanni Della Valle, Gerardo Fatone. “Patellar luxation in dogs”. National Library of Medicine. 2018-05-31. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6055913/, (参照:2023/5/20)

愛犬が異物を飲み込んでしまったと気づいたとき「すぐにおなかを切る手術になるのでは…」と不安に思われる飼い主様も多いのではないでしょうか。

実際、誤飲・誤食は緊急性の高いトラブルですが、すべてのケースで開腹手術が必要になるわけではありません。異物の種類や大きさ、現在の位置、飲み込んでからの時間などによっては、内視鏡(胃カメラ)で切らずに取り除ける場合もあります。

今回は、犬の胃内異物に対する治療の選択肢や、内視鏡による摘出についてご紹介します。

 

胃内異物とは|どんなものが対象になるの?

胃内異物とは、食べ物以外のものを飲み込んでしまい、それが胃の中にとどまっている状態を指します。

犬は好奇心からさまざまなものを口にしてしまうことがあり、特に次のようなものが多く見られます。

・布やタオル
・おもちゃの破片
・骨やガム
・石や木の枝
・串や紐状のもの など

何を飲み込んだかによって危険性や治療方法は大きく変わります。柔らかいものと鋭利なものでは、体への影響や対応の緊急度も異なるため、個別の判断がとても重要です。

受診を検討したいサイン

次のような様子が見られる場合は、胃内異物が疑われる状況です。

急に嘔吐した
食欲が落ちた
えずく・吐きたそうにする
元気がなく落ち着かない
何かを飲み込んだ瞬間を目撃した

時間の経過によって、選択できる治療方法が変わってしまうこともあるため、誤飲に気づいた場合は「様子を見て翌日受診」ではなく、できるだけ早めにご相談いただくことが大切です。

ご来院時のお願い

診察をより正確に進めるため、次の情報があると大変参考になります。

・飲み込んだものと同じ物(可能であれば実物)
・誤飲したおおよその時間
・いつから症状が出ているか

これらの情報があることで、異物の危険性や適切な治療方法をよりスムーズに判断しやすくなります。もちろんすべての情報が揃っていなくても診察は可能ですので「何を飲み込んだか分からない」という場合でも、まずは早めにご相談いただければと思います。

異物誤飲の初動対応について詳しくはこちらをご覧ください

催吐処置・内視鏡・開腹手術の違い|治療の選択はどう決まる?

誤飲・誤食の治療は一つではなく、状態に応じて複数の選択肢があります。「どの治療になるか」は、時間経過や異物の位置が大きく関わります。

<催吐処置(吐かせる処置)>

誤飲直後であれば、薬を使って吐かせる処置が有効な場合があります。

ただし、

・飲み込んでから時間が経過している
・鋭利なものを飲んでいる
・中毒のリスクがあるもの

などの場合は適応外となることもあり、必ずしも行えるとは限りません。

内視鏡での摘出(切らずに取り出す方法)

内視鏡は、口から胃カメラを挿入して異物を直接つかみ、摘出する方法です。

異物が胃の中にとどまっている場合に適応となるため、特に重要なのは「早期受診」です。時間が経つと異物が腸へ移動し、内視鏡での摘出が難しくなることがあります。

開腹手術

次のようなケースではおなかを切って異物を取り出す外科手術(開腹手術)が必要になることがあります。

・異物が十二指腸以降へ移動している
・腸閉塞のリスクがある
・穿孔(消化管に穴があく危険)が疑われる
・内視鏡での摘出が困難な形状・大きさ

つまり「誤飲=即手術」ではなく、状態を見極めたうえで最適な方法を選択していくことが大切になります。

内視鏡(胃カメラ)での異物摘出とは|体への負担を抑えた治療

内視鏡による胃内異物摘出は、おなかを切らずに行える治療方法のひとつです。

内視鏡治療の流れ

一般的には次のような流れで実施します。

全身麻酔下で安全に処置を行う
口から内視鏡を挿入する
胃内の異物の位置と状態を確認する
専用の器具で異物を把持し、慎重に摘出する

おなかを切開しないため、体への負担を抑えられる可能性がある点が特徴です。ただし、すべての異物が内視鏡で対応できるわけではなく、状態によっては外科手術が必要になる場合もあります。

処置後の回復の経過は個体差がありますが、状態が安定していれば比較的早期に食事を再開できるケースも見られます。

当院では、高画質で胃や十二指腸まで観察可能な内視鏡機器(フジフィルム FTS4400)を用い、異物の位置や形状を丁寧に確認したうえで、安全性に配慮しながら処置を行っています。

ナガワ動物病院の診療の考え方|画像診断と適切な判断を重視

誤飲・誤食の治療で最も大切なのは「今どこに異物があるのか」「どの方法が最も安全か」を正確に見極めることです。

当院では、レントゲン検査やエコー検査などを組み合わせ、総合的に状態を評価します。特に、布や木片などレントゲンに写りにくい異物の場合、エコー検査が重要な手がかりになることもあります。

さらに、次のような点を丁寧に確認したうえで、内視鏡での摘出が適しているのか、外科的対応が必要かを判断します。

・異物の大きさ・形状
・鋭利かどうか
・現在の位置
・腸への移動状況

他院で治療方針に迷われたケースについても、画像診断をもとに現在の状態を整理し、改めて適切な選択肢をご提案できるように努めています。

よくある質問(FAQ)

Q. 自然にうんちと一緒に出ることはありますか?
小さくて危険性の低い異物であれば排泄されることもありますが、すべてが安全に出てくるとは限りません。途中で詰まってしまうリスクもあるため「様子見で大丈夫か」の判断は慎重に行う必要があります。

Q. 何時間以内なら内視鏡で対応できますか?
一概に時間だけで判断できるものではありませんが、早い段階で受診いただくほど、内視鏡で摘出できる可能性が高くなるのが一般的です。時間の経過とともに腸へ移動してしまうと、適応が変わることがあります。

Q. 内視鏡でも麻酔は必要ですか?
はい、安全に処置を行うために全身麻酔下で実施します。動かない状態で正確に操作することで、消化管への負担や事故のリスクをできるだけ抑えるためです。

Q. 誤飲して元気なら様子見でもいいですか?
元気や食欲があっても、内部に異物がとどまっている可能性は否定できません。症状が出てからでは対応の選択肢が限られることもあるため、気づいた時点でのご相談をおすすめしています。

まとめ|「切らずに取り除ける可能性」もあるからこそ、早めの相談を

犬の誤飲・誤食は、決して珍しいトラブルではありません。そして「誤飲=必ず開腹手術」というわけではなく、状態によっては内視鏡で切らずに摘出できる可能性もあります。

一方で、時間の経過によって治療の選択肢が大きく変わる点には注意が必要です。早期に状態を把握することが、体への負担を抑えた治療につながる場合もあります。

当院では、画像診断をもとに現在の状況を丁寧に評価し、その子にとって無理のない治療方法を飼い主様と一緒に考えていくことを大切にしています。「もしかして何か飲み込んだかも」と感じた際は、できるだけ早めにご相談ください。

 

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愛犬が「ガーガー」「ゼーゼー」と苦しそうな音を立てて呼吸しているのを見て「一時的なものかな」「少し落ち着けば大丈夫かな」と迷われたことはありませんか。

こうした呼吸音が続いている場合、気管がうまく開かず、空気の通りが悪くなっている状態が起きている可能性があります。その代表的な病気のひとつが「気管虚脱」です。

気管虚脱は、時間とともに進行していく病気で、音が出たり出なかったりするため、つい様子を見てしまいがちです。しかし、放置している間に呼吸への負担が少しずつ大きくなり、咳や息苦しさが慢性化してしまうこともあります。

今回は、犬の気管虚脱について、気づきやすい症状や放置した場合のリスク、動物病院での診断や当院での治療の考え方についてご紹介します。

 

こんな症状は要注意|受診の目安

次のような症状が見られる場合、気管虚脱が関係している可能性があります。

「ガーガー」「ゼーゼー」といった苦しそうな呼吸音が出る
興奮したときや運動後に症状が悪化する
咳が続き、えずくような仕草をする
呼吸が苦しそうで、動きたがらない

特に注意が必要なのは、次のようなサインが見られる場合です。

咳と同時に失神する
舌や歯ぐきの色が紫っぽくなる(チアノーゼ)
呼吸が明らかに苦しそうな状態が続く

このような場合は、緊急性が高いおそれがあるため、できるだけ早く動物病院にご相談ください。

気管虚脱とは|どんな病気?

気管虚脱とは、空気の通り道である「気管」がつぶれ、空気が通りにくくなる病気です。

気管は本来、しっかりとした形を保っていますが、何らかの理由で支えが弱くなると、呼吸のたびに内側へつぶれてしまうようになります。その結果、息をするたびに気管が刺激され、咳や独特の呼吸音が出やすくなります。

特に、

チワワ
ヨークシャー・テリア
ポメラニアン
シー・ズー

といった小型犬や短頭種で多く見られることが知られています。ただし、犬種に関わらず発症する可能性があるため「うちの子は違う」と決めつけないことも大切です。

放置するとどうなる?進行性という特徴

気管虚脱は、時間の経過とともに少しずつ進行していく病気です。初めは「たまに咳をする」「音が出ることがある」程度でも、放置していると次のような変化が見られることがあります。

咳や呼吸音が慢性的に続く
呼吸が苦しくなり、失神を起こすことがある
散歩や遊びなど、日常の動きがつらくなる

こうした変化は、少しずつ現れるため気づきにくいという点も、この病気の難しさです。

また、気管虚脱は心臓病(僧帽弁閉鎖不全症など)と影響し合うことがあります。どちらか一方の悪化が、もう一方の症状を強めてしまうケースもあり、咳や呼吸の変化を総合的に見ていくことが重要になります。

犬の僧帽弁閉鎖不全症について詳しく知りたい方はこちら

動物病院での診断

呼吸の異常は、見た目だけでは原因を判断することが難しい症状です。そのため、気管虚脱が疑われる場合には、症状の経過を丁寧に確認し、状態を客観的に評価することが重要になります。

▼問診・聴診
まず、これまでの症状について詳しくお話を伺います。咳が出始めた時期や頻度、悪化しやすい場面(興奮時・運動後など)を確認することで、症状の背景や進行の程度を整理します。あわせて、聴診によって呼吸音や異常音を丁寧に確認します。

▼レントゲン検査
気管虚脱の診断では、レントゲン検査が中心となります。息を吸ったときと吐いたときの両方を撮影し、呼吸にあわせて気管がどのようにつぶれているかを確認します。

さらに、状態に応じて「内視鏡検査」を検討することもあります。内視鏡検査は気管の内側を詳しく観察できる一方で、麻酔が必要になります。そのため当院では、まずはレントゲン検査で全体像を把握したうえで、必要性を判断することを大切にしています。

治療の考え方|ナガワ動物病院のスタンス

気管虚脱の治療は、基本的に内科療法が中心となります。気管への負担を減らし、症状が悪化する流れを断つことが治療のゴールです。

当院では、次のような考え方で治療を進めています。

咳を抑えることで、気管への刺激を減らす
呼吸を楽にすることで、症状の悪循環を断つ

投薬治療では、気管支拡張剤や去痰薬、鎮痛剤、吐き気止め(セレニア)を処方します。この中で、鎮痛剤と吐き気止めは鎮咳作用(咳を抑える作用)があることがわかっています。

というのも、そもそも咳は、喉や気管から受けた刺激が延髄の咳中枢と呼ばれる部分に伝わり、「異物を吐き出せ!」という命令が出されることで引き起こされています。鎮痛剤は咳中枢に、吐き気止めは刺激を伝達する経路にも作用することで、本来の働きとは異なりますが、咳を鎮める効果があるといわれています。

当院では、獣医師法の裁量権の範囲内でこうした適応外使用を試みています。あるいは、カルトロフェンという注射薬を週1回投与して気管軟骨のつぶれを改善する方法もあります。

状態に応じて、ネブライザー治療(薬を霧状にして気管や気道の粘膜に直接届ける治療)などを組み合わせることもあります。また、外科手術は、内科治療で十分な改善が得られない重症例に限って検討し、必要に応じて専門病院をご紹介します。

また、他院で治療がうまくいかなかった方のご相談にも対応しています。当院では画像診断に力を入れており、現在の気管の状態や呼吸の様子をあらためて整理したうえで、正確な診断に基づいた治療方針をご提案しています。

ご家庭でできる対策

気管虚脱の症状は、日常生活の過ごし方によっても大きく左右されます。ご家庭でのちょっとした工夫が、症状の安定につながることも少なくありません。

たとえば、

適正体重を維持し、気管への負担を減らす
散歩の際は、首輪ではなくハーネスを使用する
興奮しすぎないよう、生活環境を整える

といった点が挙げられます。

こうした小さな積み重ねが、症状の悪化を防ぎ、日常生活を楽に過ごす助けになります。

よくある質問(FAQ)

Q. 咳だけなら、しばらく様子を見ても大丈夫ですか?
一度動物病院へ相談することをおすすめします。気管虚脱以外の病気が隠れていることや、様子見の間に悪化してしまうことがあります。

Q. 気管虚脱は一生治らない病気なのでしょうか?
気管虚脱は残念ながら「完全に元の状態に戻す」ことは難しいとされています。ただし、内科治療や生活の工夫によって、症状の程度を抑え、負担を軽減できるケースも多く見られます。

Q. 手術をしないといけないのでしょうか?
基本的には内科治療が中心で、手術が必要になるのは重症例に限られます。症状の程度や生活への影響を見ながら、その子にとって最善の選択を一緒に考えていきます。

Q. 心臓病との関係はありますか?
はい、関係することがあります。心臓病が気管虚脱の症状を悪化させたり、逆に気管虚脱による咳が心臓に負担をかけてしまうこともあります。

まとめ|咳や呼吸音を放置しないために

犬の気管虚脱は、早めに対応することで症状を安定させやすい病気です。「ガーガー音が出る」「咳が続く」といったサインは、体からの大切なメッセージでもあります。

ナガワ動物病院では、症状の程度や生活環境を踏まえながら、その子に合った無理のない治療方針をご提案しています。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

(最終更新日:2026年2月19日)

 

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