犬と猫の膀胱結石について|フードの種類が治療のカギに!
膀胱結石とは、様々な理由で膀胱に石がたまってしまう病気で、犬・猫ともによく発生します。特にオスでは、石が膀胱から尿道に移動して尿道が詰まりやすく、閉塞が起こると排尿困難になり食欲低下や嘔吐が見られ、放っておくと急性腎不全を発症し死に至る場合もあります。
犬や猫の膀胱結石は診断と治療が大切となりますので、今回は当院で採用している検査機器や療法食(フード)についてお伝えします。
原因
膀胱結石は、ほとんどが膀胱の中で形成されます。また石にも様々な種類があり、犬や猫ではストルバイトとシュウ酸カルシウムという2つの成分が8~9割を占めます。
ストルバイト結石は、犬ではメスに多く、ブドウ球菌などの細菌に感染することでつくられます。一方猫では性別による差はなく、正確な原因はよくわかっていませんが、細菌が感染していなくても発生します。
また、シュウ酸カルシウム結石は犬・猫ともに高齢のオスで多く、カルシウムやビタミンDなどを過剰に含む食事を与えられることで結石の形成リスクが増大します。犬ではミニチュア・シュナウザーやヨークシャー・テリアなどの小型犬で発生しやすいともいわれています。
犬や猫の尿は、正常であればやや酸性ですが、ストルバイト結石ではアルカリ性に傾くことで発生し、尿が酸性化することで石が溶解します。
症状
症状は尿に関するものが多く、固い結石が膀胱の粘膜を刺激することで、頻尿や血尿、排尿痛などがみられます。
特にオスでは犬・猫ともに陰茎の構造に特徴があるため、メスよりも膀胱の石が尿道に移動して詰まることが多いといわれています(尿道閉塞)。この状態は非常に危険で、急性腎障害や尿毒症といった命の危険に関わる病気に発展するため、注意が必要です。
診断
動物病院では、血液検査や超音波検査、X線検査、尿検査などを組み合わせて診断します。
この中で尿検査は特に重要なのですが、従来は検査を行う獣医師のスキルに左右されて、病気自体を見落としてしまうこともあるのが課題でした。そのため当院では最近、新たな機器(尿沈渣分析装置 IDEXX セディビュー Dx)を導入して、より正確な診断を心がけています。
尿沈渣分析装置 IDEXX セディビュー Dxについては公式ページをご覧ください
また、石の中にはレントゲンに写らない種類(尿酸アンモニウム結石など)もあるため、造影検査を実施することもあります。
治療
緊急の処置が必要ではない場合、まずは内科療法(利尿薬や抗菌薬の投与、食事療法など)を試します。
特に食事に関しては、市販のものではなく動物病院専用の療法食をお勧めします。どのフードも尿の排出を促し、尿のpHを調整するように配合されていますが、その成分は微妙に異なります。多くのフードではpH調整をナトリウムで行っていますが、ナトリウムを多量に摂取すると腎機能が悪化する可能性もあるため、長期にわたって使用する場合、当院ではカリウムを主にしたものを採用しています。ただし、こうした療法食は脂質が多く含まれているため、通常の食事と同じように与えると太ってしまうこともあります。肥満は膀胱結石のリスクを高めるので、与える量には注意が必要です。
こうした点から当院では、ユリナリーS/O エイジング7+ ドライ(犬)とユリナリーS/O エイジング7+ + CLT ドライ(猫)などの療法食をご提案しています。また、腎不全、膵炎、アレルギーなどの持病をお持ちの方でもご利用いただける、膀胱結石用の療法食を処方可能です。
また、当院には栄養管理アドバイザーが在籍しておりますので、フードや食事に関するご相談がございましたら、お気軽にご相談ください。
ユリナリーS/O エイジング7+ ドライについては公式ページをご覧ください
ユリナリーS/O エイジング7+ + CLT ドライについては公式ページをご覧ください
内科療法がうまくいかない、あるいは尿道閉塞に陥っている場合は、手術によって石を摘出します。
当院でも結石の摘出は対応可能ですので、手術についてご相談がある場合はお問い合わせください。
予防法
膀胱結石を予防するには、まずは新鮮な水を常に飲める状態にしておくなど、十分な水分摂取が重要です。あわせて、食事内容を見直す、適度な運動で肥満を防ぐ、トイレを清潔に保つといったことも予防のために大切となります。
まとめ
ご家庭の犬や猫の様子を普段から観察し、尿をするときに痛がっていたり、何度もトイレに行ったり、尿に血が混じっていたりする場合には、すぐに動物病院を受診しましょう。
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03-3926-9911
<参考文献>
Stones in cats and dogs: What can be learnt from them? – PMC (nih.gov)