子犬が足をつかないときは要注意|成長板骨折の症状と治療について
「ソファや階段から飛び降りたあと、急に足をつかなくなった」
「遊んでいたあとから足を痛がるようになった」
普段は元気いっぱいの子犬がそのような様子を見せても、「少しひねっただけかな」「明日には普通に歩いているかも」と様子を見たくなることもあるかもしれません。
しかし、成長期の子犬では「成長板(せいちょうばん)」と呼ばれる骨の成長に重要な部分を骨折していることがあります。成長板骨折は、適切な治療が遅れると骨の成長に影響し、将来的な骨の変形や歩行異常につながる可能性もあるため、早めの診断と適切な治療が大切です。
今回は、成長板骨折とはどのような骨折なのか、受診の目安や診断・治療について詳しくご紹介します。
1.成長板骨折とは?子犬に多い骨折の特徴
2.こんな症状は要注意|早めの受診をおすすめするサイン
3.動物病院ではどのように診断する?
4.成長板骨折の治療|整復術が必要になるケース
5.まとめ
成長板骨折とは?子犬に多い骨折の特徴
成長板とは、骨の端にある骨の成長を担う組織です。この部分は成長期にのみ存在し、成犬になると閉じて骨になります。
<なぜ成長板は骨折しやすいの?>
成長板は、周囲の骨よりもやわらかく衝撃に弱いため、成長期の犬では骨ではなく成長板が損傷してしまうことがあります。そのため、一見それほど強い衝撃ではないように思えても、成長板骨折が起こることがあります。
<日常生活で起こることも>
成長板骨折は、交通事故のような大きな外傷だけではありません。例えば、次のような場面でも起こることがあります。
・ソファから飛び降りた
・抱っこ中に落下してしまった
・階段を踏み外した
・遊んでいる最中に転倒した
成長期の子犬では、こうした日常生活の中の思いがけない事故でも注意が必要です。
こんな症状は要注意|早めの受診をおすすめするサイン
骨折をしたからといって、必ず骨が大きく変形するとは限りません。一見軽そうに思えても成長板を傷めていることがあるため、次のような症状が見られる場合は、できるだけ早めの受診をおすすめします。
・足を全くつかない
・足を浮かせて歩いている
・足を触られるのを嫌がる
・患部が腫れている
・足の向きがいつもと違う
・元気がなく動きたがらない
<放置するとどうなる?>
成長板は骨の成長を担う重要な組織であるため、損傷したまま治癒すると、その後の成長に次のような影響を及ぼすことがあります。
・骨が変形する
・左右の足の長さに差が出る
・関節の動きに異常が生じる
・慢性的な歩き方の異常につながる
見た目だけでは重症度を判断することは難しいため、様子を見る前に早めに診察を受けることが大切です。
動物病院ではどのように診断する?
成長板骨折が疑われる場合には、問診や整形外科検査、レントゲン検査などを組み合わせながら状態を詳しく確認していきます。
・問診・整形外科検査
まずは「いつから症状があるか」「どのような状況でケガをしたか」などをお伺いし、歩き方や患部の痛み、関節の状態などを確認します。
・レントゲン検査
レントゲン検査では、骨折している場所や骨のずれの程度、成長板への影響などを確認します。成長板骨折では、一般的にソルター・ハリス分類という分類を参考に損傷の状態を評価し、その結果をもとに治療方針を検討します。
<成長板骨折で特に重要なこと>
成長板骨折では、骨折だけでなく成長板そのものの状態を評価することが重要です。また、治療方針を決める際には、何か月齢なのかという点も大切な判断材料になります。今後どの程度成長が残っているかによって、治療の考え方が変わることがあるためです。
さらに、受傷直後は目立った変化が少なく見えても、その後の成長過程で変形が現れることもあります。そのため、気になる様子がある場合はできるだけ早めに受診し、適切な整復を行うことが良好な経過につながります。
成長板骨折の治療|整復術が必要になるケース
成長板骨折の治療は、骨折の状態や年齢、成長板への影響などを総合的に判断して決定します。
<保存療法で対応できるケース>
骨折のずれがほとんどなく、骨折部が安定している場合には、ギプスなどによる固定で経過をみられることがあります。
<手術を検討するケース>
一方で、次のような場合には手術を検討します。
・骨折部のずれが大きい
・関節近くを骨折している
・成長板への影響が大きい
・将来的な変形が懸念される
また、良好な整復が難しい場合や、より専門的な治療が望ましいと判断した場合には、専門施設をご紹介することもあります。
<成長板骨折整復術とは>
成長板骨折整復術では、骨折した部分をできるだけ正しい位置へ戻し、ピンやプレートなどのインプラントを用いて固定します。特に成長板そのものが割れているケースでは、将来的な成長停止のリスクについて十分にご説明したうえで治療を進めます。
<手術のタイミングが重要な理由>
骨折してから時間が経つと、骨折部を正しい位置へ戻すことが難しくなる場合があります。また、適切な整復が遅れることで、将来的な変形リスクが高まる可能性もあります。
<ナガワ動物病院の考え方>
当院では、単に骨を元の位置へ戻すことだけを目的とはしていません。「できるだけ正確に整復すること」と「成長障害のリスクをできるだけ少なくすること」の両方を考慮し、その子にとって最適な治療方法を飼い主さまと一緒に考えていくことを大切にしています。
そのため、骨折の位置やずれの程度、月齢や今後の成長などを総合的に評価したうえで、保存療法と手術のどちらが適しているかを慎重に判断します。手術を行う場合も、成長板への負担をできるだけ抑えられる方法を第一に考え、細いキルシュナーワイヤーや小型犬用プレートなどを症例に応じて使い分けながら、将来の成長への影響にも配慮した治療を行っています。
まとめ
成長板骨折は、成長期の子犬に特有の骨折です。一見軽いケガに見えても、成長板が損傷している場合には、将来的な骨の成長や歩き方に影響を及ぼすことがあります。そのため、見た目だけで軽症と判断せず、早めに診断を受けることが、その後の治療の選択肢を広げることにもつながります。
当院では、レントゲン検査による詳細な評価から外科手術、術後管理まで一貫して対応し、その子の将来の成長も見据えた治療をご提案しています。「足がつかない」「骨折かもしれない」と感じた場合は、まずはお気軽にご相談ください。
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