猫の肥大型心筋症について┃7歳以上の3割ほどが発症

肥大型心筋症は猫ではとても一般的な心臓の病気で、7歳以上の3割ほどがかかっているともいわれています。発症すると、口を開けて呼吸が苦しそうになる他、突然倒れてぐったりとする場合や、中には突然死してしまうケースもあるため、早期に発見して適切な治療を進めることが重要です。
今回の記事では、猫の肥大型心筋症について、その概要とともに当院での診断・治療法を詳しくご紹介します。

 

原因

心臓は4つの空間(右心房、右心室、左心房、左心室)に分かれていますが、肥大型心筋症とは、心室の壁の筋肉(心筋)が肥大する(厚みが増す)病気のことです。

中高齢の猫に多く、メインクーンやラグドール、アメリカン・ショートヘアなどの純血種でよくみられることから、遺伝が関わっているのではないかと考えられています

それ以外にも、甲状腺機能亢進症や全身性の高血圧など、他の病気に関連して発症することもあります。

症状

心室の壁が肥大すると硬く広がりにくくなるため、血圧の上昇や血流のうっ滞などに伴い、様々な症状が現れます。
よくみられる症状として、呼吸が速くなる(頻呼吸)、口を開けて苦しそうに呼吸する、動きたがらないといったものが挙げられます。

その他、血流がうっ滞することで血栓ができやすくなるため、動脈血栓症によって突然後ろ足が動かなくなることもあります
また、心臓がうまく動かないため失神し、突然倒れこんでしまうケースもあります。

ただし、心筋が肥大していてもこうした症状として現れない場合もあります

診断

肥大型心筋症を正確に診断するには、画像検査がとても重要です。

病院では心臓の聴診とともに、レントゲンや心臓のエコー検査を実施します。レントゲンでは「バレンタインハート」と呼ばれる、心房が膨らんだ像がみられることがあります。

心臓のエコー検査では、心臓の形や血流、心室の壁の厚み、心房の広さなどを観察します。この中で特に心室の壁の厚みが重要なポイントとなり、5.5mmを超えた場合には肥大型心筋症と判断します。
また、左心室の流出路(血液の通り道)が狭まっているかどうかを確認することも大切で、狭窄している場合は、閉塞性肥大型心筋症という危険な状態と判断できます。

その他にも、高齢の猫では甲状腺機能亢進症の持病をもっている場合も多いため、疑わしい場合はホルモン検査をご提案させていただくこともあります。

治療

病気の進行度合いによっても治療薬は異なりますが、基本的には内科療法によってコントロールします。

肥大型心筋症では、心筋が肥大すると心臓に入る血液の量が減るため、それを補うため猫の体は心拍数を上げようとしますが、心拍数が上がることで心筋が過剰に動いてしまい肥大が加速する、という悪循環に陥ってしまいます。

当院では、まずはその悪循環を断ち切るために、心拍数を落ち着かせる薬の処方をご提案します。一方で、ピモベンダンという、心不全治療薬を優先して処方する動物病院もありますが、閉塞性肥大型心筋症のケースではかえって病気を悪化させる原因となってしまうため、事前にしっかりと診断して適切な治療薬を選択することが重要になります。
また当院では、治療に際して循環器の認定医と連携しているため、安心してご利用ください。

それ以外にも、血栓を溶かす薬や利尿薬などを使用することもあります。

ご家庭での注意点や予防法

肥大型心筋症は、中高齢になるとよく起こる病気なので、これといった症状がなくても定期的に動物病院を受診することが肝心です。その際には、聴診や画像検査(レントゲンとエコー)に加え、血圧測定と心電図検査の実施もご検討ください。なぜなら、血圧と心拍数の数値が両方とも上がってしまうと、すぐに心筋が肥大してしまうため、それらの数値を正確に把握することが重要になるからです。あわせて、腎臓の機能が低下していると血圧が上がりやすいので、慢性腎臓病などの持病をもつ場合には特に注意しましょう。

当院の画像検診についてはこちらのページをご覧ください

まとめ

肥大型心筋症は、根治は難しいものの、早期に診断できればお薬で長期間コントロールできる病気です。定期健診で健康状態をチェックし、早期発見・早期治療を心がけましょう。

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<参考文献>
ACVIM consensus statement guidelines for the classification, diagnosis, and management of cardiomyopathies in cats – PMC (nih.gov)

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