獣医師が教える! 犬の血便の原因と対処法┃早期発見のポイントとは?
愛犬の便に血が混じっているのを見つけたとき、「何か重大な病気かも…」「このまま血が止まらなかったらどうしよう…」と心配される飼い主様も多いかと思います。この「血便」はさまざまな原因で起こり、適切な対応が重要です。
今回は犬の血便の原因や対処法について、獣医師の観点から詳しくお伝えします。
血便とは? 犬の場合の特徴と見分け方
血便とは、消化管からの出血が混じった便を指します。血便はその状態から、次の2つに分けられます。
・鮮血便:新鮮な赤い血が混じった便で、大腸や直腸、肛門近くでの出血が原因です。
・黒色便:出血が消化されて黒くなった便で、消化管の上部(食道、胃、十二指腸など)からの出血を示します。黒色便は特に深刻な病気の兆候であることが多く、早急な対応が必要です。
犬の血便の主な原因とそれぞれの特徴
犬の血便は、以下のような病気や変化によって起こります。
・寄生虫感染
ジアルジアやコクシジウムなどの寄生虫が原因で、消化管内で炎症を引き起こします。汚染された便などを口にすることで感染し、粘液が混ざった血便が見られることもあります。
・食べ物による刺激
異物の摂取や食物アレルギー、急な食事の変更などが考えられます。食物アレルギーは原因となるアレルゲンを含むフードを食べていると症状が長く続く一方で、異物誤食の場合は容態が急変することが多く、緊急性が高いという特徴があります。
・炎症性腸疾患
消化器症状が3週間以上続き、嘔吐や食欲不振といった症状が現れることもあります。
・感染症
細菌やウイルスが原因で血便が見られることがあります。特に犬パルボウイルス感染症は、子犬において命に関わることがあるため注意が必要です。
・がん
特に高齢犬では、消化管のがん(胃腺癌、リンパ腫など)によく遭遇します。
リンパ腫について詳しくはこちらをご覧ください
・ストレス
精神的なストレスが原因で、胃や腸に負担がかかり、血便が発生することがあります。
・排便しぶり
便が硬くなったり、大腸が前立腺肥大などで圧迫されることで、排便時に腸粘膜が傷つき、血便が出ることがあります。
異物誤食やパルボウイルス感染症など、緊急性が高いものもあるため、血便が見られたら早めに獣医師に相談することが重要です。
血便を見つけたときの対処法
血便が確認された場合、すぐに動物病院を受診することが大切です。特に、血便が頻繁に見られたり、元気がなかったり、嘔吐などの別の症状が同時にみられたりする場合は、緊急性が高いため、即時の対応が必要です。
また、来院時には血が混じっている便を捨てずにご持参いただけると、診断に役立ちます。
獣医師の診断と治療法
動物病院ではまず問診を行い、いつから症状が現れたのか、食事内容や生活環境の変化について詳しく伺います。実際の検査に進む前に、ある程度病気を予測するうえで、問診はとても重要なプロセスになります。また、検査のうち最も重要なのは糞便検査になるので、繰り返しになりますが、糞便を持参いただけますと、スムーズに検査が進みます。
その後、血液検査、レントゲン、超音波検査などを実施して、病気を絞り込んでいきます。
治療法は原因によって異なります。感染症や炎症が原因の場合は、抗菌薬や抗炎症薬が用いられます。異物が原因であれば外科手術、食物アレルギーが原因であれば食事療法が必要になることがあります。
血便の予防法と日頃の注意点
血便を予防するには、以下のような対策が有効です。
・定期的に健康診断
早期発見・早期治療のために、定期的に動物病院で健康チェックを受けましょう。また、予防接種を適切に受け、パルボウイルスなどの重篤な感染症を防ぐことが重要です。
健康診断の重要性について詳しくはこちらをご覧ください
・適切な食事管理
高品質なフードを与え、急激な食事の変更は避けましょう。
・寄生虫予防
チュアブルやスポットオンタイプの駆虫薬で、寄生虫感染を予防することができます。
・ストレス軽減のための環境づくり
お散歩や遊びの時間を十分にとる、寝床は落ち着けるような場所に設置する、トイレやクレートを清潔に保つなど、過ごしやすい環境を整えることがストレス軽減につながります。
・日々の観察
便の状態、食欲、活動量などを普段から観察して、変化があればすぐに動物病院を受診しましょう。
まとめ
血便は、ストレスや一時的な原因で起こることもあれば、深刻な病気の兆候である場合もあります。早期発見と治療が犬の健康を守るためには不可欠です。愛犬に血便が見られた際は自己判断せず、まずは獣医師に相談することをお勧めします。
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