獣医師が警告! 猫が口で呼吸している? 原因と対処法を徹底解説

犬では「ハアハア」と口を開けて呼吸する様子をよく見かけますが、猫ではほとんど見ることはありません。そのため、猫が口呼吸をしている場合は、危険な状態である可能性が高いといえます。口呼吸の原因は多岐にわたるため、まずは動物病院で検査をして何が原因になっているのかを突き止め、迅速に対応することがポイントになります。
今回は口呼吸の原因やその対処法について、獣医師の視点から詳しくお伝えします。

 

猫の正常な呼吸とは? 口呼吸との違い

猫は通常、健康なときは鼻で呼吸をします。しかし、何らかの原因で鼻呼吸が十分にできなくなると、口呼吸に切り替わることがあります。

同じような呼吸パターンにパンティングがありますが、これは浅く速い呼吸で、酸素を取り入れるというよりは体の熱を逃がすために行われます。

猫が口呼吸をする主な原因

猫は、次のような病気や異常のときに口呼吸を行います。

呼吸器系の病気
猫では上気道(鼻や喉など)の感染症や喘息がよくみられます。上気道の感染症は子猫で重症化しやすく、目やにや鼻水がみられ、主にウイルスが原因になります。喘息は環境中のアレルゲンが原因で起こり、咳や喘鳴(ゼーゼーと息苦しそうな状態)が長く続きます。

心臓病
中高齢の猫では肥大型心筋症がよく問題になります。この病気は進行が早く、気づかない間に悪化すると突然倒れてしまうケースもあります。
肥大型心筋症について詳しくはこちらをご覧ください

熱中症
室温が高い場所や車の中にいると、​​猫は熱中症にかかりやすくなります。脱水症状が見られる場合もあり、非常に危険です。
熱中症について詳しくはこちらをご覧ください

痛み
病気や事故によるケガ、術後の痛みなどによって、口呼吸をすることがあります。

異物の詰まり
鼻や喉に異物が詰まることで、鼻呼吸ができずに口呼吸に頼る場合があります。

重度の貧血
貧血によって体に十分な酸素が運ばれなくなると、猫は口呼吸を始めることがあります。

これらの中には、緊急性の高い状況もあるため、口呼吸がみられたら早めに獣医師へ相談することが重要です。

ストレスや不安
犬ほど多くはありませんが、精神的ストレスや不安によって口呼吸を引き起こすことがあります。他の症状として、脱毛や食欲不振、下痢などが見られることもあります。

口呼吸を発見したときの対処法

口呼吸が見られた場合、可能な限り早く動物病院に連れていくことがポイントになります。

特に呼吸困難(息苦しそうな状態)、チアノーゼ(唇や舌の粘膜の色が青白くなる状態)、意識レベルの低下(ぼんやりとして刺激に対する反応が少ない状態)などは緊急性が高いので、注意が必要です。

また、口呼吸の様子を動画で撮影しておくと、より診断に役立ちます。

獣医師の診断と治療法

動物病院ではまず問診を行い、症状がいつから現れたのか、生活環境に変化はないかなどをお聞きします。実際の検査に進む前に、ある程度病気を推測するうえで、問診はとても重要なプロセスになります。
その後、聴診、レントゲン、心エコー検査、血液検査などを実施して、病気を絞り込んでいきます

治療は原因に応じて異なり、例えば感染症であれば抗菌薬、異物の場合は外科手術が必要になることがあります。また、酸素療法が必要な場合もあります。

口呼吸を予防するための日頃のケアと注意点

口呼吸を予防するには、以下のような対策が有効です。

定期的な健康診断
早期発見・早期治療を実現するには、定期的な健康チェックが重要です。
健康診断の重要性について詳しくはこちらをご覧ください

適切な室温管理と熱中症予防
夏だけでなく、冬でも快適な温度を保つことが重要です。室内ではエアコンを常時つけ、快適な環境を整えましょう。また、自由に水を飲めるようにしておくことも重要です。

ストレス軽減のための環境づくり
室内で自由に動き回れる空間をつくる、お気に入りのトイレやエサ容器を使用する、爪とぎのスペースを用意する、といった対策がストレス軽減につながります。

日々の観察
呼吸状態や活動量、食欲の変化を日々チェックし、異常があればすぐに動物病院へ連絡しましょう。

まとめ

猫の口呼吸は、さまざまな要因で引き起こされます。中には深刻な病気を抱えているケースもあるので、早期発見・早期治療がとても大切です。若くて一見健康そうでも、口呼吸が重篤な病気のサインになっている場合もあります。当院でも、飼い主様が口呼吸をそれほど深刻にとらえていないケースで検査を行ったところ、心臓病などの重篤な病気が見つかるケースを経験しています。そのため、口呼吸を軽視せずに、早めに動物病院を受診することをお勧めします。

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