犬の誤飲誤食、切らずに治療できる?内視鏡(胃カメラ)による胃内異物摘出とは

愛犬が異物を飲み込んでしまったと気づいたとき「すぐにおなかを切る手術になるのでは…」と不安に思われる飼い主様も多いのではないでしょうか。

実際、誤飲・誤食は緊急性の高いトラブルですが、すべてのケースで開腹手術が必要になるわけではありません。異物の種類や大きさ、現在の位置、飲み込んでからの時間などによっては、内視鏡(胃カメラ)で切らずに取り除ける場合もあります。

今回は、犬の胃内異物に対する治療の選択肢や、内視鏡による摘出についてご紹介します。

 

胃内異物とは|どんなものが対象になるの?

胃内異物とは、食べ物以外のものを飲み込んでしまい、それが胃の中にとどまっている状態を指します。

犬は好奇心からさまざまなものを口にしてしまうことがあり、特に次のようなものが多く見られます。

・布やタオル
・おもちゃの破片
・骨やガム
・石や木の枝
・串や紐状のもの など

何を飲み込んだかによって危険性や治療方法は大きく変わります。柔らかいものと鋭利なものでは、体への影響や対応の緊急度も異なるため、個別の判断がとても重要です。

受診を検討したいサイン

次のような様子が見られる場合は、胃内異物が疑われる状況です。

急に嘔吐した
食欲が落ちた
えずく・吐きたそうにする
元気がなく落ち着かない
何かを飲み込んだ瞬間を目撃した

時間の経過によって、選択できる治療方法が変わってしまうこともあるため、誤飲に気づいた場合は「様子を見て翌日受診」ではなく、できるだけ早めにご相談いただくことが大切です。

ご来院時のお願い

診察をより正確に進めるため、次の情報があると大変参考になります。

・飲み込んだものと同じ物(可能であれば実物)
・誤飲したおおよその時間
・いつから症状が出ているか

これらの情報があることで、異物の危険性や適切な治療方法をよりスムーズに判断しやすくなります。もちろんすべての情報が揃っていなくても診察は可能ですので「何を飲み込んだか分からない」という場合でも、まずは早めにご相談いただければと思います。

異物誤飲の初動対応について詳しくはこちらをご覧ください

催吐処置・内視鏡・開腹手術の違い|治療の選択はどう決まる?

誤飲・誤食の治療は一つではなく、状態に応じて複数の選択肢があります。「どの治療になるか」は、時間経過や異物の位置が大きく関わります。

<催吐処置(吐かせる処置)>

誤飲直後であれば、薬を使って吐かせる処置が有効な場合があります。

ただし、

・飲み込んでから時間が経過している
・鋭利なものを飲んでいる
・中毒のリスクがあるもの

などの場合は適応外となることもあり、必ずしも行えるとは限りません。

内視鏡での摘出(切らずに取り出す方法)

内視鏡は、口から胃カメラを挿入して異物を直接つかみ、摘出する方法です。

異物が胃の中にとどまっている場合に適応となるため、特に重要なのは「早期受診」です。時間が経つと異物が腸へ移動し、内視鏡での摘出が難しくなることがあります。

開腹手術

次のようなケースではおなかを切って異物を取り出す外科手術(開腹手術)が必要になることがあります。

・異物が十二指腸以降へ移動している
・腸閉塞のリスクがある
・穿孔(消化管に穴があく危険)が疑われる
・内視鏡での摘出が困難な形状・大きさ

つまり「誤飲=即手術」ではなく、状態を見極めたうえで最適な方法を選択していくことが大切になります。

内視鏡(胃カメラ)での異物摘出とは|体への負担を抑えた治療

内視鏡による胃内異物摘出は、おなかを切らずに行える治療方法のひとつです。

内視鏡治療の流れ

一般的には次のような流れで実施します。

全身麻酔下で安全に処置を行う
口から内視鏡を挿入する
胃内の異物の位置と状態を確認する
専用の器具で異物を把持し、慎重に摘出する

おなかを切開しないため、体への負担を抑えられる可能性がある点が特徴です。ただし、すべての異物が内視鏡で対応できるわけではなく、状態によっては外科手術が必要になる場合もあります。

処置後の回復の経過は個体差がありますが、状態が安定していれば比較的早期に食事を再開できるケースも見られます。

当院では、高画質で胃や十二指腸まで観察可能な内視鏡機器(フジフィルム FTS4400)を用い、異物の位置や形状を丁寧に確認したうえで、安全性に配慮しながら処置を行っています。

ナガワ動物病院の診療の考え方|画像診断と適切な判断を重視

誤飲・誤食の治療で最も大切なのは「今どこに異物があるのか」「どの方法が最も安全か」を正確に見極めることです。

当院では、レントゲン検査やエコー検査などを組み合わせ、総合的に状態を評価します。特に、布や木片などレントゲンに写りにくい異物の場合、エコー検査が重要な手がかりになることもあります。

さらに、次のような点を丁寧に確認したうえで、内視鏡での摘出が適しているのか、外科的対応が必要かを判断します。

・異物の大きさ・形状
・鋭利かどうか
・現在の位置
・腸への移動状況

他院で治療方針に迷われたケースについても、画像診断をもとに現在の状態を整理し、改めて適切な選択肢をご提案できるように努めています。

よくある質問(FAQ)

Q. 自然にうんちと一緒に出ることはありますか?
小さくて危険性の低い異物であれば排泄されることもありますが、すべてが安全に出てくるとは限りません。途中で詰まってしまうリスクもあるため「様子見で大丈夫か」の判断は慎重に行う必要があります。

Q. 何時間以内なら内視鏡で対応できますか?
一概に時間だけで判断できるものではありませんが、早い段階で受診いただくほど、内視鏡で摘出できる可能性が高くなるのが一般的です。時間の経過とともに腸へ移動してしまうと、適応が変わることがあります。

Q. 内視鏡でも麻酔は必要ですか?
はい、安全に処置を行うために全身麻酔下で実施します。動かない状態で正確に操作することで、消化管への負担や事故のリスクをできるだけ抑えるためです。

Q. 誤飲して元気なら様子見でもいいですか?
元気や食欲があっても、内部に異物がとどまっている可能性は否定できません。症状が出てからでは対応の選択肢が限られることもあるため、気づいた時点でのご相談をおすすめしています。

まとめ|「切らずに取り除ける可能性」もあるからこそ、早めの相談を

犬の誤飲・誤食は、決して珍しいトラブルではありません。そして「誤飲=必ず開腹手術」というわけではなく、状態によっては内視鏡で切らずに摘出できる可能性もあります。

一方で、時間の経過によって治療の選択肢が大きく変わる点には注意が必要です。早期に状態を把握することが、体への負担を抑えた治療につながる場合もあります。

当院では、画像診断をもとに現在の状況を丁寧に評価し、その子にとって無理のない治療方法を飼い主様と一緒に考えていくことを大切にしています。「もしかして何か飲み込んだかも」と感じた際は、できるだけ早めにご相談ください。

 

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