犬・猫の肥満が招く病気とは?適正体重と正しいダイエットの考え方
愛犬や愛猫の姿を眺めながら「少しぽっちゃりしているくらいがかわいい」と感じることもあるかもしれません。しかし、肥満は関節や心臓、呼吸器などに負担をかけ、さまざまな病気に関係します。
犬や猫の体重管理では、単に体重を減らすのではなく、年齢や体格、持病、生活環境に合った適正体重を目指すことが大切です。また、急激に食事を減らすと、かえって体調を崩す可能性があります。
今回は、犬や猫の肥満の見分け方や肥満によって起こりやすくなる病気、無理のない体重管理の進め方について解説します。
1.犬・猫の肥満とは?体重だけで判断しないことが大切
2.肥満によって起こりやすくなる病気
3.病気が原因で太ることもあります
4.犬・猫が太る主な原因
5.正しい体重管理の進め方
6.ナガワ動物病院の体重管理
7.よくあるご質問
8.まとめ|まずは今の体重と体型を確認しましょう
犬・猫の肥満とは?体重だけで判断しないことが大切
犬や猫の適正体重は、犬種・猫種や体格によって異なります。そのため「何kg以上なら肥満」と、体重の数字だけで一律に判断することはできません。
体型を確認する際には、体重とあわせて「BCS(ボディコンディションスコア)」を用います。BCSとは、肋骨や腰のくびれ、おなかのラインなどから、脂肪のつき方を評価する方法です。
ご家庭では、次のような点を確認してみましょう。
・肋骨が薄い脂肪越しに触れるか
・上から見たときに腰のくびれがあるか
・横から見たときに、おなかが適度に引き締まっているか
肋骨が触りにくい、腰のくびれが分からない、おなかが垂れているといった場合は、脂肪が多くついている可能性があります。
ただし、毛量が多い犬や猫では見た目だけでは分かりにくいため、定期的に動物病院で体重を測り、体型を確認してもらうと安心です。
肥満によって起こりやすくなる病気
肥満はそれ自体が体への負担になるだけでなく、すでにある病気を悪化させる要因にもなります。犬と猫では、特に注意したい病気が異なります。
<犬の肥満で注意したい病気>
犬では、体重が増えることで膝や股関節、背骨などへの負担が大きくなります。膝蓋骨脱臼や関節炎がある場合は、痛みや歩きにくさが悪化することもあります。
膝蓋骨脱臼について詳しくはこちらをご覧ください
関節炎について詳しくはこちらをご覧ください
また、胸やおなかに脂肪がつくと呼吸がしづらくなり、心臓や呼吸器への負担も増えます。短頭種や心臓病のある犬では、肥満によって症状が表れやすくなるため注意が必要です。
肥満の状態では、麻酔薬の量の調整や手術中の呼吸管理が難しくなることもあり、麻酔や手術時のリスクにも影響します。
<猫の肥満で注意したい病気>
猫では、肥満と糖尿病の関係が深く、体重が増えることでインスリンが効きにくくなり、糖尿病を発症するリスクが高まります。
また、猫にはもともと「肝リピドーシス」という病気のリスクがあります。これは、食事が十分にとれない状態が続いたときに、体が脂肪をエネルギーに変えようとする働きが強まり、その処理の負担が肝臓に集中することで起こります。肝臓の働きが大きく低下し、命に関わることもある病気です。
このとき、体に脂肪を多く蓄えている猫ほど、肝臓にかかる負担が短期間で大きくなります。そのため、普段よく食べていて体重が増えている猫は、少し食欲が落ちただけでも、痩せている猫より肝リピドーシスを起こすリスクが高くなります。
肥満の猫では「太っていること」そのものだけでなく、食欲が落ちたときに受ける影響が大きいという点にも注意が必要です。
このほか、肥満によって毛づくろいが難しくなる、動くことを嫌がる、尿石症などの泌尿器疾患に関係することもあります。
腎臓結石と尿管閉塞について詳しくはこちらをご覧ください
膀胱結石について詳しくはこちらをご覧ください
犬・猫ともに、肥満が続くと動きづらさや痛みにつながり、日常生活にも影響します。適正体重を保つことは、病気の予防だけでなく、体への負担を減らし、健康を維持するためにも重要です。
病気が原因で太ることもあります
食事量が多いわけではないのに太る場合や、急に食欲が強くなった場合は、病気が隠れている可能性があります。
犬では、甲状腺機能低下症やクッシング症候群などの内分泌疾患によって、体重が増えることがあります。特に、食欲が以前より強くなった、水を飲む量や尿の量が増えた、おなかが張ってきたといった変化がある場合は、体重だけの問題と考えず、検査を受けることが大切です。
甲状腺機能低下症について詳しくはこちらをご覧ください
クッシング症候群について詳しくはこちらをご覧ください
診察では、身体検査や血液検査を基本に、必要に応じてエコー検査などを行い、肥満の背景に病気がないかを確認します。
犬・猫が太る主な原因
肥満の多くは、食事からとるカロリーが、日常生活で消費するカロリーを上回ることで起こります。主な原因には、次のようなものがあります。
・フードやおやつの与えすぎ
・家族がそれぞれ食べ物を与えている
・避妊・去勢後の代謝の変化
・加齢による運動量や筋肉量の低下
・室内生活による運動不足
「それほど食べさせていないのに太る」という場合でも、詳しく伺うと、おやつや人の食べ物を含めて必要量を超えていることがあります。
また、犬や猫は人と比べて、運動だけで大きく体重を減らすことが難しい動物です。運動は筋力や関節の健康を保つうえで大切ですが、減量では食事からとるカロリーの調整が中心になります。
正しい体重管理の進め方
体重管理では、現在の体重だけで食事量を決めるのではなく、目標とする体重や年齢、活動量、持病などから、1日に必要なカロリーを考えます。
<食事とおやつの量を確認する>
まずは、フードを計量し、1日に実際どのくらい与えているかを確認します。家族が複数いる場合は、誰が何を与えたかを共有することも大切です。
おやつをすべて禁止する必要はありません。1日に与える量を決め、その分のカロリーを主食から調整することで、無理なく続けやすくなります。
<急激に食事を減らさない>
早く痩せさせようとして、食事量を大きく減らしたり、絶食させたりすることは避ける必要があります。
特に猫では、食事量を大きく減らすと、前述の「肝リピドーシス」を起こす可能性があります。体重が増えている猫ほどこのリスクは高くなるため、減量が必要な猫こそ、急に食事を減らさないことが大切です。短期間で体重を落とそうとせず、計画的に進めていきましょう。
また、極端な食事制限を続けると、体が消費するエネルギーを抑えようとして、かえって体重が落ちにくくなることもあります。体重を定期的に測定し、体調や筋肉量を確認しながら、計画的に減らしていくことが重要です。
ナガワ動物病院の体重管理
ナガワ動物病院では、体重だけでなく、体型や筋肉量、年齢、持病、食事内容、運動量などを含めて総合的に評価します。
「あまり食べさせていないのに太る」という場合には、実際にとっているカロリーを確認するとともに、内分泌疾患などが隠れていないかも調べます。身体検査や血液検査、必要に応じたエコー検査を組み合わせ、体重が増えた原因を見極めることが大切です。
そのうえで、目標体重や1日に必要なカロリーを考え、年齢や生活スタイルに合った減量プランをご提案します。体重や体調の変化を継続して確認しながら、無理なく続けられる方法を飼い主様と一緒に考えていきます。
よくあるご質問
Q. 何kgくらい痩せさせればよいですか?
目標体重は、体格や筋肉量によって異なります。
当院で避妊・去勢手術を行った犬や猫では、その頃の体重を目安にすることがあります。他院で手術を受けた場合は、体が成長した1歳頃の体重も参考になります。
Q. フードを減らせば痩せますか?
単純に量を減らすだけでは、必要な栄養まで不足する可能性があります。
現在与えているフードのカロリーやおやつの量を確認し、目標体重に応じた摂取カロリーを考えることが大切です。
Q. 高齢でもダイエットして大丈夫ですか?
高齢の犬や猫でも、体の状態に合わせて計画的に行えば体重管理は可能です。
ただし、筋肉まで落ちると足腰が弱くなるため、体重だけでなく筋肉量や持病も確認しながら進める必要があります。
まとめ|まずは今の体重と体型を確認しましょう
肥満は、関節や心臓、呼吸器への負担を増やすほか、糖尿病などの病気にも関係します。一方で、体重が増えた背景に内分泌疾患などが隠れていることもあります。
ナガワ動物病院では、身体全体の状態や検査結果、生活背景をもとに、体重が増えた原因と適正体重を見極めます。そのうえで、飼い主様と相談しながら、その子に合った体重管理の方法を考え、経過を継続して確認していきます。
体重や体型が気になる場合や、以前より食欲が増えた、動きにくそうになったといった変化がある場合は、お気軽にご相談ください。
【監修】ナガワ動物病院副院長 名川 真ノ介(獣医師)
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