犬・猫のしこり、手術は必要?良性・悪性の考え方と受診の目安
愛犬や愛猫の体にしこりを見つけたとき「これは危険なものなのか」「すぐに手術が必要なのか」と不安に感じられる飼い主様も多いのではないでしょうか。
しこりは見た目や触った感じからある程度の傾向を推測できることもありますが、それだけで良性・悪性をはっきりと判断することはできません。一方で、早い段階で状態を確認しておくことで、負担の少ない方法で対応できる可能性が広がることもあります。
今回は、しこりの良性・悪性の考え方や受診の目安、動物病院での検査や手術の流れについて解説します。
1.良性・悪性の考え方|見た目でどこまで分かる?
2.こんなしこりは要注意|受診を検討したいサイン
3.動物病院での検査と見極め
4.手術が必要になるケースと摘出の流れ
5.まとめ|迷ったときこそ早めの相談が選択肢を広げる
良性・悪性の考え方|見た目でどこまで分かる?
しこりには、比較的おとなしい性質の「良性」と、周囲に広がったり転移したりする可能性のある「悪性」があります。
一般的には、次のような傾向があります。
・ゆっくり大きくなるものは良性が多い
・短期間で急に大きくなるものは悪性の可能性がある
・しこりの大きさが3cmを超えると、悪性の可能性が高まる
ただし、これらはあくまで「傾向」であり、見た目や触った印象だけで断定することはできません。「柔らかいから脂肪だろう」「高齢だから様子を見よう」といった判断をされる方もいらっしゃいますが、実際にはそれだけで安全とは言い切れないケースもあります。
また、しこりが見つかったからといって、必ずしもすぐに手術が必要になるわけではありません。しかし一方で、放置してよいとも限らないのが難しいところです。大切なのは、まず検査を行い、そのしこりの性質を見極めることといえます。
こんなしこりは要注意|受診を検討したいサイン
しこりの中には、早めに確認しておきたいものもあります。次のような変化が見られる場合は、一度動物病院での診察を検討しましょう。
・急に大きくなった
・短期間でサイズが変わる
・固くて動かない
・赤みや出血、潰瘍がある
・数が増えている
・触ると嫌がる・痛がる
・乳腺や口の周り、四肢の先端など特定の部位にできている
こうした特徴がある場合、単なる良性のしこりではない可能性も考えられます。
<代表的なしこりの例と特徴>
実際に犬や猫で見られるしこりには、いくつか代表的なものがあり、それぞれ性質や対応が異なります。
・脂肪腫
やわらかく動きやすいことが多く、比較的ゆっくり大きくなる傾向がある良性のしこり
・肥満細胞腫
見た目だけでは判断が難しく、悪性腫瘍に分類されるため、早めの検査が重要なしこり
・乳腺腫瘍
特に未避妊のメスに多く見られ、良性・悪性の割合が半々程度といわれるしこり
それぞれ見た目や触った印象が似ていることもあり、最終的には検査による見極めが欠かせません。
動物病院での検査と見極め
しこりを評価する際には、いくつかの検査を組み合わせて判断していきます。
<問診・触診>
まずは「いつからあるか」や「大きさや変化のスピード」といった問診を行います。
触診では、しこりの大きさや硬さ、動くかどうかなどを確認します。
<細胞診>
細い針を使ってしこりの細胞を採取し、顕微鏡で確認する検査です。体への負担が比較的少なく、しこりの性質を判断する大きな手がかりになります。
<各種検査>
必要に応じて、レントゲンやエコー検査を行い、体の内部への影響や広がりを確認します。
これらの検査結果をもとに、しこりの性質や今後の方針を判断していきます。
さらに、摘出が適していると判断された場合には、手術でしこりを取り除き、その組織を詳しく調べる「病理検査」によって、最終的な確定診断を行います。
当院では、こうした検査結果をもとに、全体の状態を総合的に評価したうえで治療方針を決定しています。
手術が必要になるケースと摘出の流れ
しこりの中には、手術を行わずに経過をみるケースや、内服薬で改善が期待できるケースもあります。
例えば、炎症が原因の場合には、抗生物質やステロイドの投与によって改善することもあります。また、診断の一環として薬の反応を見るケースもあるため、その場合はご自身の判断で中断せず、獣医師の指示どおりに継続することが重要です。
一方で、次のような場合には手術を検討することがあります。
・悪性が疑われる場合
・しこりが大きくなり続けている場合
・日常生活に支障が出ている場合
・早期に摘出した方が体への負担が少ないと判断される場合
・良性か悪性か判断が難しく、病理検査が必要な場合
しこりは「すぐに手術」となるわけではありませんが、適切なタイミングでの判断がとても重要です。
<しこり摘出の流れ>
実際に手術が必要と判断された場合には、次のような流れで進めていきます。
① 手術適応の判断
まずは診察や検査結果をもとに、しこりの性質や全身の状態を踏まえ、手術が適しているかどうかを慎重に判断します。
② 摘出手術
手術の必要があると判断された場合には、しこりを外科的に摘出します。体への負担や術後の回復も考慮しながら、無理のない方法を選択します。
③ 病理検査(確定診断)
摘出したしこりは専門の検査機関で詳しく調べ、良性・悪性の最終的な診断を行います。
④ 術後管理・経過観察
手術後は、傷の状態や全身の回復具合を確認しながら経過をみていきます。必要に応じて内服や通院でのフォローを行い、無理のない回復を目指します。
このように、しこりの治療は「取り除いて終わり」ではなく、その後の評価や管理まで含めて進めていくことが大切です。
まとめ|迷ったときこそ早めの相談が選択肢を広げる
犬や猫のしこりは、見た目や触った感触だけで良性・悪性を判断することはできません。一方で、早めに動物病院で検査を行い、状態をきちんと見極めることで、負担の少ない方法で対応できる可能性もあります。
当院では、しこりの見極めから必要に応じた摘出手術、その後の管理まで一貫して対応しています。「様子を見てもいいのか迷う」と感じたときこそ、ひとつの判断のタイミングです。気づいた時点で、どうぞお気軽にご相談ください。
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