犬と猫の避妊・去勢手術|時期・メリット・費用・術後ケアまで獣医師が解説

「避妊・去勢手術って本当に必要?」「いつ頃受けるのがいいの?」
そのようなお悩みをもつ飼い主様も多いのではないでしょうか。手術には病気の予防や行動の安定などたくさんのメリットがある一方で、麻酔や術後のケアについて不安を感じていらっしゃる方も少なくありません。

ナガワ動物病院では、こうしたお悩みに寄り添いながら、愛犬・愛猫にとって最適な手術のタイミングや方法をご提案しています。

今回は、避妊・去勢手術の基本的な内容から、手術のメリット・デメリット、時期や費用、術後の過ごし方までを、詳しく解説します。

 

避妊・去勢手術とは|犬・猫の体にどんなことをするの?

避妊・去勢手術は、繁殖を望まない犬や猫にとって大切な医療処置のひとつです。ナガワ動物病院では、以下のような方法で行っています。

避妊手術(メス)

子宮と卵巣を取り除く手術です。妊娠を防ぐことができるだけでなく、将来的に発症リスクの高い病気を予防する効果もあります。術後は基本的に一泊入院し、最短で翌日の午前中に退院していただく流れです。

去勢手術(オス)

精巣を摘出する手術で、比較的短時間で終わる処置です。こちらも一泊入院後、翌日の午前中にご帰宅いただけます。

麻酔とリスクへの配慮

どちらの手術も全身麻酔が必要になります。当院では、手術の安全性を高めるため、術前検査(血液検査・レントゲン・心電図など)を強くおすすめしています。また、麻酔時は必ず2名以上の獣医師が立ち会い、安全管理を徹底しています。

手術を受けるメリットとデメリット

避妊・去勢手術には、身体的・行動面でのメリットがある一方で、いくつかの注意点もあります。事前にしっかり理解しておくことが大切です。

メリット

望まない妊娠を防げる
発情期のストレスや鳴き声、マーキング、攻撃的な行動などの軽減
メスは子宮蓄膿症や乳腺腫瘍、オスは前立腺肥大や会陰ヘルニアなどの予防

デメリット・注意点

ホルモンバランスの変化で太りやすくなることがある
全身麻酔に伴うリスクがある
術後、一時的に元気がなくなったり、体調を崩したりすることがある
排尿のトラブルが出ることがある

ただし、こうしたリスクについては、術前検査や術後のケア、日々の体調管理で十分に対応できることがほとんどです。

当院では、このような手術のメリット・デメリットを丁寧にご説明したうえで、飼い主様と一緒に最適な選択ができるように心がけています。

手術の時期はいつがベスト?|犬・猫それぞれの推奨時期と考え方

手術の効果を最大限に活かすためには「いつ手術を受けるか」も重要なポイントになります。

犬の場合

▼去勢手術(オス)
歯の生え変わりが落ち着く生後6〜8か月頃がおすすめです。

▼避妊手術(メス)
初回の生理が終わった約1.5か月後(発情休止期)が理想です。この時期はホルモンバランスが落ち着いており、手術の負担も少なくなります。

猫の場合

去勢・避妊ともに、大人の歯が生えそろい、発情期が始まる前(生後5〜6か月)がベストタイミングです。
発情後の手術は出血量が増えたり、術後の回復が遅れたりすることもあるため、早めのご相談をおすすめします。

手術の流れと費用の目安

当院では、避妊・去勢手術を安心して受けていただくために、事前準備から術後のフォローまでを丁寧に行っています。ここでは、手術の流れと費用の目安についてご紹介します。

手術の流れ

1. 術前検査
血液検査・レントゲン・心電図などを行い、麻酔の安全性を確認します。

2. 前日夜から絶食・当日は絶水
誤嚥(ごえん)などのリスクを避けるため、当日は絶飲食の状態でご来院いただきます。

3. ご来院・術前確認
全身の状態を最終確認し、必要に応じて再検査やご説明を行います。

4. 手術実施
所要時間は30~60分ほどで、麻酔下で慎重に行います。

5. 回復室で経過観察
手術後は落ち着くまでしっかりと経過を見守ります。

6. 一泊入院
基本的に術後は1泊入院とし、翌日午前中に退院となります。(状態によって延長の場合もあります)

7. 退院後のケア
術後の経過に応じて、1週間前後で抜糸を行うこともあります。(傷口の状況により異なります)

費用の目安(税別)

猫の去勢:17,000円〜
猫の避妊:27,000円〜
犬の去勢:20,000〜27,000円(小~中型犬)
犬の避妊:42,000円(小型犬)、57,000円(中型犬以上)
術前検査:8,000円〜20,000円

※お住まいの自治体によっては、1,500〜3,000円程度の助成金制度をご利用いただける場合があります。詳細は当院までお気軽にお問い合わせください。

術前検査について

術前検査は「必須」ではありませんが、当院では強くおすすめしています。
検査を行うことで、外から見えない先天的な疾患や、麻酔に対してリスクの高い体質を事前に把握でき、安全な手術につなげることができるためです。

例えば、心臓・肝臓・腎臓に異常があることに気づかずに麻酔をかけると、重大な事故につながるおそれもあるため、術前検査は「できるだけ安全に、安心して手術を受けていただくための準備」といえます。

一見すると費用がかかるように感じられるかもしれませんが、愛犬・愛猫の命を守る大切な手段として、ぜひご検討ください。

術後のケア|手術後も安心して過ごすために

手術後は、愛犬・愛猫が穏やかに回復できるよう、落ち着いた環境でそっと見守ることが大切です。術後1週間ほどは、以下の点にご注意ください。

安静が基本
激しい運動は避け、静かに過ごせる時間を確保してあげましょう。

傷口の保護
舐めたり引っかいたりしないよう、エリザベスカラーや術後服を着用します。傷が開いてしまうと治りが遅れるため、しっかり守ってあげましょう。

食事のポイント
手術直後は消化の良いごはんを少量からスタートします。食欲や便の様子を見ながら、ゆっくり普段の食事に戻していきましょう。

元気や食欲の変化
術後は一時的に元気がなかったり、食欲が落ちたりすることもあります。多くの場合は徐々に回復していきますので、焦らず見守ってください。

気になる変化があれば、遠慮なくご相談ください。安心して回復を見守れるよう丁寧にサポートいたします。

まとめ

避妊・去勢手術は、将来の病気を予防し、愛犬・愛猫が快適に過ごすための大切な選択肢です。行動面のストレス軽減にもつながるため、より穏やかな日常をサポートします。

ナガワ動物病院では、麻酔や手術のリスクをできる限り抑えるとともに、飼い主様のお気持ちに寄り添いながら、一頭一頭に合ったタイミングや方法をご提案しています。

「うちの子に必要?」「今の時期で大丈夫?」といったご相談にも丁寧にお応えいたしますので、どうぞお気軽にご来院ください。飼い主様と一緒に、その子にとって最善の方法を考えてまいります。

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