SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは|犬・猫にも感染するマダニ感染症の症状と予防策

当院からの大切なお知らせ

SFTSが疑われる犬猫は、直接ご来院いただくことができません。
まずは必ずお電話にて当院へご相談ください。
外に出ている猫ちゃんはしばらく外出を控えていただき、症状がある場合も院内には連れて来ず、事前にご連絡をお願いいたします。

近年、ニュースなどでも耳にすることが増えてきた「SFTS(重症熱性血小板減少症候群)」。マダニが媒介するこの感染症は、人だけでなく犬や猫などの動物にも感染・発症することが知られており、注意が必要です。

今回は、SFTSの基礎知識や犬・猫で見られる症状、ご家庭でできる予防対策について、獣医師の視点から詳しく解説します。

 

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)とは?

SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は、SFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染する人獣共通感染症です。犬や猫だけでなく、人にも感染し、命に関わる重い症状を引き起こすことがあります。

感染の広がりと国内の発生状況

これまでの発症報告は、主に九州や四国など西日本に集中していましたが、近年では関東や北海道でも感染例が報告されるようになっています。
2025年5月には茨城県で、関東地方では初となる犬と猫のSFTS感染が確認され、感染リスクが全国的に広がりつつある状況です。

犬と猫、それぞれの発症傾向

犬や猫に関するデータはまだ十分ではありませんが、国内の調査から以下のような傾向が見えてきています。

猫の方が圧倒的に発症例が多い(2023年には猫194頭、犬12頭の発症を確認)
猫は不顕性感染(無症状のまま感染)になりにくく、発症・重症化しやすい
犬でも重症化することがある(報告されている致死率は猫で約60%、犬で約25%)

特に猫では、以下のような症状が見られることがあります。

元気や食欲がなくなる
発熱する(39.5度以上)
粘膜が黄色くなる(黄疸)
嘔吐や下痢などの消化器症状

これらの症状は、感染後数日で急激に悪化し、1週間以内に命を落とすケースもあるため、早期の気づきと対応が非常に重要です。

SFTSの怖さは「人にも感染すること」

SFTSウイルスは、感染した犬や猫との濃厚接触を通じて、飼い主様にも感染するおそれがあります。人での致死率も高く、2025年6月時点で国内では91人の感染と複数の死亡例が報告されています。中には、感染した猫を診察した獣医師がSFTSで亡くなった事例もあり、人にとっても非常に危険なウイルスといえます。

「予防薬を使っていれば安心」は間違いです

マダニ予防薬は、感染リスクを下げるための重要な手段ではありますが、100%の予防効果があるわけではありません。予防薬の使用に加えて、日常生活の中でマダニと接触しないための工夫も欠かせません

このように、SFTSは命を落とすこともある恐ろしい病気です。だからこそ、犬や猫がマダニに咬まれた、あるいは様子がおかしいと感じたときには、ためらわずに動物病院にご相談ください。

SFTSが疑われる場合のご来院についてはこちらをご確認ください

マダニはどこにいる?身近に潜むリスク

SFTSウイルスを媒介するマダニは、草むらや森林、河川敷、畑、林道など、自然の多い場所に広く生息しています。活動が活発になるのは春から秋にかけてですが、冬でも完全にリスクがなくなるわけではないため、1年を通じた注意が必要です。

ご家庭に潜む2つのリスク

SFTSが特に警戒されている理由のひとつは、人と動物の両方に感染するおそれがある点です。飼い主様が「外に出していないから安心」と思っていても、思わぬ経路で感染のリスクが入り込むことがあります。

1.感染した動物から人へ
SFTSを発症した犬や猫との濃厚接触を通じて、飼い主様に感染が広がるケースがあります。体液や唾液、排泄物を介して感染することもあるため、特に症状がある動物との接触には注意が必要です。

2.飼い主様からの持ち込み
犬や猫が外出しない場合でも、飼い主様が外出先で衣服や靴にマダニを付けたまま帰宅し、知らずに室内へ持ち込んでしまうことがあります。実際に、屋内飼育の猫がこのルートで感染した例も報告されています。

まずは、こうしたリスクが身近にあることを正しく理解することが、動物たちを含めたご家族の健康を守る第一歩です。

マダニ感染を防ぐには?ご家庭でできる予防対策

SFTSから愛犬・愛猫、そして飼い主様を守るためには、日常的な予防の積み重ねが何よりも重要です。以下のような対策を意識しながら、できることから始めてみましょう。

・ノミ・マダニ予防薬を定期的に使う
犬も猫も、通年での予防薬の使用をおすすめします。マダニは気温が下がっても生息していることがあり、春夏だけの対策では不十分な場合もあります。特に外に出る猫では感染リスクがさらに高まるため、より注意が必要です。

ノミ・マダニ予防について詳しく知りたい方はこちら

・散歩コースや屋外での過ごし方に配慮する
マダニは、草むらや河川敷、林のふちなど、自然が多い場所に多く潜んでいます。散歩の際は、できるだけ草が生い茂った場所への立ち入りを避けるように意識し、帰宅後のマダニチェックも習慣づけましょう。

・家の中や周囲の環境を整える
庭の草刈りをこまめに行う風通しをよくするペット用寝具を清潔に保つなど、ご家庭の環境づくりも感染予防には重要です。小さな積み重ねが、大きなリスクの軽減につながります。

・飼い主様の外出時の服装や対策にもひと工夫
マダニを家の中へ持ち込まないための対策も忘れてはいけません。外出時には肌の露出を控え、長袖・長ズボン・帽子の着用防虫スプレーの活用などを意識しましょう。帰宅後は、衣類や身体にマダニがついていないかを確認する習慣をつけることも大切です。

また、SFTSは動物の体液や血液を介して人へ感染することがあるとされています。もし外でぐったりとした犬や猫を見かけた際は、決して直接触れず、動物病院に連絡するようにしましょう。もし仮に直接触れてしまうと、その時点でSFTSの感染リスクが発生することを忘れず、適切に対応することが重要です。

ご来院について

・SFTS疑いの動物は院内での入院対応はできません(東京都獣医師会ガイドラインに準拠)
・ご自宅での対応時には、手袋・ゴーグル・マスク・長袖の捨てても良い衣類を着用してください
・接触後は衣類を廃棄し、次亜塩素酸で手や環境を消毒してください
・発症動物の体液や唾液からも人に感染するため、安易に触れないようご注意ください

まとめ

SFTS(重症熱性血小板減少症候群)は、マダニを介して人にも犬・猫にも感染する、命に関わるおそれのある感染症です。

猫での発症例が多く、症状が急激に進行することもあるため「うちの子は室内飼いだから大丈夫」と油断せず、犬・猫ともに一年を通じた予防対策が大切です。まずは正しい情報を知り、日常の中でできることから予防を始めましょう。

もし心配なことや予防に関するご相談があれば、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

<参考文献>
Seroprevalence of severe fever with thrombocytopenia syndrome virus in animals in Kagoshima Prefecture, Japan, and development of Gaussia luciferase immunoprecipitation system to detect specific IgG antibodies – ScienceDirect
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/12668-sfts-ra-0801.html(最終閲覧日:2025/07/22)

 

⏬よろしければ、星のボタンでこの記事の感想を教えてください⏬

1つ星2つ星3つ星4つ星5つ星 (1 投票, 平均: 5.00 / 5)

🔳以下の関連記事もご覧ください
SFTSとは?
<重要>SFTS感染症報道について

当院の診療予約はこちら
当院の診療案内詳細はこちら

ペットクリニックを練馬区でお探しならナガワ動物病院
03-3926-9911

Copyright (C)NAGAWA ANIMAL CLINIC All rights reserved.