【犬の誤飲で手術が必要になるケースとは】嘔吐が続くときは要注意|腸閉塞の症状と治療の流れ
愛犬が何かを飲み込んでしまったかもしれないとき、あまり深刻な様子が見られないと「少し様子を見てもいいのかな」と迷われる飼い主様も多いのではないでしょうか。
しかし誤飲・誤食では、異物が胃を越えて腸に進んでしまうと、催吐処置(吐かせる処置)や内視鏡では対応できないことがあるため、早めの対応が重要です。また、腸に異物が詰まることで腸閉塞や血流障害が起こることがあり、その結果、腸を切ってつなぐ手術が必要になる場合もあります。
今回は、犬の誤飲が進行して腸閉塞につながるケースや、どのような症状に注意すべきか、動物病院での診断と治療の流れについて詳しく解説します。
1.腸閉塞とは|誤飲した異物が腸まで進むとどうなる?
2.こんな症状は要注意|ただの嘔吐と様子見してはいけないサイン
3.動物病院での診断と治療の流れ|どんなときに手術が必要になる?
4.手術後の管理とナガワ動物病院の考え方
5.まとめ|誤飲後の嘔吐が続くときは、早めの判断が大切
腸閉塞とは|誤飲した異物が腸まで進むとどうなる?
腸閉塞とは、飲み込んだ異物が小腸に詰まり、食べ物や消化液の流れが止まってしまう状態のことです。
誤飲したものが胃の中にある段階であれば、催吐処置や内視鏡で対応できる場合があります。しかし、異物が胃を越えて小腸に進んでしまうと内視鏡では届かないため、治療の選択肢が変わってきます。
異物が腸の中にとどまり、詰まった状態が続くと、次のような変化が起こります。
詰まりが続く
↓
腸の壁に圧力がかかる
↓
血流が悪くなる
↓
腸の一部が傷む・壊死する
↓
腸に穴があく(穿孔)
↓
お腹の中に炎症が広がる
このような状態では、傷んだ部分を切除し、健康な腸同士をつなぐ「小腸切除吻合術(しょうちょうせつじょふんごうじゅつ)」が必要になることがあります。
こんな症状は要注意|ただの嘔吐と様子見してはいけないサイン
犬の嘔吐は比較的よく見られる症状ですが、すべてが「少し様子を見て大丈夫」というわけではありません。特に次のような場合では、腸に異物が詰まっている可能性を考える必要があります。
・嘔吐を繰り返している
・食べても吐く、水を飲んでも吐く
・元気や食欲がない
・お腹を痛がる、落ち着かない
・便が出ない、または少ない
・何かを誤飲した可能性がある、または過去に誤飲したことがある
・若い犬である
もし腸に異物が詰まっていると「吐いてはいるけれど元気そうに見える」「半日たてば落ち着くかもしれない」と様子を見ている間に、腸への負担が進んでしまうケースもあります。
繰り返す場合や他の症状を伴う場合には、ただの胃腸炎ではなく、腸閉塞のような緊急性の高い状態が隠れていることもあることを、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
動物病院での診断と治療の流れ|どんなときに手術が必要になる?
誤飲後の嘔吐や元気・食欲の低下が見られる場合、まず大切なのは「異物がどこにあるのか」「本当に腸閉塞が起きているのか」を正確に見極めることです。
<診断の流れ>
まずは問診で、何を飲み込んだ可能性があるか、いつから症状が出ているかを詳しく確認します。嘔吐は膵炎など他の病気でも見られるため、症状の出方や経過を丁寧に整理することが重要です。
そのうえで、次のような診察・検査を組み合わせて状態を確認します。
・触診
・レントゲン検査
・エコー検査
レントゲン検査では、異物の有無や腸のガスのたまり方などを確認し、全体的な状態を把握します。
一方で、異物の種類によってはレントゲンでは見えにくいこともあるため、エコー検査がとても重要になります。エコーでは、異物の位置だけでなく、腸の動きや腸壁の状態、腹水の有無なども確認し「詰まっているのか」「腸にどの程度の負担がかかっているのか」を見極めながら治療方針を判断していきます。
<治療の流れ>
胃の中に異物がとどまっている場合には、催吐処置や内視鏡による摘出が選択肢になることがあります。ただし、レントゲンやエコー検査で異物がすでに腸まで進んでいることが分かった場合や、閉塞・穿孔・壊死が疑われる場合には、外科手術が必要になります。
その際に行うのが「小腸切除吻合術」です。これは、傷んだ腸の部分を切除し、健康な腸同士をつなぐ手術です。単に異物を取り出すだけではなく、すでにダメージを受けてしまった腸を安全に処置するために必要となります。
手術後の管理とナガワ動物病院の考え方
腸の手術は、手術を行えば終わりというものではなく、術後の管理も含めて、丁寧に経過を見ていくことがとても重要です。術後には、次のような管理を行います。
・点滴による全身管理
・痛みの管理
・食事再開のタイミング調整
・縫合部の状態確認
・全身状態のモニタリング
・退院時期の判断
食事の再開は、その子の状態や腸の回復具合を見ながら慎重に進めますが、一般的には術後2日目頃から流動食を開始することがあります。また、退院のタイミングは一律ではありませんが、多くのケースで固形の便が確認できることをひとつの目安としています。
<回復を支えるために大切なこと>
腸の手術では、どの部分まで傷んでいるかを正確に見極めること、そして術後に腸がきちんと回復していくかを継続して確認することが大切です。当院では、画像検査による病態判断から手術、術後管理まで一貫して対応し、その子の状態に合わせて必要な管理を進めています。
こうした一つひとつの積み重ねが、術後の回復を支える重要な要素になります。
まとめ|誤飲後の嘔吐が続くときは、早めの判断が大切
犬の誤飲では、異物が腸まで進んでしまうと内視鏡では届かず、手術が必要になることがあります。特に、嘔吐を繰り返す、水を飲んでも吐く、元気や食欲がないといった症状が見られる場合には、腸閉塞のような進行した状態も考える必要があり、早い段階で状態を把握することが、体への負担を抑えた治療につながることも少なくありません。
また、こうしたケースでは、エコー検査などを用いて異物の位置や腸の状態を丁寧に見極めることが大切になります。当院では、画像検査による病態の見極めから手術、術後管理まで一貫して対応し、その子の状態に合わせた治療方針をご提案しています。気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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