【犬・猫の異物誤飲】吐かない・症状が出ないときも危険?飼い主様に知ってほしい判断基準
「さっきまであったおもちゃの一部がない」「落ちていたものを口に入れたのを見た」
そんな瞬間は、焦りで頭が真っ白になってしまうかもしれません。
犬や猫の異物誤飲は時間との勝負です。どれだけ早く正しい対応をとれるかが、命を守る大きなポイントになります。
今回は「異物を飲み込んだかもしれない」と気づいたその瞬間から、受診までに飼い主様ができる初動対応を中心にご紹介します。
1.異物誤飲に気づいたら、まず確認すべき3つのこと
2.絶対にしてはいけない自己判断の対処法
3.特に注意が必要な3つのケース
4.動物病院に連絡するとき、伝えるべき情報
5.異物誤飲を繰り返さないために、今日からできる予防習慣
6.まとめ
異物誤飲に気づいたら、まず確認すべき3つのこと
まずは深呼吸をして落ち着き、次の3点を確認しましょう。
① 何を食べたか
素材(木、金属、ゴム、骨など)や形(針状、球状、ひも状など)、大きさをできるだけ正確に把握します。
② いつ食べたか(経過時間)
誤飲から時間が経っていない場合は、異物がまだ胃の中にある可能性があります。この段階であれば、催吐処置(吐かせる処置)ができることもあります。
③ 今の様子(症状の有無)
嘔吐や元気消失、腹痛が見られることもありますが、症状がなくても安全とは限りません。
これらの情報は、動物病院で診断や治療方針を決めるうえで非常に重要です。
たとえ「見ていないけれど怪しい」という場合でも、周囲の状況や残骸などから推測できることがあります。まずは慌てずに状況を整理し、すぐに動物病院へ相談できるように準備しましょう。
絶対にしてはいけない自己判断の対処法
目の前で愛犬や愛猫が異物を飲み込んでしまうと「どうにかして助けなければ」と焦ってしまうのは当然のことです。しかし、焦りから取ってしまった行動が、かえって危険を招くこともあります。
たとえば、次のような対処は一見効果がありそうに思えても、実際には命を危険にさらすおそれがあります。
・塩を飲ませる
電解質バランスが崩れ、中毒を起こすおそれがあります。
・水や牛乳を飲ませる
異物によっては逆効果になり、胃の中で動いてしまうこともあります。
・無理に吐かせる
串や針などの鋭いものは消化管を傷つけ、電池などは腐食して穴が開くおそれがあります。
・指を口に入れて取り出そうとする
飼い主様がケガをしたり、動物が興奮して暴れてしまう危険があります。
・元気そうだから様子を見る
異物誤飲は時間との勝負です。症状がないように見えても、体の中では進行している場合があります。
ネット上の情報や知人の経験談の中には、危険な方法が混ざっていることもあります。まずは動物病院へご連絡ください。病院スタッフが状況をお聞きし、最善の方法をご案内します。
特に注意が必要な3つのケース
異物誤飲は基本的にすぐに動物病院への連絡・受診が必要ですが、次のような場合は、特に緊急性が高くなります。
・中毒性のあるもの・尖ったもの・ひも状のものを飲み込んだ
電池や薬、洗剤などの化学物質、串や針、糸や紐などは特に危険です。内部で炎症や損傷を起こし、命に関わることもあります。
・呼吸が苦しそう・ぐったりしている
喉や食道に異物が詰まっている、あるいは中毒症状が進行しているおそれがあります。少しの遅れが命取りになることもあります。
・嘔吐を繰り返す・お腹を痛がる
異物が胃や腸に詰まっているおそれがあります。時間の経過とともに腸閉塞や壊死に進行することもあります。
このようなサインが見られる場合はもちろん、たとえ症状が出ていなくても誤飲の可能性があれば、すぐにご相談ください。
動物たちは痛みや苦しさを隠してしまうことが多く、外からは判断できない危険が潜んでいます。迷ったときこそ「念のため」が大切です。
動物病院に連絡するとき、伝えるべき情報
異物誤飲が疑われるときは、来院前にお電話などでできるだけ早く病院へ連絡することが大切です。その際、次の情報を整理しておくと、病院側での緊急度の判断や受診準備がスムーズになります。
<電話で伝えるポイント>
・犬または猫の種類
・年齢・体重
・何を・いつ・どのくらい食べたか
・現在の症状(嘔吐、ぐったりしている、呼吸の様子など)
・かかりつけかどうか(初診の場合はその旨も)
もしも慌てていてご説明が難しいときも「異物を食べたかもしれない」とだけお伝えいただければ、スタッフが順を追って必要な情報をお伺いしますので、ご安心ください。
また、誤飲した可能性のあるものの写真や、現在の様子を撮影した動画があれば、来院時に見せていただくと診断の助けになります。加えて、誤食した可能性のある物と同じ物が手元にあれば、そちらをお持ちください。
<安全性と確実性を重視した対応>
異物誤飲の治療は、誤飲したものの種類・大きさ・経過時間によって対応が大きく異なります。そのため、自己判断で吐かせたり、水や食べ物を与えたりするのは避け、まずは獣医師の指示に従ってください。
ナガワ動物病院では、誤飲の種類や位置を慎重に見極めたうえで、安全性と確実性を重視しながら催吐処置を行っています。経験豊富な獣医師が複数の方法を状況に応じて選択し、動物への負担を最小限に抑えた対応を心がけています。
さらに当院では、異物の有無や位置・大きさを正確に把握するために、エコー検査を積極的に活用しています。最新の検査機器と高い読影技術により、見落としのない精密な画像診断を行っています。その結果をもとに、催吐処置・内視鏡処置・外科手術など、状態に合わせて最適な治療方針をご提案します。
異物誤飲を繰り返さないために、今日からできる予防習慣
異物誤飲は、一度経験した子ほど繰り返しやすいという傾向があります。好奇心が旺盛だったり、食べることが大好きな性格の子では、ちょっとした油断が再発につながることもあるので注意が必要です。
<ご家庭で今日からできる予防ポイント>
日常の中で「気づいたときにできる小さな工夫」を積み重ねることが、誤飲事故の防止につながります。
・床に物を置かない・使ったものは片づける
床に落ちている小物やティッシュなど、犬や猫にとっては「おもちゃ」に見えることもあります。
・おもちゃの劣化を定期的にチェックする
壊れかけたおもちゃの破片を飲み込んでしまうケースも少なくありません。遊んだあとは破損がないか確認してあげましょう。
・ゴミ箱には必ずフタをつける
においのするものに惹かれてゴミ箱をあさってしまうことがあります。キッチンやリビングのゴミ箱はフタ付きのものがおすすめです。
・留守番時は安心できるスペースで過ごさせる
誤飲事故は飼い主様の目が届かないときに起こりがちです。お留守番の際は、危険なものが届かないサークルや部屋で過ごさせましょう。
日常のちょっとした工夫で「まさか」の事故はぐっと減らせます。
ナガワ動物病院では、誤飲の治療だけでなく、再発防止のための生活アドバイスも行っています。一度でも誤飲の経験がある場合は、どんな場面で注意すべきか、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
犬や猫の異物誤飲は「気づいた瞬間の行動」がその後の経過を大きく左右する緊急事態です。目立った症状がなくても体の中では進行していることがあるため、すぐにご連絡ください。
自己判断での様子見や、ネット上の民間療法を試すのはとても危険です。まずは動物病院に相談し、専門的な判断を仰ぐことが、愛犬・愛猫を守るいちばんの近道です。
ナガワ動物病院では、催吐処置・内視鏡・外科手術など、異物誤飲への幅広い対応体制を整えています。また、エコー検査などの画像診断を活用し、安全性と確実性を重視した治療を行っています。誤飲の可能性に気づいたら、できるだけ早くご相談ください。
⏬よろしければ、星のボタンでこの記事の感想を教えてください⏬
🔳以下の関連記事もご覧ください
【獣医師監修】犬や猫が嘔吐!┃すぐ病院に行くべき症状と対処法
【獣医師監修】愛犬・愛猫の咳が気になったら┃危険な症状と対処法
獣医師が教える! 犬の血便の原因と対処法┃早期発見のポイントとは?
ペットクリニックを練馬区でお探しならナガワ動物病院
03-3926-9911

















