【獣医師監修】犬や猫が嘔吐!┃すぐ病院に行くべき症状と対処法

犬や猫を飼っていると、一度は嘔吐の場面に遭遇することがあるかもしれません。ゲーゲーと吐く様子をみると、「何か変なものでも食べたのかな…」「このまま吐き続けたらどうしよう…」と不安になる飼い主様も多くいらっしゃるかと思います。嘔吐はさまざまな原因で起こり、一時的な問題のケースもあれば、深刻な病気が隠れているケースもあります。
今回は、犬や猫がなぜ吐くのかをご説明したうえで、すぐに動物病院を受診すべき危険な症状や、ご家庭でできる応急処置などをお伝えします。

 

犬や猫の嘔吐が起こる主な原因とは

犬や猫では、次のような原因によって嘔吐が起こります。

一般的な原因

食べすぎ
早食い
ストレス
生理的なもの(猫)
異物誤食  など

病的な原因

・胃腸の病気:慢性腸症、消化器型リンパ腫、炎症性ポリープ
・感染症:サルモネラやカンピロバクターなどの細菌、パルボウイルスやコロナウイルスなどのウイルス、回虫やコクシジウムなどの寄生虫
・内臓の病気:胆嚢粘液嚢腫、膵炎、肝炎、腎臓病、肝臓病
・ホルモンの病気:甲状腺機能亢進症
・アレルギー:食物アレルギー

特に猫については、健康でもよく吐く動物だと認識されている飼い主様が多いかもしれません。しかし、吐く原因として病気が隠れている可能性もあります。病気の有無はご家庭で判断するのが難しいため、次の項目で挙げる危険な症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診しましょう。

すぐに病院に行くべき危険な嘔吐の症状

この項目でお伝えする嘔吐は、特に危険性が高いものです。

未消化物が混ざっている
胃に到達する前に吐き出している、あるいは胃の消化機能が落ちている可能性があります。食べてすぐに吐くようであれば、食道の運動機能がうまく働いていないことが原因として考えられ、嘔吐ではなく吐出かもしれません。

胆汁(黄色い液体)が混ざっている
胆汁が混ざった嘔吐は、空腹時間が長すぎることが原因の場合があります。ただし、頻繁に見られる場合は胃腸の病気が疑われます。

血液が混ざっている
胃や腸で出血している可能性があります。血液というと赤い色をイメージされるかもしれませんが、場所によっては黒や茶色のケースもあり、その場合は特に緊急性が高いです。

異物が混ざっている
異物を誤って食べてしまった可能性があります。異物が排出されない場合、手術が必要になることがあります。

一日に何度も嘔吐をする
嘔吐が続くと身体の水分が失われ、脱水症状がみられることもあります。とても危険な状態で、すぐに補液などで水分を補う必要があります。

嘔吐以外の症状がある
下痢、元気や食欲の低下、発熱、貧血など、別の症状も伴っている場合、何らかの病気が疑われます。

これらの症状がある場合、自己判断を避け、速やかに動物病院を受診してください。

自宅でできる応急処置と観察のポイント

愛犬・愛猫が嘔吐した際、どう対処すればよいか迷う飼い主様もいらっしゃるかと思います。まず、獣医師に相談することが重要ですが、ご家庭で次のような応急処置を行うことで、症状の悪化を防ぐ助けになります。

絶食
半日から一日ほど一時的に食事を控え、胃腸を休ませます。なお、絶食を行う場合は自己判断で行わず、必ず獣医師の指示の元行うようにしましょう。

水分補給
嘔吐が治まった後に、新鮮で人肌程度の温度の水を用意し、少量ずつ様子を見ながら飲ませます。ただし、嘔吐直後に水分を与えると再度嘔吐したり、誤嚥性肺炎のリスクがあるため、必ず愛犬愛猫が落ち着いてから与えるようにしましょう。

これらの処置に加えて、ご家庭で嘔吐の様子を観察・記録しておくことで、診断の際に獣医師がより正確に原因を特定する助けになります。以下のポイントを参考に、嘔吐時の情報をまとめておきましょう。また、嘔吐の様子を写真や動画で撮影していただくと、より正確に情報が伝わります。

・嘔吐の回数:一日一回、一時的なもの、複数回、長期間続くか
・性状:吐いた内容物に未消化の食べ物、胆汁、血液、異物が混ざっているか
・吐くタイミング:食後すぐか、食事とは関係なく起こるか
・その他:フードの変更や直前の誤食など、何か思い当たることがないか、体重が減っていないか

特に猫の場合、嘔吐ではなく吐出が多いことがあります。そのため、吐き方の様子や内容物をしっかり観察することが重要です。当院では、吐出が多い猫に対して食道を通過しやすいフードをご提案することも可能です。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

嘔吐を予防するための日常的な注意点

病気ではなく一般的な原因によって起こる嘔吐であれば、ご家庭でのケアで予防が可能です。

食事管理
食道を通過しやすく、消化に優しいフードを選びましょう。また、フードの規定量を守り、盗み食いを防ぐために適切な場所で保管することも重要です。

環境管理
適度な運動や遊びを取り入れ、ストレスがたまらないような生活を送りましょう。

さらに、これらの予防に加えて、定期的に動物病院で健康診断を受けることも大切です。診察では、飼い主様からのお悩みをお伺いするだけでなく、各種検査を通じて普段の生活では気付きにくい異常を早期に発見できる可能性があります。
健康診断の重要性について詳しくはこちらをご覧ください

まとめ

嘔吐はさまざまな原因で起こる症状であり、一見問題がなさそうに見えても、重大な病気が隠れている場合があります。特に今回ご紹介した危険な症状が見られた場合は、速やかに動物病院を受診することが大切です。また、必要に応じて応急処置を行い、日々のケアを徹底することで嘔吐を予防することも可能です。日頃の観察とケアを意識し、愛犬・愛猫の健康管理に役立ててみてください。

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