
犬の脾臓に腫瘍が見つかったら|摘出手術の必要性とその後のケア
脾臓(ひぞう)は、犬のお腹の中にある臓器のひとつで、高齢になると腫瘍が見つかることが珍しくありません。
特に脾臓は血液を多く含む臓器のため、腫瘍が破裂すると大量出血を起こし、命に関わるケースも少なくありません。そのため、状況によっては早めの摘出手術が必要になります。
今回は、脾臓の役割や腫瘍の特徴、摘出手術の流れや術後のケアについてご紹介します。
■目次
1.犬の脾臓とは?腫瘍のリスクと手術の必要性
2.脾臓腫瘍の診断と摘出手術の流れ
3.手術後の過ごし方と継続的なケアの大切さ
4.まとめ
犬の脾臓とは?腫瘍のリスクと手術の必要性
脾臓(ひぞう)は、胃の近くにある細長い臓器で、免疫や血液に関わる重要な働きを担っています。具体的には、古くなった赤血球の回収や、必要に応じた血液の貯蔵・放出、そして免疫機能の一部も担っています。
この脾臓に腫瘍(しこり)ができることがあり、特に高齢の犬では発見される頻度が高くなります。腫瘍には以下のような種類があります。
・良性腫瘍
ゆっくりと成長し、他の臓器に広がることはありません。ただし、大きくなると破裂するリスクはあります。
・悪性腫瘍(がん)
代表的なものに「血管肉腫」があり、非常に進行が早く、破裂による大量出血や、全身への転移が起こるおそれがあります。
どちらの腫瘍であっても、脾臓が破裂すれば命に関わる緊急事態になるため、腫瘍が見つかった段階で早めの判断が求められます。
<なぜ脾臓摘出がすすめられるのか>
脾臓腫瘍は、ちょっとした衝撃や運動がきっかけで破裂することがあります。悪性の疑いが強い場合はもちろん、良性であっても破裂リスクがある場合には、脾臓摘出手術が選択肢になります。
当院では、腫瘍の種類にかかわらず「破裂リスクが高い」と判断される場合には、早期の摘出手術をおすすめしています。命を守るために、早めの決断が重要になるケースも多いためです。
脾臓腫瘍の診断と摘出手術の流れ
脾臓腫瘍は、早期に見つかれば命を救える可能性が高い病気です。しかし、進行するまで症状が出にくいため、定期的な検査による早期発見がとても大切になります。
<診断の流れ>
脾臓腫瘍の診断には、以下のような検査が行われます。
・超音波検査(エコー)
脾臓の大きさや腫瘍の有無、腹水の有無を確認します。腫瘍の早期発見に有効です。
・レントゲン検査や血液検査
他の臓器への影響や全身状態を把握します。
・必要に応じたCT検査や細胞診
腫瘍の広がり具合や、ほかの病変の確認に役立ちます。
なお、血液検査だけでは腫瘍の有無を判断することは難しいため、エコー検査などの画像診断が特に重要になります。
<手術の流れ>
腫瘍が確認された場合、破裂によるリスクを回避するために、脾臓摘出手術(脾臓全摘)を行います。
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SFTSとは?
重症熱性血小板減少症候群(SFTS):
SFTSウイルスによる感染症で、マダニの吸血によりヒト・イヌ・ネコなどが感染・発症し、死に至る場合もある病気です。
発症した場合のヒトでの致死率は27~30%程度と報告されており、新型コロナウイルスと比較すると15倍以上の比率となります。
また、感染した動物の排泄物や涙や唾液などの体液が粘膜を介してヒトに感染することが報告されています。
動物を飼育されている飼い主様においてはノミ・ダニ駆虫薬の塗布がワンちゃんネコちゃん、ひいてはヒトのご家族を守るための現在唯一の予防法になっております。
詳細はこちらご確認ください
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について(厚生労働省ホームページ)
⇒SFTS感染症報道について
⇒SFTSが疑われる場合の来院について