愛犬の便に血が混じっていることに気づくと、とても心配になる一方で、すぐに動物病院に行くべきかどうか迷われる飼い主様も多いのではないでしょうか。
特にいつもどおり元気に過ごしていると、受診のタイミングを迷いやすいかもしれません。確かに血便は一時的な刺激で見られることもありますが、なかには早めの対応が必要なケースもあるため注意が必要です。
今回は、犬の血便で受診を急ぐべきサインや様子見の判断の考え方、原因や検査の流れについて、飼い主様の視点で解説します。
1.まず確認したい|犬の血便で受診を急ぐべきケース
2.元気があっても様子見しすぎない方がよい血便とは
3.犬の血便の見分け方|鮮血便と黒色便の違い
4.犬の血便の主な原因
5.血便を見つけたときにご家庭で確認していただきたいポイント
6.動物病院ではどんな検査・治療を行う?
7.まとめ|迷ったときは「元気があるか」だけで判断しないことが大切
まず確認したい|犬の血便で受診を急ぐべきケース
血便が見られたとき、まずは緊急性の高いサインがないかを確認することが大切です。次のような場合は、できるだけ早めの受診をおすすめします。
・黒い便が出ている
・血便が何度も続く
・嘔吐、元気消失、食欲不振がある
・子犬、高齢犬、持病がある犬
・誤飲誤食の可能性がある
・血の量が多い
特に黒い便は、胃や小腸など体の上部からの出血を示していることがあり、重篤な状態が隠れている可能性もあります。また、嘔吐や元気の低下など他の症状を伴う場合は、体全体に影響が出ている可能性があるため注意が必要です。
元気があっても様子見しすぎない方がよい血便とは
「元気もあるし食欲もあるから、もう少し様子を見てもいいかも」と感じる場面もあるかもしれません。ただし、次のような血便が見られる場合は、元気があっても注意が必要です。
・鮮血が少量でも繰り返す
・ゼリー状の粘液が混じる
・数日以内に同じような症状を繰り返す
・便の形や回数に変化がある
こうした変化は、大腸の炎症や感染などが関係していることもあり、軽く見えても、一度動物病院で状態を確認しておくと安心につながります。
「元気があるかどうか」だけで判断せず、便の状態や変化もあわせて見ていくことが大切です。
犬の血便の見分け方|鮮血便と黒色便の違い
血便には大きく分けて「鮮血便」と「黒色便」の2つがあります。
<鮮血便>
新鮮な赤い血が混じる便で、大腸や直腸、肛門付近からの出血が考えられます。比較的身近なトラブルとして見られることもありますが、繰り返す場合は注意が必要です。
<黒色便>
血液が消化されて黒くなった便で、胃や小腸など体の上部からの出血が疑われます。見た目は黒く、タール状になることもあり、特に注意が必要なサインです。
このように、血便の色や状態によって、出血している場所や緊急性の目安が変わります。
犬の血便の主な原因
犬の血便にはさまざまな原因がありますが、代表的なものとしては以下が挙げられます。
・寄生虫感染(ジアルジア、コクシジウムなど)
・食べたものによる刺激(異物、食事の急な変更、アレルギーなど)
・炎症性腸疾患
・感染症(パルボウイルスなど)
・腫瘍(特に高齢犬)
・ストレスによる腸の炎症
・排便しぶりによる粘膜の傷
この中でも、子犬の場合は感染症による影響を受けやすく、体調が急激に悪化することもあるため特に注意が必要です。また、異物誤食が原因の場合は急変することもあり、緊急性が高いケースもあります。
血便を見つけたときにご家庭で確認していただきたいポイント
受診の際には、次のような情報があると診断の助けになります。
・便の色や量、回数
・元気や食欲、嘔吐の有無
・直前に食べたものや環境の変化
また、可能であれば血便をそのまま持参していただくことで、糞便検査をスムーズに行うことができます。スマートフォンで便の様子を記録しておくのも有効です。
なお、ティッシュペーパーなど水分を吸収する素材ではなく、ラップやアルミホイルなど、水分を吸収しない素材に包んでお持ちいただけると、より正確な診断につながります。
動物病院ではどんな検査・治療を行う?
動物病院では、まず問診と身体検査を行い、症状の経過や全身の状態を確認します。そのうえで、必要に応じて次のような検査を組み合わせ、血便の原因を絞り込んでいきます。
・糞便検査
・血液検査
・レントゲン検査
・エコー検査(超音波検査)
血便の原因はさまざまであるため「どこで」「何が起きているのか」を見極めることが重要です。
<治療の考え方>
治療は原因によって異なりますが、当院では症状だけで判断するのではなく、検査結果と全身状態を踏まえ、その子にとって最適な方法を選択していきます。
・感染や炎症が原因の場合:抗菌薬や抗炎症薬を用いて、腸の状態を整えていきます
・寄生虫が関係している場合:駆虫薬による治療を行います
・異物が疑われる場合:状態に応じて内視鏡や外科手術を検討します
・食事や体質が関係している場合:食事の変更や、継続的な管理を行います
当院では、検査から治療まで一つひとつの過程を丁寧に確認しながら進めていきます。「どこまで検査が必要なのか」「どの治療を選ぶべきか」といった点についても、状態に応じてご説明しながら一緒に考えていきます。
まとめ|迷ったときは「元気があるか」だけで判断しないことが大切
犬の血便は、一時的な刺激によるものから、注意が必要な病気までさまざまな原因で起こります。元気がある場合でも「回数が増えている」「繰り返している」といった変化がある場合は、体からのサインである可能性があるため注意が必要です。
ご自宅では、水分がしっかり取れているかを確認しながら、便の色や回数の変化を記録し、ストレスの少ない環境を整えることを意識してみてください。こうした日々の観察が、早期の気づきにつながることもあります。
そのうえで「様子を見てもよいのか迷う」と感じたときは、ひとつの受診のタイミングです。気になる症状があればどうぞお気軽にご相談ください。
(最終更新日:2026年5月22日)
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