犬や猫に影響を及ぼす寄生虫の中でも、特に厄介なのがノミです。ノミが寄生すると強いかゆみを引き起こし、ひどくなると皮膚炎や貧血などの健康トラブルにつながります。さらに、ノミは感染症の原因となる病原体を運ぶこともあり、放置すると健康リスクが高まるため早期発見と予防がとても重要です。
しかし、成虫のノミは動きが素早く、毛の中に隠れてしまうため見つけにくいものです。そのため、感染初期のサインとしてノミのフンをチェックすることが早期発見につながります。
そこで今回は、愛犬・愛猫の健康を守るために知っておきたい、ノミのフンの特徴や発見方法、予防策について解説します。
ノミのフンとは?特徴と見つけ方
ノミそのものを見つけることは難しいかもしれませんが、ノミのフンには特徴があるため、ご家庭でも簡単に確認することができます。
<ノミのフンの特徴>
・黒く細かい粒状(ゴミやホコリと間違えやすい)
・水に濡らすと茶色や赤茶色に変わる(血液が含まれているため)
<ノミのフンの見つけ方>
1. 毛の中をチェック
お腹周りや首元、背中などをかき分けて、黒い粒状のものがないか確認します。
2. ティッシュの上でテスト
黒い粒をティッシュや白いペーパーの上に置き、水で湿らせてこすります。
赤茶色に滲んだ場合は、ノミのフンの可能性が高いです。
3. 寝床や毛布を調べる
犬や猫がよく過ごす場所(クッション・毛布・ベッド)にもノミのフンが落ちていたり、ノミそのものが生息していることがあります。
ノミのフンが確認できたら、すでにノミが寄生している疑いがあるため、早急な対処が必要となります。
ノミのフンを見つけたら?正しい対処法
ノミのフンを見つけた場合は、以下の手順で適切に対処しましょう。
1. シャンプーで応急処置
まず、ノミが体に付着しているおそれがあるためシャンプーでしっかり洗い流します。
▼ポイント
・ノミ駆除効果のあるシャンプーを使用する(市販品は、使用前に獣医師に相談すると安心です)
・シャンプー後は毛をしっかり乾かし、再度ブラッシングしてチェック
2. 生活環境の清掃と除去
ノミは、犬猫の体だけでなく、寝床やカーペット、ソファなどにも卵や幼虫を残しています。
▼ポイント
・ベッドや毛布を洗濯(60℃以上の熱湯で洗うと効果的)
・掃除機をこまめにかける(卵や幼虫を取り除く)
・床やカーペットにスチームクリーナーを使用(熱でノミを駆除)
3. 動物病院で処方されたノミ駆除薬を使用
最も確実な方法は、動物病院で処方されるノミ駆除薬を使用することです。
▼ポイント
・市販のノミ取りグッズは効果が限定的なため、獣医師に相談して適切な薬を選ぶ
・シャンプーで成虫を洗い流しても、卵や幼虫が残っているおそれがあるため、駆除薬でしっかり対応する
なぜノミに注意が必要なの?健康への影響
ノミが寄生すると、愛犬・愛猫の健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
<ノミアレルギー性皮膚炎>
ノミの唾液に対してアレルギー反応を起こし、皮膚が赤くなったり、かゆみが強くなったりすることがあります。
<貧血>
ノミは吸血するため、大量に寄生すると貧血のリスクが高まります。特に子犬・子猫やシニアの犬猫では、貧血が命に関わるケースもあるため注意が必要です。
<瓜実条虫(サナダムシ)の感染>
ノミを介して、瓜実条虫(サナダムシ)に感染することがあります。感染すると下痢や食欲低下、体重減少がみられることがあり、駆虫が必要になります。
また、これらの影響は犬や猫だけでなく、人間に及ぶこともあります。ノミにはさまざまな種類がありますが、イヌノミやネコノミなどが人に感染するケースも少なくありません。
効果的な予防対策と日常のケア方法
<ノミ駆除薬の定期使用>
ノミの感染を防ぐためには、定期的な駆除薬の使用が効果的です。ノミは一度寄生すると増殖が早く、体表だけでなく環境にも卵や幼虫を残すため、予防的な投与が重要になります。駆除薬には以下のようなタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。愛犬・愛猫の体質や生活スタイルに合ったものを選び、月に1回または3カ月に1回の定期的な投与を行いましょう。
・スポットオンタイプ:皮膚に薬液を垂らして使用するタイプ。飲み薬を嫌がる犬や猫でも使いやすく、ノミの成虫や幼虫を効果的に駆除します。
・チュアブルタイプ:おやつのように食べるタイプで、嗜好性が高く与えやすいのが特徴。特に犬にはおすすめです。
近年ではノミが年間を通して活動することが増えているため、継続的な予防が欠かせません。当院では、犬猫問わず3カ月に1度の駆除薬を通年で投与することを推奨しています。
<こまめな被毛ケア>
ノミを早期に発見するためには、日頃のグルーミングやブラッシングが欠かせません。ノミは毛の奥に潜んでいるため、こまめな被毛ケアを行いながら、皮膚の状態をチェックしましょう。
特に春から夏にかけてはノミが活発になる時期のため、普段よりも頻繁にケアを行うことが大切です。皮膚をよく確認し、背中や首周り、腹部などノミがつきやすい部位に注意しましょう。
<生活環境の清掃・管理>
ノミは、犬や猫の体だけでなく、寝床やカーペット、ソファなどにも卵や幼虫を残します。ノミのライフサイクルを断ち切るためには、室内外の衛生管理を徹底することが大切です。
犬や猫がよく過ごす場所(ベッド・クッション・毛布など)は、定期的に洗濯・掃除をし、カーペットやソファ、家具の隙間など、ノミの幼虫が潜みやすい場所はこまめに掃除機をかけるようにしましょう。屋外飼育の場合は、雑草や落ち葉の管理も重要です。
また、ノミ用の殺虫剤や駆除スプレーを使用する際は、犬猫への影響を考慮し、事前に獣医師に相談することをおすすめします。適切な予防策を講じることで、ノミの繁殖を防ぎ、愛犬・愛猫が快適に過ごせる環境を整えましょう。
まとめ
ノミの感染を防ぐためには、日々のケアと定期的な予防が欠かせません。ノミは小さく動きが素早いため、目視で発見するのは難しいですが、ノミのフンをチェックすることで早期発見につなげることができます。定期的な被毛ケアと生活環境の管理を行い、ノミが寄生しにくい環境を整えましょう。
また、ノミは単なるかゆみの原因にとどまらず、皮膚炎や貧血、寄生虫感染などの健康リスクを引き起こすおそれがあるため、早めの対処が重要です。駆除薬を定期的に使用することで、愛犬・愛猫の健康を守り、安心して過ごせる環境を維持できます。
当院では、大切な家族の一員である動物たちが健康に暮らせるよう、知識と技術の向上に努め、飼い主様と共に最善のケアを考える診療を大切にしています。「最近かゆがっている」「黒い粒のようなものが毛についている」など、気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。愛犬・愛猫にとって最適な予防と治療をご提案し、健康な生活をサポートいたします。
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